28日付の沖縄県の地方紙、琉球新報の記事によりますと、今年3月に開店したばかりのビッグモーター糸満店の開店に際して、店舗が面している道路に植栽されていた街路樹10本が移植されていたことがわかりました。この街路樹移植工事は、ビッグモーターが、国道331号線の道路管理を担う南部国道事務所に許可申請を行い、同事務所の許可を得たうえで、ビッグモーターの自費負担で行われたということです。南部国道事務所は、現状のままでは、街路樹の植栽によって展示車が汚れる可能性や、工事により、歩行者の見通しが改善されることを理由に許可したとしています。この糸満店は、「ついに、沖縄にも出店」と、自粛前の全国CMで誇示する根拠となっていた、沖縄県で唯一の店舗です。
ただ、全国では、ビッグモーター関係者の何者かが、「環境整備」を理由に、除草剤を意図的に散布したと疑われる街路樹の不審枯死問題が新たな問題として浮上しており、この沖縄新店の事例は、少なくともビッグモーター社内で、「(公共財である)街路樹が邪魔で不利益な存在だ」という共通認識があったことの証拠となり得るものであり、今後進展するとされる問題の全容解明が注視されます。
郡山店の前にグリホサート除草剤の容器、「環境整備で除草剤」の証拠か
今年6月の時点で撮影されたGoogle Earthのストリートビュー写真において、福島県郡山市のビッグモーター郡山店の店の前の路上に、同店の環境整備用の備品が映り込んでおり、これらのなかに、蛍光オレンジ色の除草剤の容器が含まれていることが確認され、話題となっています。画像解析の結果、問題の除草剤は、フマキラーが販売する「除草王」(ザッソージエース)という商品名のAL剤(そのままシャワー散布ができるタイプ)で、有効成分はグリホサートカリウム塩、すなわち、ラウンドアップマックスロードのジェネリック品と判明しました。グリホサート塩類は、葉に付着した植物のみが枯れる茎葉処理型の除草剤成分のため、葉にかからないかぎり、街路樹は枯れないと考えられています。
このことから考えると、大きく2つの可能性が考えられます。
一つは、環境整備で「除草王」をそのまま使用していた場合です。その場合、街路樹の生きた葉にかかるように散布しないかぎり、その除草剤が原因で枯れるとは考えられないことになります。環境整備で街路樹の生きた葉に散布するという行為をしていれば、「邪魔な街路樹を枯らしてやろう」という、明らかな悪意があることになります。
二つ目は、通常使用で街路樹に影響がない除草剤とされる「除草王」の容器に、実際の内容物としては、根に触れた植物が無条件に枯れるような土壌処理型の除草剤を入れて、通常の使用法で散布していたという、内容物偽装工作の可能性です。「除草王」の特性を知っている人であればあるほど、「街路樹には影響がない」除草剤なので、その除草剤が原因で街路樹が枯れるとは考えません。「まさかバレないだろう」との浅知恵は、ビッグモーターの歪な企業体質から察すれば、考えられなくもないことではありますが、常識的には考えにくいことです。この場合も非常に悪質といえます。
「除草王」を販売するフマキラーの公式サイトでも、「除草王」は、薬剤がかかった下草だけを枯らし、土壌に落ちると吸着・分解されるので、樹木の根元に散布しても影響はないと説明されていることが確認できます。
名古屋市や兵庫県など、ビッグモーター店舗前の街路樹の枯死や枯死樹の伐採を確認した自治体などは、器物損壊罪の証拠を得る作業に追われています。器物損壊罪の疑いで被害届を提出するには、器物損壊の原因として客観的に認識できる証拠の添付が警察から求められますが、この事件の場合は、枯れた街路樹が植わっていた土壌から、枯死の原因となり得る除草剤成分が化学分析により検出されたことを示すデータが必要です。そのため、被害を認知した自治体などは、土壌分析に追われているといいます。
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