現代日本人の痛すぎる勘違い:実は「営利企業はあなたのことには関心ない」

「ひとの ときを 想う」という、半官半民のタバコ会社があります。JTです。

この反面教師事例からもわかるように、営利企業、とくに大企業は、あなたのことをまったく想っていませんし、関心なんて欠片もないのです。もしほんとうに、あなたのことを想っているなら、「死の商人」と言われる所以となっているタバコ事業から完全に足を洗うはずです。

お客様相談センターを利用されたことがある方なら実感されているように、お客様のご意見なんか、ほとんど採用されません。営利企業がお客様相談センターを設置するのは、実質的に義務であることに加えて、建前上は「お客様の貴重なご意見を拝聴する」部署を置くことで、「その企業は、お客様のことを想ってくれているのだ」と心理的に錯覚させ、うわべだけの「お客様思いの善良企業」を演出するために、形骸的に設置しているにすぎないというのが、実際のところです。

お店でたくさん売れているもの、それは、ほんとうにあなたがその企業に「つくってほしい」と求めたものでしょうか。ほとんどの場合、そうではないはずです。では、なぜ、たくさん売れているのでしょうか。理由は簡単です。「知っているから」です。社会起業家が俯瞰的にみるかぎり、現代日本人は、非常に臆病で、かつ、卑怯な獣に成り下がっていると思います。世界の代表的な国といわれる、他のG7・OECD加盟国が勢いよく大人を磨いているのとは対照的です。各々が知っているというのは、他からみれば、「そんなの知ったことではない」わけであり、非常に主観的な価値尺度です。たいていの場合、商品・サービス購入動機としての「知っている」というのは、それらを販売する企業が有名な大企業であることや、加えて、そのような大企業が、テレビや新聞、インターネット・SNSなどで何度も反復CMをすることで、思考が停止している人にも強引に浸透させられている状態です。そのようなものばかりを当たり前のように買ったり、使ったりすることは、あなたをますます思考停止にさせ、販売する企業の思いのままに操るチャンスを与え、市民の思うようにいかない社会にしていくだけなのです。日本は資本主義社会です。今日の社会が、あなたの思うように進んでいないと思う大きな理由のひとつは、それなのかもしれません。いくら綺麗事をいったところで、いくら時代が変わっても、営利企業が最も関心を持っている対象は、金銭的利益です。金銭的利益を得るためなら、他者を病気にさせることも厭わないという本音は、合成洗剤メーカー各社やマクドナルドのようなジャンクフード業界の商品ラインナップやマーケティングの姿勢によく現れています。大企業がSDGsに取り組んでいるというのは、国や地方自治体などからの圧力によって、実質的には限りなく義務に近い状態になっているから(逆にいえば、SDGsに取り組まなければ、その企業にとって、マーケティング上のリスクを伴うから、仕方なく)取り組んでいるだけなのです。大企業のSDGsの実態がウォッシュになっているのは、その本音の現れなのです。熟考してみれば、実に単純なことです。

では、どのようなところが、あなたのことに関心があって、あなたのことを想ってくれて、あなたの想うような社会にする力があるのでしょうか。それは、小規模草の根のNPO/NGO(非営利セクター)です。NPO/NGOは、他者を心から想い、他者のために活動をすることで、社会に貢献するという、共通のミッションがあります。日本人の悪いことに、「(自分が)知らないものには関心がない」「(自分が)知らないものは粗悪なもの」だと、勝手に決めつけることがあります。あなたもそういうところはありませんか。あなたの主観で、「GoogleやX(超巨大営利企業)は知っているけれども、銀鮒の里は知らなかったから怪しいのでは?」などと、勝手に決めつけて、距離を置く口実にしてはいませんか、これが、日本で多様性(ダイバーシティ)文化が育たなかったり、市民運動が衰退する根本原因です。今は超巨大企業でも、必ず零細運動体だった時代はあったはずです。今、あなたが知らないことでも、あなたがその取り組みを大きくしていけば、状況は劇的に変わる可能性は大いにあるのです。それこそが、イノベーションの本質です。もしかすると、あなたのその思考停止や「長いものに巻かれる」的な臆病で卑怯な発想こそが、起こるはずのイノベーションを阻害しているかもしれないのです。

あなたや、あなたの周りの人にとって、思いどおりになるような社会にすることは必ずできます。どのようにすれば、そのようにできるのか、一人ひとりが考えるとき、それがまさに今、SDGsです。

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