マクドナルドと暴力

日本マクドナルドの元社長原田泳幸容疑者が妻への暴行の容疑で逮捕された。実は、マクドナルドと暴力とは密接な関係があるというのは、サステナビリティ界隈では常識といえることでもあり、円滑な対話のためには、ぜひとも共有していただきたいことである。

畜産業と暴力

すべてとはいわないが、畜産業、とくに工業的畜産は殺生や死の軽視から、暴力とも関係があるといわれることがある。大量生産の工業的畜産施設では、畜産動物はもはや動物ではなくてカネを得るための手段でしかなく、そのためならば、乱暴な扱いをも厭わないという。そのため、市民感覚とはあまりにもかけ離れた、動物の残酷な扱いで精神を患い、やめていく人も多いという。そして、市民感覚に沿うかたちの畜産業を追求していくと、飼養規模は数桁も少なく、それでやっと動物本来の輝きをとりもどせるというのだ。当然、スーパーの工業的畜産の肉や卵と比べると少なくとも数倍、高い場合は十倍以上の値段がつくことも少なくない。工業的畜産はエコシステムとしての共存は許されず、それを人間の都合で強引にやろうとすれば、何らかの暴力を伴うというわけである。例えば、バタリーケージ養鶏では、オールイン・オールアウト方式という鶏の導入淘汰方式をとる養鶏場が多い。これはいうまでもなく、養鶏場の人間の都合だ。個体差はあるが、採卵鶏は平均して生後550日齢で産卵効率が低下するといわれている。そのため、個体差や健康状態にかかわらず、生後550日齢の時点で、すべての鶏がバタリーケージから乱暴なやりかたで引き抜かれ、無造作に放置される。これらの鶏は、まさにゴミ同然ということで、廃鶏といわれる。廃鶏は廃鶏処分業者の判断次第で、屠殺(斬首)後、食肉や動物用餌、油脂、化学原料、肥料などに加工され、そのまま焼却処分される場合もあるという。この過程を知って誰が暴力ではないといえるだろうか。

ヴィーガンと反暴力

一方、ヴィーガン(精進料理)は、反暴力(非暴力)運動や殺生禁止の風習とも密接な関係があるといわれてきた。例えば、インドのガンジーや南アフリカのアパルトヘイト反対運動のリーダーであるマーティン・ルーサー・キング二世も、動物を擬人化した童話作品で知られる宮沢賢治も、ヴィーガンの考え方を推奨・支持してきたという。また、日本の仏教の風習であるお盆には、殺生は憚られるため、動物の苦しみを一切含まない精進料理を食し、なすやきゅうりでつくった馬の置物をお供えしたりする。反暴力を追求する知的熟考の過程で、ヴィーガンや精進料理は、誰しも通過する精神過程だといっても過言ではないほどである。

マクドナルドはレンダリングビジネスのレストランスタイル

マクドナルドのメニューで、一枚肉のメニューがない理由をご存知だろうか。それもそのはずで、マクドナルドとは、ビストロのような生粋のレストランではなく、レンダリングビジネスを外食レストランチェーンのスタイルに仕立て上げたものだからである。レンダリングとは、食肉には適さない部位をタダ同然ないしは引取手数料を徴収して引き取り、ミンチ肉や成形肉、動物性ショートニングに加工して再商品化するビジネスである。マクドナルドにおいて、レンダリング産物は見事なまでに有効活用され、クズ肉や骨からはパティのミンチや調味原料に、油脂を搾り取った動物性ショートニングは、マックフライポテトの揚げ油などになる。このような考え方は、鶏肉を使うチキンマックナゲットなどにも応用されているとみられる。2年前、日本のマクドナルドで、「東京ローストビーフバーガー」があたかも一枚肉であるかのように広告していながら、実際には成形肉を使っていたとして、消費者庁から約2171万円もの課徴金納付命令を受けるという、なんともマクドナルドらしい不祥事があった。

ローストビーフ、実は「成形肉」 マクドナルドに課徴金:朝日新聞デジタル

ドナルド・マクドナルドは児童虐待の象徴

マクドナルドの本家のアメリカでは、メインキャラクターのドナルド・マクドナルドは、児童虐待の象徴として怖れられ、激しく嫌われている存在である。カラフルな遊具でこどもを誘引し、ハッピーセットのプラスチック玩具のおまけで、もともとハンバーガーに無関心なこどもの食欲をあおり、野菜のくせのない、クズ肉の単調かつ強い味で、こどもの偏食傾向を強め、マクドナルドでなければいけないという偽のモチベーションをでっち上げ、こどもをマクドナルドの虜にし、一生、物言わぬマクドナルドの顧客になってもらおうという、誘拐にも喩えられる欺瞞的な作戦である。当然、熟考することもなく、マクドナルドの思惑にはまれば、腸内細菌は劣化し、さまざまなアレルギー疾患や生活習慣病、がんなどの発症の原因となり、コカ・コーラとの相乗効果で心も荒み、新たな暴力を生み、社会の治安は悪化し、自然環境も破壊され、持続可能性が損なわれる。しかし、善良な草の根教育の機会に恵まれると、こどもは救われ、成長すれば、マクドナルド反対や遺伝子組み換え・化学合成農薬反対などといった市民運動の優秀な「戦力」として活躍するようになり、こどもにも揺るぎないサステナブルな価値観が定着し、市民性を維持する循環ができるのだ。

暴力反対・平和主義はマクドナルド反対運動の大義のひとつ

マクドナルドの劣悪な食事は、戦闘欲を駆り立て、喧嘩や攻撃をもたらし、それがやがて、戦争を生む。暴力反対や平和主義を主張する市民運動の主体はそのことにいち早く気づき、その具体的な方法の一つとして、マクドナルドの不買・不食(ボイコット)を実践するのである。また、その逆もいえる。もちろん、このことは、児童教育にもあてはまることであり、こどもにマクドナルドを食べさせるかぎり、いじめや暴力を伴う喧嘩はなくならないといっても過言ではない。つまり、小学生でも急増しているといわれるいじめや暴力を根絶したいのであれば、まず教育によってマクドナルドを禁止すべきなのである。さらに、マクドナルドには、商業ゲームプレイの動機づけになる仕掛けもあり、それもマクドナルドのセットと相乗的に暴力やいじめを助長するので、マクドナルドの飲食は、こどもの健全育成の観点からもきわめて有害であるといえる。マクドナルドの禁止は、こどもの平和意識を滞りなく育て、持続可能性への理解や関心を高めるうえできわめて重要な意味をもつので、必ず実践されたい。

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