能勢・ぎんぶなのうえんだより(2023年10月9日)

秋の圃場リフレッシュ作業、急ピッチで進行中!

未だかつて経験したことのないような異常高温の夏と、その余波の残暑の影響で、能勢・ぎんぶなのうえんにも数々の異変が起こっています。

遅くなりましたが、これから、田辺大根と天王寺蕪(なにわ伝統野菜)の播種を行う予定です。

イタリアの市民運動に敬意を表して:イタリア野菜畝を設けます!

実はイタリアは伝統野菜大国だというのをご存知でしたか?ユネスコ世界遺産の数が世界一でもあることや、スローフード運動の原点でもあるマクドナルド反対運動が盛んなことからもわかるように、イタリアは自国の伝統文化を大切にするお国柄です。現存する野菜の伝統品種(固定種・原種)の数も世界有数です。今年はチコリ(固定種2品種)と非結球キャベツ(カーボロネロ)、エルバステラを植えていきます。いずれも、パスタ料理などに最適、本場イタリアの家庭料理が楽しめる品種となっています。

リクニス・カルセドニカ(マルティーズクロス)実生初期育苗、生育良好です!

リクニス・カルセドニカ(Lychnis charcedonica)の代表種、マルティーズクロスの初期育苗が順調に進んでいます。異例の残暑で生育が心配されましたが、比較的良好に育っています。培養土は能勢・ぎんぶなのうえん独自開発の特製培養土を使用しています。特徴は、ピートモスベースにゼオライトと腐植酸(フミン酸)を配合した高CEC設計と、ようりんと珪酸加里・炭酸苦土石灰の3種のく溶性肥料を配合することで、窒素以外のほぼすべての肥料成分が自動補給できる設計です。追肥は、硫安・硫酸加里・硫酸マグネシウムの各5000倍希釈液を灌水しています。元肥に速効性のアンモニア性窒素を含む追肥が加わることで、葉色が良好で、締まった苗に育っています。6cmポットに移植し、2〜3週間程度肥培管理し、この秋のうちに、さらに大きいポットに移植するか、ナチュラルガーデンに定植する予定です。順調にいけば、来年の6月頃、ダイアンサスのクローブピンクとほぼ同時に、真紅の花を咲かせてくれるでしょう。バレリアンもこの頃に開花すると見込まれます。リクニス・カルセドニカは、このマルティーズクロスのほかにも、白色からサーモンピンクのグラデーション咲のカルネアも育成しています。このリクニス・カルセドニカも農薬不使用で育苗しています。実はこれ、すごいことなのです。農薬のことは気になるけれど、園芸は諦めたくないという方の希望に応える、能勢・ぎんぶなのうえんのIPM技術が活きています。

能勢・ぎんぶなのうえんは、ELGR※/SDGs実践農園です

能勢・ぎんぶなのうえんは、レジャーランドではありません。ELGR/SDGsに真剣に取り組む教育農園です。レジャーランドのような受け身的なものを期待されて能勢に行っても、それは、喧嘩を売りに行くようなものだということを助言しておきます。能勢の里山は優しく癒やしてくれますが、決して甘くありません。夏の前後のオンシーズンはマムシにマダニ、スズメバチなどの生命の危険すらある危険生物、冬は、毎日氷点下は当たり前、厳寒期の最低気温は−7℃前後、寒波襲来時には−10℃まで下回ってもおかしくないくらいの、関西屈指のフリージングスポットです。能勢だからこその、ナチュラルガーデンの感動的な風景の裏には、過酷な自然と向き合いながら、何度も重ねてきた試行錯誤や苦労があるのです。何かと不器用さはありますが、本気な人なら、そのような不器用さを愚痴ったりせず、これまでにないほどに知的好奇心を駆り立てたり、共感が連続する体験ができるという、教育農園だからこそできるおもてなしを実感いただけるはずです。

毎年、オンシーズンの能勢では、「マムシに咬まれた」、「効く血清が限られているから、次に咬まれたら、生命の保証はない」という話もよく聞きます。これは、疑うまでもなく、能勢の里山を甘く見て、無防備な心構えで農作業や活動をしていたことが原因です。能勢で持続可能なかたちで活動を続けられている人は、能勢の厳しい自然にしっかりと向き合ったうえで、しっかりと自分の身は守っているのです。

能勢・ぎんぶなのうえんへのご来園には、銀鮒の里アカウントが必要です。人の言うことを聞かず、世間話を含むコミュニケーションも進んでしないような人が安易に里山に行くことは、自ら生命を捨てに行くようなものだからです。前に述べたように、レジャー感覚での訪問で思わぬ事故に遭遇し、楽しんでいるどころの話ではなくなるわけです。能勢・ぎんぶなのうえんは、主体的な気づきを楽しむ教育農園です。教育的な目的や計画性、そしてなにより、心身の健康は必須です。入園は無料ですが、能勢・ぎんぶなのうえんとの事前相談(予定のすりあわせ)とレジリエントな心身づくりを念入りに行い、しっかりと明確な教育的目的を必ずもったうえでご来園ください。

※ ELGR = Education for Local and Global Remediation(Reconstruction);地域社会と地球の修復(再建)のための教育

コメント

PAGE TOP
⚠警告:非認証ユーザーのコピー行為はあなたにとって重大な法令リスクを伴います。