【超基礎編】市民運動で市民信用を築くには、どのような学習をすればよいのか?

いまさら聞けない!銀鮒の里市民運動の超基礎

FMGの読者は、正統科学をある程度学習しているか、これから正統科学を身につけたいと願う人が多いと確信するところですが、中には、話しているうちに、妙な方向に話が展開し、確認してみると、疑似(ニセ)科学の被害にあっていたという残念な方も少なからずいます。正統科学を身につけるには、大学や学術団体(学会)、アカデミックなNPOが主催するサイエンスカフェや学術講演会に参加したり、図書館で自然科学の著書を読み漁って独学するという方法もありますが、そのような機会自体が少なかったり、図書館の本であっても、正統科学の本に紛れて、疑似科学の本があったりすることも少なくありません。(図書館司書は図書情報学の専門であっても、自然科学の専門ではないですから、ある意味で仕方のないことなのかもしれません。)

そのような、科学リテラシーで悩まされる混沌とした状況の中で、市民運動家としての市民信用を築くには、どのような学習をすればよいのでしょうか。2023年4月で市民運動本格開始30周年になるオカヤマンヘンな鮒が、長年の市民運動経験をもとに、わかりやすく説明します。

市民派の科学専門家との人脈はあなたを持続的に育てる貴重な財産

市民運動では、多くの人数と関わるよりも、少なくても質の高い人脈を構築することのほうがはるかに重要です。「量より質」というわけです。人数は多くても、その人脈にある人の多くが、ニセ科学にかぶれていたりすれば、市民運動としては体をなさなくなり、本末転倒です。逆に、人数は少なくても、市民運動に理解のある(正統科学の)科学専門家の人脈を確立していれば、いつでも良質の正統科学の学びの機会が得られ、ニセ科学を正しく察知して避けることができる確固たる科学リテラシーが自然に身につくようになり、あなたの信用を守ってくれます。

大人の人間性スキル「知的謙虚」とは

いうまでもないことですが、市民派の科学専門家とは親しくすべきです。そのためには、常に知的謙虚な態度で振る舞うことが大切です。知的謙虚とは、自らの知性の身の程や学術専門性を正しく自覚し、適度のプライドはもちつつも、専門外などで自信がないことに関しては、正直に認めるという態度の傾向性のことです。

知的謙虚さの著しい欠如は、ニセ科学や新興宗教、連鎖販売取引などの傾倒者に多い特性です。マウンティングが強いため、表向きは高知性にみえますが、そのマウンティングのメッキは、正統科学のコミュニケーションで脆くも剥がれ落ちることで見抜けます。知的謙虚さを著しく欠いた人は、脆いメッキのようなマウンティングを保つべく、聞きかじった自然科学用語を引き合いに出して、激しく知ったかぶりをします。そして、その自然科学用語について、正統自然科学に基づく説明を求めると、論理をすり替えようとしたり、はぐらかしたり、逆ギレしたりします。なぜそのような態度に走るのか、理由は簡単です。実は、そのような人は、自分のこれまでの怠惰によって、知性に自信がないからです。

科学者や技術者のような高知性派層は、自身が知性を高めれば高めるほど、知の不足感を自覚するものです。知の不足感が強いから、さらに知の渇望が強くなる。その繰り返しで、加速度的(二次関数的)な勢いで知の裾野を拡げていくのです。

その逆もまた然りです。知的謙虚さに欠如した人は、自己の知の現状に(消極的な意味で)満足しているので、自分自身はこれ以上学ぼうとしない一方で、他者にもその浅はかな知を押し付けたり、他者を見下したり、ひどい場合は、正統自然科学者をも見下し、無礼な態度をはたらいたりします。これらすべて、自分に自信がなく、低知性の醜態を隠蔽する欲が強くなるがゆえに、このような不可解な行動に走ったりするのです。(正統自然科学の学びに限らず、)自分に自信がない人ほど、マウンティングが強かったり、知ったかぶりをするという傾向性は、心理学でも普遍的に理解されていることであり、心理学関連の複数の心理学専門家によるYouTube動画などでも確認できることですので、ぜひ確認してみてください。

知的謙虚さを欠いた人がやらかしがちな無駄な抵抗は、非常に危険な自爆行為です。必ず、真の高知性派層の人との人間関係は一発で破壊されます。真の高知性派層と親しくするためには、自らの知の不足を自覚したうえで、正統自然科学の良質な情報源を活用して学習するという、不断の努力により、知的謙虚の人間性を築き磨き上げることが、何より重要になります。

学びっぱぐれのないおすすめ情報源をご紹介

このFMGは、「おうちや出先でいつでもサイエンスカフェ」を実現すべく、農芸化学と環境化学、児童教育、持続可能性戦略を専門分野とする専門家が著している、最も身近に得られる正統自然科学に基づく情報源ですから、まずはFMGをしっかり読むことが基本となります。しかし、FMG以外の情報源も活かして学習したいと思う人は多いでしょう。FMGでも、FMG記事と他の良質な教材との併用は強く推奨しています。そこで、FMGでは、これが理解できれば、まず大丈夫だといってもよいような、学びっぱぐれのない情報源(教材)の例を紹介しましょう。

「ブルーバックス」「ポピュラーサイエンス」などの一般学び直し向け科学読みもの

大学理系学部向け教科書や理系専門書を出版する出版社の自然科学読みものは、科学リテラシー上厳正な確認を経てつくられた信頼の科学読みものシリーズです。専門外の一般成人の学び直しや生涯学習入門にも使いやすくなるよう、読みやすく工夫されています。とくに、ブルーバックスシリーズ(講談社)やポピュラーサイエンスシリーズ(裳華房)は、オカヤマンヘンな鮒も学生時代によく読み漁ったシリーズでもあり、書店や図書館でも見つけやすく、おすすめです。農学関連であれば、農文協などで読みやすく良質な著書や雑誌を出しています。

高校向け教科書・学習参考書(初心者向け)

自然科学の化学などのイメージがわかない人や、高校時代に理系で挫折したり、文系選択で学ぶ機会がなかった人には、高校向けの教科書や学習参考書もおすすめです。レベルは初歩レベルになりますが、当然、正統自然科学に基づく教材ですから、安心して学習に活用することができます。教科書独特の表現に馴染みにくいという人は、前掲のような科学読みものを読みながら反復学習をすれば、理解が進みます。最初から順番に読むことにこだわらず、ご自身の関心のある内容から確実に理解し、理解できたら、次に関心がある内容に進むという学習法が、無理なく続き、早く知の裾野を拡げることができるおすすめの学習法です。

大学・研究機関向け専門書(市民運動実働者(中〜上級者)向け)

例えば、農芸化学などの農学専門書であれば、農学部向け教科書も多く出版している養賢堂の専門書が最も信頼性が高いといえます。基礎化学(理学系)であれば、東京化学同人、化学同人、裳華房など、薬学系であれば、南江堂などで多くの良書があります。書店の学術専門書コーナーで取り扱いがあるものであれば、まず大丈夫だといってよいでしょう。最近では、個別の情報であれば、インターネットのウェブ・ブラウジングだけでも、かなり高度で信頼性の高い情報を得ることができるようになっていますが、ウェブ・ブラウジングを使い倒すには、科学リテラシー(情報の信頼性の見きわめや情報の統合・活用能力)の観点から、かなり高度な専門性が必要になるため、とくにキャリアが浅い方は、実書籍を併用することを強くお勧めします。

NHKの科学番組(おもに初心者向け)

全体ではツッコミどころが多いことが否めないNHKですが、よく探してみると、信頼性についてよく考証された良質な科学番組もあります。現在放送されているものでは、「サイエンスZERO」、「ヒューマニエンスQ(クエスト)」、「ダーウィンが来た」、「ワイルドライフ」、NHKスペシャルの科学分野のコンテンツ(「超・進化論」など)があります。これらは、初心者の理解を助ける映像教材として、侮れないクオリティです。

都合の悪い対立情報にも耳を傾けるべき

ほんとうに行動力のある市民運動家は、あえて都合の悪い対立情報にも耳を傾け、市民運動の戦略立案に活かすということをします。例えば、私たちの市民運動では、除草剤グリホサート(ラウンドアップ)の使用には反対の立場ですが、実は、農業法人関係者などの間では、賛成の意見もあり、それはそれで一理あるものとなっています。しかし、そのような実態があることを知らず、反対ばかりしていると、賛成論者から思わぬ不意打ちを食らう可能性もあります。相手方のことを徹底的に調べ上げ、戦略立案に活かすことでは、サッカーなどのスポーツや競合他社の業界研究などでも同じことです。市民運動の実務において、反論の余地を許さない強い知的包囲網を築くためには、「敵を知る」ことも欠かせないのです。

勘違い厳禁!批判は熟知した専門家の特権

市民運動ではよく、正統自然科学が関わることについて、批判することがよくあります。しかし、その批判が社会的に許されるには厳しい条件があることは、意外と知られていません。批判は、批判者が専門性を十分にわきまえたうえで、慎重に考察し、批判しっぱなしではなく、必ず建設的な代案を提示するというのが、市民運動における暗黙のしきたりになっています。そのことを知らずに、自然科学の専門性をわきまえないズブの素人が、見様見真似で批判するという、専門家が傍からみていて非常に痛い「疑似(ニセ)科学を根拠とする疑似(ニセ)批判」も横行しているのもまた現実です。標準医療のニセ批判は、その代表例として、科学リテラシーの話題ではよく俎上にあがります。素人いわく「病院の処方薬は最悪だ」「代替医療こそ至高だ」「ガン※注は標準医療の抗がん剤は断固拒否、合法大麻で治せばいい」などということですが、どれも科学的根拠のないとんでもない間違いであって、一歩間違えれば、薬機法違反や殺人・傷害(未遂)罪にも問われかねない、非常に危険な考え方です。素人が独学で陥りがちなニセ科学には、自身や周辺の人のQOL(生活の質)を下げるだけではなく、違法・脱法行為で社会に害悪を及ぼすおそれもある、非常に無責任なことであると強く肝に銘じるべきです。

※注:「ガン」というカタカナ表記は、素人メディアでよくある表現であり、素人の「痛い表現」であることを現すために、ここではあえてカタカナ表記にしています。信頼のおける情報源では、「ガン」ではなく、「がん」というひらがな表記をすることが多いです。FMGでは、原則として「がん」とひらがな表記にしています。

市民知のセーフネット「銀鮒の里アカウント」の取得はお済みですか?

銀鮒の里アカウントを日常的にご利用いただくことで、ニセ科学による学習機会逸失や法令違反、人脈低質化などのリスクを未然に防止することができます。素人判断で中途半端にかじったりしてからの交付申請ですと、その時点でニセ科学に染まっていることが判明すると、市民信用で致命的な汚点があることになり、取得そのものができなくなるおそれもあります。市民アカデミアの経験がない方でしたら、市民信用まっさらのゼロからの取得のほうが無難です。知性や経験がないことは決して恥ずかしいことではありません。それを隠そうとして、知ったかぶりをすることこそ、恥ずかしいことであり、得られるものも得られないことになります。謙虚に、素直に、自身は無知な入門者であることを宣誓することによって、その人柄がプラスに評価され、結果的に審査を通過でき、学習でも知の裾野を拡げる近道になります。自分の身の程をわきまえ、飾ったりしない、自然体で知的謙虚さを備えた人は、ぜひ、今すぐ交付申請をしてください。オカヤマンヘンな鮒も、特定の分野では専門家でありながらも、実は、失敗だらけ、わからないことだらけの初学者の一面もあります。ともに、みんなで成長し続ける市民アカデミアの創造を目指しましょう。

コメント

PAGE TOP
⚠警告:非認証ユーザーのコピー行為はあなたにとって重大な法令リスクを伴います。