6月は環境月間です(SDGs3・4・6・7・9・11・12・13・14・15)(1)

6月5日は国連環境の日、環境の日のある6月の1か月間は環境月間です。ご承知のとおり、銀鮒の里学校は、環境保全運動発祥の学校づくり市民運動です。環境市民運動といえば、エネルギー・廃棄物削減のような「無難」な活動ばかりが注目されがちですが、どうも漠然としているためか、「何からやってよいかわからない」という声もよく聞きます。ほんとうにそのやり方でよいのか、SDGsの視点で考えてみましょう。

健康と環境(SDGs3・11・12・13・14・15)

健康と環境とのかかわりでまず最初に連想することは、化学物質の問題でしょう。地球環境や身近な生態系に悪影響を及ぼす化学物質は、たいていの場合、人の健康にも何らかの悪影響を及ぼしますし、また、その逆もいえます。環境にも健康にも悪影響が及ぶおそれがある化学物質群の身近な例を挙げると、合成洗剤・柔軟剤・消臭芳香剤、化粧品、殺虫剤(一部の防虫剤を含む)・殺菌剤・除草剤などの殺生物剤があります。合成洗剤は石けんに置き換え、柔軟剤は石けんに置き換えれば不要になります。嗅覚ノイズといえる消臭芳香剤も当然不要ですし、化粧品は成分をよく確認したうえで、それはほんとうに必要不可欠か、自己満足のためだけではないか、よく考え、必要最小限にとどめることが大切です。殺虫剤は化学合成の殺虫剤は使わず、すぐに分解(不活性化)される除虫菊の製品があれば十分快適に過ごせます。殺菌剤もほとんどの場合で不要ですし、除草剤も不要で、草刈りなどの、化学物質に頼らない他の雑草抑制手段で代替するのが現実的です。このように、身の回りの化学物質の棚卸しをしてみると、無駄な化学物質(製品)がいかに多いかがおわかりいただけるかと思います。生態系が貧弱な都会では気づきにくいかもしれませんが、生態系サービスの下で成り立っている里山(農村地域)では、はっきりとその影響が現れてきています。化学物質問題の現実に気づくためにも、自然界の生命が最も躍動するこの時期に、里山を歩いたり、さまざまな活動をされることをおすすめします。

児童期の「こころのふるさと」の形成が大切(SDGs4)

卯の花が咲き誇る新緑の山を背景に、ツバメが忙しく子育てをするのを見ながら、田んぼでカエルやイモリを捕ったり、用水路で銀鮒を釣ったり…

昭和中期頃に小学生時代を過ごした世代の方にとっては、当たり前のように思い出に残っているという方は多いと思います。しかし、現代の小学生は、このようなあそびを知らないことが多く、コンピュータゲームのような仮想現実世界に置き換わっているという憂慮すべき実態があるのです。しかも、驚いたことに、その傾向は、今日でも自然が豊かな里山地域でもあるというのです。このような危機的な状況を教育でなんとかしなければ、というのも、銀鮒の里学校の学校づくりの決定的な動機づけの一つになっています。

思春期(小学校高学年〜中学校)に入ると、大人のなり始めの現象として、自我の確立や価値観の固定化が始まりますので、思春期に入ってから、価値観や行動を変えるというのは、とても難しいことです。思春期の頃の環境教育というのももちろんありますが、やはり重要なのは、価値観が柔軟に変えられる児童期(小学校1〜4・5年生くらいまで)に、どれだけ環境教育に基づく濃密な体験をさせてあげるかということになります。(まるで、混ぜた直後(児童期)は自由にかたちを変えられ、ある時点(思春期)から急速に固化して、やがて動かなくなる二剤型接着剤のようです。)そのためには、そのような体験ができるだけの自然環境があることはもちろんですが、ジャンクフードや商業ゲーム、商業SNSのような粗悪な商業的誘惑などの情報ノイズがないことも重要なことになります。そのような商業的な誘惑は、スマホを通じて入ることが多いため、こどもにスマホを持たせないことも、教育上配慮として大切なことです。(一度スマホを持たせると、こどもにスマホのけじめをつけさせるための特別な配慮が必要となり、たいへんややこしいことになります。フィルタリングなどのペアレンタル・コントロールもあてにしてはいけません。)自然あそびや手足を使うあそび、木の玩具などを使うあそびなどは、自然を愛し、他者を思いやる気持ちや、自己解決力やチームワーク力(協調性)を高める教育効果があります。大人になったあなたも思い出してみてください。誰しも人は、小学生時代の経験を基に価値観が形成されているのです。今度は逆の立場で、現代のこどもの生き抜く力の源泉となる「こころのふるさと」を形成するには、どうすればよいか、一人ひとりが考えていただきたいものです。

(続く)

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