それでもあなたは不毛な戦いに心血を注ぎますか
実は、健康な人のからだは、多くの常在菌や常在ウイルスによって守られていることをご存知でしょうか。なかでも最も多いのが腸内細菌・ウイルスであり、その余剰分約3分の1が「うんち」として、体外に排出されます。糞便移植という治療法があることからもわかるように、健康な他人のうんちを体内に入れたとしても、全く問題がないこともわかっています。それほどなのですから、手のひらなどの皮膚常在菌ならなおさらです。もし、強力な殺菌剤や消毒剤で殺菌したとしても、皮膚常在菌はすぐに現状復帰します。逆に、殺菌剤や消毒剤の過剰使用で、皮膚常在菌を無理に押さえ込んだりすると、感染から守ってくれる皮膚常在菌がいなくなるため、感染が起こりやすくなるのです。抗生物質の内服薬を服用すると、高い確率で下痢や腹痛を伴う体調不良が起こりますが、これも抗生物質によって腸内細菌の多くが死滅したり悪影響を受けたことによります。除菌・抗菌を謳った商品を使うことがいかに不毛なことであるかがお分かりいただけると思います。
性別を問わず正しく理解したい膣のこと
実は、女性器の膣(おまんこ)のことについて正しく理解することは、ばばっち教育(保健衛生教育)で非常に重要な意味を持っています。思春期に入り、生理が始まると、デーテルライン桿菌という膣特有の常在菌が発生し、定着することが知られています。おりものというとろっとした液状のものは、健康な女子の場合、デーテルライン桿菌が生成する乳酸によってかなり強い酸性となり、おりものは白色で爽やかな酸っぱいにおいがします。この強い酸性のおりものが膣感染症の原因となる有害微生物の増殖を未然に防いでいるのです。また、そのおりものが適量、膣外に排出されることによって、自然な洗浄が行われ、清潔な状態が保たれるしくみになっているのです。しかし、膣常在菌のしくみを正しく理解せず、誤った手入れをすることで、膣感染症を発症するケースが多いそうです。膣感染症にかかると、常在菌のデーテルライン桿菌が劣勢となるため、おりもののpH値が上昇し、異臭がするようになります。そのため、おりものの量や爽やかな酸っぱいにおいを日々確認することは、膣感染症を予防するために、とても大切なことなのです。
入りくんだ深い穴状の構造をしていますが、石けんなどで洗ってはいけません。おりものによる自浄作用を活かし、外側を軽く洗うだけにとどめて「ばばっちきれい」な状態を維持することが正しい手入れです。男子は全く関係がないと思われがちですが、おりものの酸っぱいものの意味や、正しい手入れを理解することは、女子を思いやることや、常在菌の大切さの理解を深めるうえでもとても重要な意味があります。さらに膣は、人体の表層部のなかでは最も化学物質を取り込みやすいことが知られています。このことからは、殺菌剤や消毒剤のようなものだけでなく、合成洗剤や柔軟剤、毛染め剤などの有害物質の経世代影響とも密接に関わっていると考えられます。膣や子宮への取り込みは、不要な化学物質の使用を極力避けるべき重要な理由の一つになっています。(銀鮒の里学校では、思春期に入る前に、このことを学ぶことで、思春期に入って戸惑うことのないよう配慮をする予定です。)
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