【こどもの日】端午の節句のおはなし

きょう5月5日はこどもの日です。本来は端午の節句で、男の子の健やかでたくましい成長を願うとともに、こどもはおかあさんに感謝する日とされていますが、今日のジェンダー平等(SDGs5)の価値観の定着により、今日では、男の子も女の子も一緒に祝い、こどもたちはみんな、おかあさんにもおとうさんにも(両親に)感謝する日というように変わりつつあります。

端午の節句・こどもの日といえば、鯉のぼりです。中国の故事、鯉の滝昇りで、鯉は努力が成就するという、立身出世のシンボルとなっています。鯉は天敵の巨大魚に食べられそうになったり、(そんなこと、できるわけがないと)笑われたりなどの苦難を経験しながらも、ただただ龍になりたいとの一心で、昇ると龍になるといわれている滝を目指して川を遡ります。その滝は、多くの魚が龍になることを目指して昇ることに果敢に挑むも、成功した魚は全くいませんでした。ところが、この鯉は、自分を信じ、その滝を昇りきることに見事に成功し、神様との約束どおり、龍になることができたのでした。その龍になった鯉というのが、実は、おなじみの鯉のぼりなのです。こどもの成長を願うなら、黒の一尾だけでもよいのではと思った方はいませんか。実は、鯉は寂しがり屋の魚で、群れで泳ぐことを好みます。最も身近な群れといえば家族です。だから、黒のおとうさん鯉、赤のおかあさん鯉、青や緑のこども鯉と一緒に泳がせるのです。一般的な家族鯉のぼりは、こどもとその家族全体の幸せな成長・発展を願うという意味も込められているといえます。(同様に、多数の鯉のぼりを川などにかけるのも、こどもを含むコミュニティの成長や発展を願う気持ちが込められているといえます。)

鮒も鯉と同じコイ科の魚です。実は、日本には在来種のコイはほとんどいないというのをご存知でしょうか。もともと、日本では、鯉は自然の魚としては、あまりなじみがありませんでした。現在、日本の自然の河川や湖沼に生息する鯉のほとんどは、中国などからの帰化由来と考えられています。在来種の鮒とよく似ているので、鯉と鮒とが混同されたりすることもよくありました。(とはいえ、鯉が細長い体型であるのに対して、鮒は鯉よりも小型のずんぐり体型ですので、区別は簡単です。)もし、鯉のぼりを揚げる習慣が、中国の故事によるものではなく、日本独自のものだったとすれば、鯉のぼりではなくて、鮒のぼりになっていたかもしれません。鮒も鯉と同様にたくましくて性格が温和な長寿魚です。銀鮒の里学校の銀鮒には、鮒のように、こどもたちがやさしくたくましい人に成長してほしいという願いを込める意味もあるのです。

昔から、淡水が豊かな日本は、魚はきわめて身近な存在でした。しかし、今日では、河川の暗渠化や護岸工事などが進んだことに加えて、合成洗剤や農薬による環境汚染の影響もあり、魚は人々の心から気が付かないうちに忘れられていったのです。鯉のぼりを見かけたら、今日もたくましく泳ぐ身近な淡水魚のことを想ってください。そして、こどもの成長と重ね合わせてみてください。

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