明らかに適用外使用ですが…
「フマキラー除草王シリーズ ザッソージエース」のような農林水産省登録の農薬製剤を、適用表に記載がある以外の用途で使用することは、農薬取締法で禁止されています。となると、ビッグモーターが街路樹植栽に除草剤を散布したことによるとされる街路樹不審枯死疑惑に関しては、「除草剤は枯らす対象が樹木類に設定されていないため、農薬取締法に違反するのでは?」という疑問がわいてくると思います。そこでFMGでは、農薬取締法を所管する農林水産省消費・安全局農産安全管理課農薬対策室に、今回のビッグモーターの一連の問題に関して、農薬取締法違反容疑で処罰される可能性はあるのかについて質問してみました。
すると、意外な回答がありました。
結論からいえば、
今回のビッグモーター街路樹除草剤問題に関しては、農薬取締法に基づいて処罰することはできない
ということです。その理由について、農林水産省消費・安全局農産安全管理課農薬対策室は、次のように答えました。
「農薬取締法は、農耕地における農作物の管理に関してのみ規定する法律であり、非農耕地での使用や、農作物の管理以外の目的での使用であれば、たとえ誤った不適切な使用であったとしても、農薬取締法違反を根拠にして処罰することは考えられないことになります。例えば、カラスが迷惑だからといって、農薬を使って毒殺したとします。そのような使い方は、明らかに誤った使用方法ですが、農薬取締法違反になるかといえば、農作物の管理とは明らかに関係がない使用方法のため、そうではないことになります。」
但し、国や自治体の所有物(公有物)である街路樹を除草剤で意図的に枯らす行為や、野鳥を毒殺する行為は、他の法令に違反する可能性があるため、それらに基づく処罰が行われることになります。今回のビッグモーターの問題の場合は、刑法第261条に規定されている器物損壊罪などを根拠に処罰される公算が大とされています。
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