ウクライナ危機や中国(主要生産国)の輸出引き締め、新型コロナ禍などによる全世界的な物価高騰などの複合的要因による、輸入肥料の価格高騰で、日本の農業は、これまでにないほどの危機的状況にあります。そのような逆境から立ち直ろうと、国産肥料資源の有効活用に向け、原料供給事業者・肥料製造事業者・肥料消費者(耕種農家)間のマッチングを図る取り組みが、22日、本格的にスタートしました。農林水産省は、22日午後2時から、国内肥料資源の利用拡大に向けた全国推進協議会の初回の会合を、オンラインで開催しました。この会合には、各方面の関係者約500名が参加したということです。初回の会合では、全国協議会の設立趣旨の説明の後、原料供給事業者・肥料製造事業者によるこれまでの取り組み事例について発表がありました。
大阪府能勢町で、持続可能型社会の実現に向けた教育農園を造成しつつ、花卉苗などの生産や園芸文化の推進に取り組む能勢・ぎんぶなのうえんも、国内肥料資源の活用に向けた全国協議会の会員として、肥料消費者の立場で参加しています。昨日の初回会合では、畜産副産物である家畜糞尿由来の肥料資源(堆肥・燃焼灰など)の有効活用事例の紹介が主でしたが、神戸市による、下水処理の過程で回収された都市型リン資源(リン酸アンモニウムマグネシウム;こうべ再生リン)の活用推進の取り組みの発表もありました。これまでは、環境中に排出されていたリンを、ようりんなどに代替するリン酸肥料資源としようという取り組みです。単一物質として特定できるレベルに精製された肥料ということもあり、能勢・ぎんぶなのうえんでも、その優れた化学的特性が花卉苗の育苗用や鉢物生産用の肥料として、利用の可能性を検討したいと考えています。これまで、持続可能性に配慮した肥料調達に悩みを抱えていた能勢・ぎんぶなのうえんでは、今回の会合で発表があった肥料以外にも、マメ科植物などの緑肥機能性作物の活用促進や農業副産物(野菜等の未利用部位等)を活用した純植物性堆肥の普及促進、腐植酸資源(原料)の国産化などを肥料消費者の立場から提案・要望しており、能勢町の自ほ場でも、緑肥機能性作物として有望と考える数種について、技術的検証を視野に入れた試験栽培を、今春から本格的に開始する予定にしています。能勢・ぎんぶなのうえんも、この国内産肥料資源の利用拡大に向けた全国推進協議会の今後の展開には大いに期待しています。
能勢・ぎんぶなのうえんは、国産肥料資源の有効活用技術の開発を通じて、変化に柔軟に対応するレジリエント(強靭)な社会の創造に、国や地方自治体、各事業者などの取り組みとwin-winの関係を協力的に構築しながら取り組んでまいります。
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