能勢・ぎんぶなのうえんだより(2023年3月29日)

実生のキャットニップ、たった1年でこんなに!

上の写真は、昨年の春に播種したキャットニップ(Nepeta cataria)です。キャットニップは特有のイリドイドであるネペタラクトンを高率で生成することで知られていますが、このネペタラクトンには、マタタビラクトンと同様にネコを興奮させる作用があることでも有名です。イリドイドは前駆体のモノテルペンに比べて、より多くの酸素を持つ二次代謝物であり、そのような二次代謝は、他種の動植物に対しての化学的コミュニケーション戦略として、何らかの特有の生理活性(他感作用)をもたらすことを狙って行われているのではないかと考えられています。そのような、農薬の代替にもなるかもしれない正の効果を農業利用できないかと考え、イリドイドIPM技術の実験用として導入したものになります。

ネペタラクトンの構造式

残念ながら、キャットニップの近くに植えたトマト(品種:ポンデローザ)が枯れたことから、トマトとの相性はよくなかった可能性があることがわかりましたが、奇しくもキャットニップにとっては、このトマトの栽培(施肥)条件が非常に好ましかったようです。昨シーズンにトマトを植栽した畝ですので、かなり大量の過リン酸石灰を施肥しています。他の肥料成分は、一般的な施肥体系で、結実期には、窒素肥料の尿素はかなり控えめにしていました。キャットニップはそれほど肥料を要求しませんが、トマトはかなりの肥料喰い(とくにカルシウム、リン酸)のため、その「おこぼれ」だけでも、これだけ大きくなりました。過リン酸石灰には、酸性リン酸カルシウムのほか、生理的に中性のカルシウム肥料である硫酸カルシウム(石膏)が構成成分として多く含まれていますが、キャットニップにとって、石膏分が多い土壌条件は非常に好ましいのかもしれません。

キャットニップは地味な印象が持たれがちですが、実際に植えてみると、条件が良好な場合、写真のように、こんもりと美しく育ちます。播種から1年でこんなに美しく立派に育つとは、驚きです。実際には、写真よりももっと紫色味が出ているように見えて、とても美しいものです。ハーブガーデンのアクセントにもよいものです。

キャットニップは、昨秋開花し、この2株だけでも、種がかなり採れました。この種を、近日中に播種して、今年も多くの苗をつくってみたいと考えています。欲しい方は、能勢・ぎんぶなのうえんの開園後に頒布できるかと思いますので、銀鮒の里アカウントを取得のうえ、コメントで「キャットニップの苗が欲しい」旨をお伝えください。

桃葉ギキョウとバレリアンで発芽の兆しを確認

播種から9日、まだ発芽には至っていませんが、桃葉ギキョウとバレリアンで、確かに種子が能動的に動いているのを確認できました。桃葉ギキョウでは、1粒のみ緑色が見え、種子が動いたことによるとみられる、土表面のせり上がりが観察され、バレリアンでは、一部で白い発根らしき動きがみられました。発芽(子葉の展開)には、桃葉ギキョウで2週間程度、バレリアンでは3週間以上を要するとされており、実際の発芽は、もう少し待つことになるかもしれませんが、発芽に向けて順調に進んでいるようです。バレリアンも、キャットニップと同様に、イリドイドIPMの実験用を兼ねての導入となります。

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