【こどもの日・緊急訴求】日本のこども文化の危機

きょう5月5日は端午の節句、こどもの日と、二十四節気の立夏です。新緑で明るさを増す山々を背景に、鯉のぼりが泳ぎ、カエルやツバメの鳴き声やこどものはしゃぎ声を聞きながら田植えの準備を進める光景は、日本の端午の節句の原風景ですが、今日では、里山の能勢ですら、そのような光景は年々少なくなりつつあります。つい最近まであたりまえのように思われてきた日本のこども文化は、今、まさに絶滅の危機に瀕しています。

昭和の頃に親しまれてきた昔あそびを守り抜け

昭和20〜30年代(1945〜1964)に小学生だった世代は今は60〜80歳代となり、このままでは、昭和の頃に慣れ親しんできた昔あそびの文化が継承されなくなってしまいます。最近では、小学校低学年の生活科で、こま回しなどの昔あそびのカリキュラムがあることを理由に、楽観視している人もいますが、状況はそんなに甘くはありません。生活科の45分の授業では、じっくり練習することができないので、できないまま中途半端で終わってしまうことが多く、できないまま、知らないままで忘れられてしまうことが多いからです。昭和の頃は、地域のおとなの人から、肌をふれあいながらあそびを教えてもらえたことで、縦のつながりが自然とできていましたが、今は、こどもと関わるおとなが減り、商業ゲームに象徴されるあそびの個別化が進み、人間関係も希薄になり、コミュニケーション能力が育たない社会環境が問題視されるまでになっています。

鮒を知らないこども

実は、銀鮒の里学校の「銀鮒」は、昭和のころのこどもたちの身近なあそび相手だったことから、これからも守り抜き、語り継いでいきたい昭和の古きよきこども文化の象徴でもあり、これからの教育にも反映させたいという想いが込められているのをご存知でしょうか。昭和の頃、ものは少なかったですが、自然は豊かでした。街中のドブ川でも、里山の用水路でも、水があるかぎり、そこには銀鮒が群れをなして泳いでいたものです。昭和のこどもたちは、そのへんにあるものを使い、うどんを餌にして銀鮒などを釣ってあそんでいたものです。しかし、現在では、そのようなあそびをするこどもはほとんどいなくなりました。その原因としては、コンクリート造や暗渠化などで人工化が進んだことで、銀鮒が生息できる水路そのものが少なくなったり、農薬や合成洗剤などの有害化学物質の排出によって生息環境が悪化したことに加えて、商業ゲームなどによるあそびの仮想現実化や商業化や、あそびの技能を教えられる大人が少なくなったことが挙げられます。

昔は野うんちもどきどきする楽しみの一つ

木登りや虫取り、魚釣りにこま回しと、身体を動かしてあそんでいると、元気なこどもは、うんちがしたくなります。とくに農村のこどもは、山際の茂みや草むら、大木の根元などに、おとな顔負けの大蛇のように太くて長いうんちをもりもり出して、友達と元気さを競い合い、かわいいこどもだから、作物の肥やしになるということで、こどもの特権として認められていましたが、調子に乗って、うんちするところを間違えると、「コラーッ!」と怒鳴られたりして…これもどきどきする楽しみのひとつでした。ところが、近年のこどもは、昭和の頃のこどもが食べていたような筋張った野菜をほとんど食べなくなったこともあり、便秘のこどもが増えていることや、鉄筋マンションや洋風家屋の増加やおとなの歪んだ衛生感(潔癖志向)もあり、こどもがうんちをすることを楽しむ文化そのものがなくなりつつあります。しかし、近年では、うんちブームも手伝い、こどものうんち好きが見直されつつあり、コンポストトイレに動機づけられるパーマカルチャーが注目されるなど、こどもうんち復権の兆しもみられます。

鉛筆の芯の軟化が意味すること

昭和の頃のこどもが使う鉛筆といえば、HBかF、もしくは、それよりも硬い鉛筆が多かったですが、最近では、2Bを推奨する小学校が増えているといいます。その理由としては、握力の低下による筆圧の低下が挙げられています。握力が弱いということは、ものを握るという基本動作能力の低下、すなわち、身体機能の退行を意味しています。ものづくりや料理には、切れ味のよい刃物をはじめとする、さまざまな道具を使う必要がありますが、握力が弱い状態で使うと、刃先がブレて繊細な作業が思いのままにできないだけでなく、ケガをするリスクも高くなり危険を伴います。握力が低いからといって甘やかせるのはやってはいけない教育です。2Hから4Hといった硬めの鉛筆を肥後守で削って使わせたり、握りの要素がある知育あそびなどを通じて、ものをしっかりと握りしめ、しっかりと踏ん張ることのできるしなやかな粘り強さを日常的に鍛えることこそが、今、必要なことなのです。

なめなめだがしの教育的意義

昭和のころのこどもにとって、固く練ったはったい粉や米飴、水飴といったなめなめだがしは、とても親しみのある駄菓子で、大好きでした。現代のこどもでも、これらの駄菓子が好きなこどもは多いのですが、なかには、馴染みがないからか、食べるのをすぐに諦めるこどももいます。なめなめだがしは、やさしい味でこどもの身体にも優しいだけではなく、その高めの粘度から、食べきるには根気がいります。また、つばをしっかりと出すことで、美味しさを増すので、唾液の分泌を促す効果も期待できます。なめなめだがしをおいしいと感じるこどもの多くは、つばがよく出るこどもであり、つばがよく出るこどもは、何をやるにもモチベーションが高いという傾向があることもわかっています。なめなめだがしは、今昔共通のこどもの楽しみであるだけではなく、つばをよく出すことによる心身の健康増進に関心を持つことのきっかけづくりにも役立つのです。学童保育や笑い鮒のようなこどものあそび場で、ぜひとも実践の輪を拡げていきたいものです。

今でこそ、生きる力を育てるESDが注目されてはいますが、国や公教育が進めるESDを鵜呑みにするのでは、上記に挙げたような危機を抜け出せるかどうか、とても気がかりです。このままでは、生きる力が育たないまま大人になり、10〜20年後、とんでもないことになります。今日でも、器用さや忍耐力・集中力の低下など、その兆候は現れ始めています。

そこで、銀鮒の里学校では、昔あそびを教えられる60〜80歳代のシニアボランティアの方や、あそびのこども食堂ともいえる笑い鮒を、こどもの居場所づくりに取り入れたいという、ご家族(グループ)や地域こども団体(学童クラブ・ガールスカウト・ボーイスカウト・少年少女団(スポーツ・合唱等))を募集しています。重点募集地域は、大阪府(全域)・兵庫県(阪神・神戸・播磨)・京都府(南部)ですが、これら以外の地域の方も対応可能な場合がありますので、まずはご相談ください。お申込み・お問い合わせは、銀鮒の里学校の公式ウェブサイト上の総合窓口で受け付けております。こどもたちの明るい未来のために、あなたの力が必要です。ぜひとも、お力添えいただきますよう、お願い申し上げます。

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