米国(アメリカ合衆国)では、ロメインレタスなどの葉物野菜を原因とする食中毒が頻発しており、大きな社会問題となっている。それも、屋内での水耕栽培などの環境制御型農業(CEA)によるものであるから、露地ものであれば、なおさらのことである。多くの場合、原因の病原体は病原性大腸菌O-157であるが、これは牛糞が原因となるからだ。
鶏糞の問題はさらに深刻
厚生労働省の研究班は3年前に、実際にスーパー等に流通する国産の鶏肉の半数以上から、薬剤耐性菌が検出されたことを明らかにした。
しかし、農林水産省はこの事実を把握していなかったことが、ふなあん市民運動メディアの独自取材で明らかになっている。もちろん、家畜糞尿堆肥の衛生基準など定めているはずもないわけである。
生の鶏肉ですら、医療用の抗生物質や抗菌剤が効かない薬剤耐性菌が検出されたり、食中毒菌で有名なカンピロバクターで汚染されているわけだから、細菌の密度が最大となる鶏糞の汚染がいかにひどいかは、容易く予想できるだろう。独自取材に対して、農林水産省は「発酵熱で滅菌されているだろうから問題ないだろう」と机上の空論を唱えるが、耐熱性の細菌がいてもおかしくないわけであるし、これだけ細菌密度が高ければ、ある程度は生き残りがいても不思議ではない。わずかな病原菌であっても、食品や人体内などで、増殖により有利な条件が整えば、急速に増殖し、毒性(病原性)を発揮するわけである。
食肉養鶏でも採卵養鶏でも、成長促進の理由で、餌に抗生物質や合成抗菌剤を添加することが常習的に行われている。このような悪しき慣行が、厚生労働省研究班が明らかにした薬剤耐性菌汚染の実態の背景にある。今や有機JAS等の有機農法認証があるからといって、安心はできない。農薬や硝酸性窒素だけではなく、有機肥料等の投入物で何を使用したかまでを明らかにすることが、生産者には求められ、そのような責任ある農産物の消費を支えていくことが、消費者にも求められるようになるのは、持続可能な農業の観点から、必至の情勢だ。
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