能勢・ぎんぶなのうえんだより(2023年6月16日)

実は梅雨は花盛り!

梅雨は雨ばかりで気分が沈みがち…春の園芸シーズンも終わって寂しい…そう思ってはいませんか?

実は、能勢・ぎんぶなのうえんでは、そんな梅雨どき(6〜7月)が、品種数ベースでは、最も多くの品種が開花期を迎える、一年のうちで最大の花盛りの時期なのです。大阪都市圏の平野部よりも自然条件が厳しい能勢は、3〜4月までは夜間の冷え込みがあり、とくに熱帯産の植物の育成では、様子見で気が抜けない状況が続くのです。5月になってようやく最低気温が10度以上で安定してきて、遅起きのスロースターター(冬春眠性のサマーエフェメラル)の品種も芽吹き始めます。熱帯性の植物はもちろんのこと、温帯性の植物でも、4月後半にようやく芽出しの兆しが見え始め、5月頃から一気に芽が動き出すという植物も意外とあったりします。5月後半には、すべての植物で生育がスタートし、初夏のマイルドな高温の勢いで一気に育ちます。その後の梅雨は、30℃以下の、気温ではまだまだ生育に適した季節ですので、多くの品種が開花期を迎えるというわけなのです。実際に能勢で山野草・オープンソース植物のポタジェガーデンを造営してみると実感することですが、これからが最大の花盛りという点ではむしろ、北海道や信州のようなイメージに近いのかもしれません。それでは、能勢・ぎんぶなのうえんで最近咲き始めたものや、開花間近の品種の一部を紹介しましょう。いずれも、美しさもさることながら、耐寒性、耐暑性が強く、実際の植栽に取り入れやすいと、オープンソースにこだわる世界のガーデナーが高く評価するものです。

Lychnis chalcedonica(Maltese Cross)(ナデシコ科)

中央アジア原産の宿根草で、リクニス属特有の鮮やかな赤色の目を引く花と、薄めながらも潤い感のある葉の調和が梅雨の晴れ間の雰囲気によく合い見事です。株全体を、やや粘着質の白い繊毛がわずかに覆っているのが特徴です。英名のMaltese Crossは、マルタ十字という意味ですが、マルタ十字が楔形4つであるのに対して、この花は写真のとおり5弁です。楔形が均等配置する様子がマルタ十字に似ていることから、この名があるようです。この株は、昨秋に種子を新規導入したものを自家育苗し、約9ヶ月程度で開花したものです。一才苗でありながらも、早くも太く力強い新芽が控えており、リクニス属の強健さを物語っています。種子はやや小さめで、発芽後の取り扱いには多少注意が必要ですが、5cm程度の苗に育つと、本来の強健さを見せてくれます。当圃に適した育苗技術の確立に成功し、今秋にスケールアップ育苗を行う候補となっている品種のひとつです。原産地の特性上、乾燥を好む傾向があります。

Dianthus caryophyllus(Clove Pink)(ナデシコ科)

能勢・ぎんぶなのうえんのダイアンサスは、逞しい美しさが一味違います。ぬくぬくとした温室育ちのものは、体力が弱いため、購入後、下葉が枯れ上がりやすく、残念に思われがちですが、能勢・ぎんぶなのうえん育ちのものは、露地での最適条件を追求しながら、厳しい環境にもあわせて、実生でじっくりと育て上げているため、全体的な美しさを保つという特長があります。ぜひ、あなたの知らなかったダイアンサスの魅力を、実圃でお確かめください。

蕾をみてピンときたという方、そうです。それもそのはずで、実はこの品種、カーネーションの原種にあたる品種なのです。切り花や鉢植えで市場によく出回るカーネーションは、ほぼすべてが改良種で、香りは痕跡程度しかないか、あっても微香程度ですが、このクローブピンクは、離れていても香ってくるほどの強香が特徴です。文字通り、カレーのスパイスや生薬で有名なクローブ(丁字)のスパイシーな香りを、甘くソフトな香りにしたような、ナデシコ特有のスパイシーフローラルといえる香りがします。近年、巷にあふれる柔軟剤や合成洗剤などの人工的な香りによる健康被害が深刻な社会問題となっており、とくに、小学生くらいのこどもが被害を訴えるケースが多いことに、銀鮒の里学校は強い問題意識をもっています。これまで、公教育などの教育現場で、花などの本物の香りについて、しっかりと教育を受ける機会がなく、「においリテラシー」の低さが、この人工香料の問題を深刻化させていることに着目、においリテラシーを育む「におい教育」の一環として、教育農園のぎんぶなのうえんでは、このクローブピンクをはじめとして、自然の香りとはなにかを主体的に学ぶことのできるような品種選定を行っています。このクローブピンクは、昨春に播種し、1年余りの栽培期間を経て、しっかりとした株立で開花に至ったものです。技術開発に1年余り、クローブピンクを含めたダイアンサス類の、当圃の環境に最適化した栽培技術も確立し、今後は、栽培品種数・株数ともに拡大し、中・高性ダイアンサス類をこどもたちがお花摘みを楽しむ目玉のひとつにしていくことを目指しています。

園芸技術情報としては、栽培には、十分な日照はもちろんのこと、用土の乾燥性と通気性が最も重要であり、その条件さえ十分にあれば、肥料分はさほど要求はしないことが、当圃での試験栽培でわかりました。肥料は、ようりんのような、窒素を含有しないく溶性元肥を十分に与えることを基本にし、カリウム・苦土を強化し、窒素分は、堆肥由来や様子見で薄い尿素を与える程度の控えめにすることが、ストレスに強く頑丈な株に育成するうえで重要なポイントになります。これらのポイントは、今回ご紹介する他の植物種でも共通していえることであることも付記しておきます。

クローブピンクには個体差があるらしく、検索してみると、濃赤色のブロッチが入るものもあるようで、淡いピンクから、ショッキングピンクのような濃い色のものまであるようですが、能勢・ぎんぶなのうえんのものは、絶妙な色合いの中庸のピンク色で、ブロッチが入らない「素心」品のようです。最も愛らしい花の咲き方だと思いませんか。ぜひ、おてんばっ娘のようにかわいいクローブピンクの花を愛でにご来園ください。

Knautia macedonica ‘Mars Midget’(スイカズラ(旧マツムシソウ)科)

このクナウティア・マセドニカは、ヨーロッパのバルカン半島が原産のスカビオス(マツムシソウ類)の一種で、’マース・ミジェット’は、その中の珍しい矮性種となります。マセドニカは、草丈が60〜90cmの中〜高性種が多い中で、この’マース・ミジェット’は、この写真では20cm程度、大きくなっても、他のマセドニカの一回りか二回りくらい小さく収まります。クナウティアは独特な造形美と、ボサ感がある葉で、美しくても派手にならない野性味がある美しさが魅力で、夏から秋にかけてのナチュラルガーデンを多様性美で彩ってくれます。この品種は、苗を導入したものですが、実は、能勢・ぎんぶなのうえんでは、他に、K. マセドニカ’レッドチェリー’(中高性種;ワインレッド花)とK. アルベンシス(中高性種;藤色花)の2種をこの春に播種して実生育苗しています。いずれも野性味のある、主張しすぎないナチュラルな美しさが魅力の品種です。このクナウティアは、種子の休眠が深く、発芽には約2週間の丁寧な春化処理が必要なうえ、発芽時の活着率も高くなく、育苗のクセで試行錯誤を繰り返しましたが、なんとか順調に育っています。スカビオスで最もポピュラーなスカビオサ属は、暑さなどにやや弱い特性がありますが、このクナウティアは、初期育苗を乗り越えさえすれば、非常に強健な植物とされています。とくに、多くのスカビオサ属は耐暑性の点で難があるのに対して、このクナウティアは耐暑性が強く、ナチュラルガーデンに安心して取り入れることができる宿根草素材であり、カラーバリエーションも藤色・深紅・ビンク〜白色と個性的で、ぎんぶなのうえんが一押ししたい属のひとつです。

※春化処理を行わず、そのまま播種した場合、よくても発芽はまばら(不安定)であり、全く発芽しないことも少なくありません。また、春の能勢のような、過酷すぎない程度の昼夜の寒暖差も重要です。これは、スイカズラ科の温帯性植物の多くでみられる特性です。(オミナエシの場合、1ヶ月程度の春化処理を要しました。)

花卉・野菜苗、野菜種子等の卸売をご希望の小売事業者の皆様へ

今秋から、園芸店等を対象とした、当圃場での生産苗や種子等の卸売対応の開始を予定しています。卸売には条件があります。卸売条件の交渉権を得るためには、小売事業者の関係者のうち、仕入れ購入の意思決定権限を持つ方1名以上が銀鮒の里アカウントを保有している必要があります。契約に関する交渉は、能勢町の圃場および電子メールで行うことになります。ご希望の方は、銀鮒の里アカウントをご取得のうえで、能勢・ぎんぶなのうえんまでお問い合わせください。

※卸売は仕入れた苗をそのまま店頭で販売いただく園芸店等を対象としています。趣味等での自家消費目的の方には、卸売対応は行いません。

※植物園や自治体の緑化関連部署など、販売を目的としなくても、園芸店の仕入れと同等以上の取引が見込める場合も対象となる場合がありますのでお問い合わせください。

※取引先審査には、銀鮒の里アカウントが必要です。取引先審査を通過した小売事業者様には、別途、取引先様用のビジネスアカウントを交付いたします。

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