能勢・ぎんぶなのうえんだより(2022年10月18日)

やっと安定した秋晴れが続くようになってきた今、能勢・ぎんぶなのうえんでは、来年の春か夏に開花期を迎える花の播種作業に追われています。スカビオサ、エリシマム(チェイランサス)、セントーレア(ヤグルマギク)など、他の農園ではあまりお目にかかれないような花も多くあり、すくすくと育っています。

能勢・ぎんぶなのうえんで自家採種した田辺大根の芽が出揃いました。元肥は植物性堆肥と苦土石灰、ようりんのみのヴィーガン農法です。環境に配慮し、無機態の窒素が土壌中に長期間残らないように工夫しています。そのため、肥料食いのアブラナ科野菜では、生育初期に葉の色が薄くなることがありますが、これは、うまくいっている証拠です。大きく育ち、成長が安定するまでの間に、尿素の2500倍希釈液肥を追肥しています。
昨秋に植えた2年目のサラダバーネット(Sanguisorba minor; 宿根草)です。厳しい夏を越し、力強い新芽が勢いよく伸長しています。やはり2年目となると、葉も一回りも二回りも大きくなり、株に貫禄がでてきます。大地にしっかりと馴染み、食味も良くなっているように感じます。採種も行ったので、採種しきれなかったこぼれ種が多く発芽し、自然に多くの幼苗ができています。性質が強く、成株になるまでは、肥料を意識的に与えたほうがよいですが、一度成株になれば、ほぼ粗放状態に近い栽培が可能であり、肥料をそれほど多く必要としないことからも、これから注目の原種野菜といえます。
今春に播種したセルバチコ(ワイルドルッコラ(原種のルッコラ))の花が咲いています。花にはアブラナ科の花らしいやさしい香りがあります。セルバチコの苗は、降雨の雨粒の衝撃や酸性土壌に弱いことがわかり、試行錯誤して、育苗箱に箱まきすると育苗しやすいことがわかりました。この方法で多くの苗をつくり、作付け数を増やす試みをしています。よくあるルッコラが一年草であるのに対して、このセルバチコは宿根草です。
抗菌性のIPMハーブとして試験栽培しているウインターセイボリー(Satureja montana)です。白い花が満開になっています。枝を撫でると、カルバクロールやチモールの強い香りが漂い、IPMハーブとしてのポテンシャルの高さを実感できます。食用のハーブの中では、オレガノやタイムよりもフェノール特有の香味が強く、使いすぎ注意といわれるほどです。やや匍匐性がある低灌木で、自然に取り木状態となって、多くの株ができているようです。この性質を活かせば、例えば、病気に弱いバラなどの花卉園芸での農薬不使用栽培にも応用できるのではないかという希望も見えてきます。

やや育苗しにくいスイカズラ科

スカビオサ、とくに宿根性のコーカシカ種や真正バレリアン(Valeriana officinalis)では、苗の一部が苗立枯病に冒されたようです。他の種に比べて、幼苗はデリケートな特徴があるようです。一般的なプロの栽培方法では、キャプタンなどの苗立枯病に有効な農薬(殺菌剤)で切り抜けるのですが、カエルなどが多く訪れる畑では、さすがに使うわけにはいかず、他のデメリットも多いため、他の栽培技術を組み合わせた農薬不使用のIPMで対処しています。難局を抜け出すため、生育が安定してくるであろう、本葉が3〜4枚くらい出るまでは試行錯誤が続きそうですが、あのやさしく爽やかな色の花が来年に見られることを願い、挑戦を続けています。

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