2022年3月に倒産したケージ卵最大手のイセ食品(東京都千代田区;創業地:富山県高岡市)は1日、来年2月の予定で商号を「たまご&カンパニー株式会社」に変更し、再スタートを切ると発表しました。新会社は、商号からあえて「イセ」を取り払うことで、伊勢レガシーを一掃し、経営陣を刷新するとみられています。これまでのイセ食品の印象をマーケティング的に変える狙いがあるとみられますが、これまでのバタリーケージ飼育を廃止し、今日の世界標準となっているアニマルウェルフェアに配慮したケージフリー飼育に転換するという抜本的改革を示す宣言はみられないことから、商号変更が社会に及ぼすインパクトは限定的で軽微と想定されます。
イセ食品の商号変更に先立ち、9月1日付でグループ会社の富士たまご株式会社(静岡県富士宮市)を存続会社として、「たまご&ファーマーズ株式会社」(茨城県石岡市)に商号を変更することもあわせて発表されました。
●イセ食品による商号変更の発表
https://www.ise-egg.co.jp/news/5793/
秋からAI再流行のおそれ、鶏卵業界の前途は多難
食品業界が植物性蛋白質を応用した代替卵食品を開発して経営のリスクヘッジを築くなかにあって、鶏卵生産に特化した企業の経営体質はきわめて脆弱といえます。ロシア・ウクライナやイスラエル・パレスチナなどで起きている紛争や中国の輸出制限政策など、世界情勢の悪化に伴う物価高騰や慢性的な品薄状態に加えて、涼しくなると、再び鳥インフルエンザ(AI)の脅威が容赦なく襲うと予想されています。鶏卵業界は、世界の潮流を読むことなく、現状にすがり続ける状況が続けば、今後、「第2、第3のイセ食品」が現れることになるであろうと、FMGでは予測しています。
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