能勢発祥の銘品栗「銀寄」のゲノム情報解読:世界の”Ginyose”としての課題も明らかに

かずさDNA研究所と農研機構は、イタリアのトリノ大学と共同で、大阪府豊能郡能勢町発祥の伝統品種で、ニホングリの代表的品種でもある「銀寄」のゲノム情報を高精度に解読した。この成果は、国際学術雑誌「DNA Research」で8月23日にオンライン公開された。同時に、従来の植物分類学(APG植物分類体系)ではウリ目やマメ目に近縁と考えられてきたブナ目のクリは、遺伝子レベルの解析によって、バラ科のリンゴなどに近いとみられることもわかった。

ニホングリのゲノムを解読 バラ類植物のゲノム進化に手がかり かずさDNA研究所×農研機構

現在、遺伝子レベルでの植物分類の見直し再編は被子植物全体に及んでおり、種や属の変更だけではなく、科レベルでの再編も進んでいる。

遺伝子レベルで品種間の違いを明確にすることで、より高精度な育種ができるとして注目される一方で、今日では、遺伝子レベル育種の最短距離ともいわれるゲノム編集の倫理的問題もあり、「銀寄」ブランド保全や魅力の見直し戦略など、別の視点での戦略の必要性も投げかけることになりそうだ。

農業協同組合新聞の記事にあるように、銀寄は食味では世界最高峰級である一方で、栗特有の渋皮がむけにくいということが品質上の欠点として世界的には認識されている。しかし、見方を変えれば、この特性は、銀寄特有の自然のよさとみることもできる。例えば、栗の渋皮煮をつくる際には、この銀寄の品種特性は欠かせないといえるし、栗の渋皮煮は渋皮を可食化する伝統的手法のひとつであるともいえる。渋皮をむくことばかりにこだわるのではなく、渋皮をも活かす温故知新の食品加工技術の視点も、ゲノム編集が現実味を帯びてきたこれからの時代のブランド戦略として重要ではないだろうか。

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