愛媛・西条HPAI禍「渡り鳥飛来地での異常認められず」拘束飼育禁止の強力なエビデンスになる可能性も

愛媛県西条市の3か所の養鶏場で発生したHPAIパンデミックに関して、愛媛県県民環境部自然保護課が養鶏場周辺の渡り鳥飛来地等10か所を調査したところ、野鳥の大量死などの異常は認められませんでした。この調査では、ヒドリガモ、カイツブリ、カンムリカイツブリ、ユリカモメといった、HPAIに感染して死亡しやすい検査優先種を中心とした、計25種について調査が行われました。今回の検査では、野鳥の飲み水のウイルス検査は行われなかったということです。さらに、この西条市の養鶏場は海に近い平野に立地しており、昨季にHPAIの感染拡大がみられた香川県三豊市のような、野鳥が羽休めをする場所になりやすく、その他の野生動物も集めやすいため池や湿地はほとんどなく、環境(外的)要因のリスクは最小となる条件の場所であることも注目すべき点です。このことから考えると、AIウイルスを運んでくるとされる渡り鳥の飛来地でAIウイルスが増殖されたりすることなく、フリーレンジのような健全な飼養方法では感染し得ないくらいに少ないウイルス量で、免疫力が極限まで低下したバタリーケージ飼養の採卵鶏に感染し、同様に免疫力がきわめて低い鶏に瞬く間に感染伝播したという、工業的養鶏場における内発的な感染拡大が起こった可能性も考えられます。この事実は、バタリーケージ飼養などの工業的養鶏(超過密飼養)が家畜伝染病に関しての最も重要なリスク要因であることを示唆するものであり、バタリーケージ飼養などの拘束飼育の禁止を決断する際の強力なエビデンス事例になることも期待されます。

●愛媛県県民環境部自然保護課による野鳥緊急調査に関する情報

愛媛県庁/ご指定のページは見つかりませんでした
ため池や湿地などの渡り鳥が群れる場所がほとんどないうえ、東側が海に面した平野の西条市はHPAI禍が最も発生しにくい地理的環境条件であるにもかかわらず、37万羽殺処分のパンデミックが起こったことは、バタリーケージ飼養がHPAIを感染拡大させやすい、防疫上問題がある飼養方法であることのフィールド(現場)エビデンスとなる。工業的養鶏禁止の早急な決断が求められる。(半径10km円(搬出制限区域)の中心は、第1例目の発生農場)

イスラエルでも類似の逆ケースが発生

イスラエルのフラ渓谷で発生している渡り鳥の大量死もまた同様に、拘束飼育禁止の強力なエビデンスになる可能性があります。このケースでは、約50万羽規模とみられる工業的養鶏場が感染源とみられているからです。常に超過密状態の工業的養鶏場は、感染がきわめて起こりやすい状態であり、しかも、感染伝播もきわめて速く起こるため、まさに「非常に高効率のウイルスインキュベーター」といえる状態を形成しています。その工業的養鶏場の多数の鶏生体内でHPAIウイルスが増殖され、大量のHPAIウイルスが環境に放出されたことで、渡り鳥が次々と感染し、大量死を招いたと考えられます。この例では、野生鳥獣保護の観点からの拘束飼育禁止の動機づけになる可能性があります。

コメント

  1. […] ふなあん市民運動メディアは、昨日、大阪府が環境省が策定した「野鳥における高病原性鳥インフルエンザに係る対応技術マニュアル」を根拠にして、野鳥不審死の調査・処理業務を拒否した問題から、当該マニュアルの行動基準を、AI緊急事態に即した厳格化案として、鳥種・死亡個体数に関係なく、1羽でも死亡鳥を目撃した場合は、目撃者の環境・保健衛生当局への通報と、通報に基づく関係当局の現場駆けつけと防疫上必要な調査と処理を義務付けるよう、また、素人処理による感染拡大のおそれを完全に排除するために、素人処理を禁止するよう、政策提言を行います。(現行の「野鳥における高病原性鳥インフルエンザに係る対応技術マニュアル」では、地方自治体等による調査・処理の対象外となる事例の場合は、手袋着用で回収することを求める素人処理を行う旨の記述があります。)このような政策提言を行うに至った科学的背景には、12月31日に第1例目が発生した愛媛県西条市のバタリーケージ養鶏場でのHPAI禍(原因ウイルスの遺伝子型は、人への感染も懸念されているH5N1型)に関連した愛媛県の野生鳥類の調査で、とくに異常個体が確認されなかったことから、現行の「野鳥における高病原性鳥インフルエンザに係る対応技術マニュアル」に基づくかぎり、妥当性のある説明ができない事象が現場で発生したということなど(※当メディアに関連記事あり)が挙げられます。さらにカナダでは、H5N1型鳥インフルエンザウイルスへの感染が原因とみられる人の死亡事例も報告されています。(※当メディアに関連記事あり)新型コロナウイルス・オミクロン株の教訓もあり、人新型インフルエンザの未然封じ込め策は、待ったなしの状況にあります。 […]

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