今、養鶏業界が恐れていることは何か

新年あけましておめでとうございます。この清々しい元旦の日、みなさまはいかがお過ごしでしょうか。本日からスタートしたふなあん市民運動メディアは、PCはもちろん、WordPressアプリを使えば、スマホからも快適にご利用いただけますので、初詣の合間などにもお読みいただけます。このお正月には、知的な対話もお楽しみいただけましたら嬉しく存じます。

さて、お正月からではありますが、世の中はいうことをきいてくれないわけで、このような悩ましい話題を取り上げることになりました。賄賂疑惑のケージ養鶏大手アキタフーズ、今度は、政府系金融機関の融資条件緩和を、吉川元農水相を通じて働きかけをしていたという疑惑が、捜査の過程で浮上してきたのです。

金融公庫融資緩和も要請 鶏卵大手アキタフーズ元代表、吉川元農相に100万円渡し:東京新聞 TOKYO Web

金融公庫融資緩和も要請 鶏卵大手アキタフーズ元代表、吉川元農相に100万円渡し:東京新聞 TOKYO Web

この100万円供与の目的は、資金繰りが厳しいケージ養鶏業者がつなぎ融資を受けやすくすることを求めるものであり、政府系金融機関の監督官庁の長という農水大臣の職務権限を利用したともされることから、賄賂(違法)の疑いも強いとみられています。もし賄賂であることが確定された場合、これまでの「疑惑」ではなく、贈収賄事件として立件され、少なくともアキタフーズ元会長と吉川元農水相との双方が逮捕となる公算が高いというわけです。

さらに、本日の報道によると、吉川氏の農水相就任前に、アキタフーズ側が、農政としてのアニマルウェルフェア推進への反対をより強固なものにすべく、1,300万円を手渡したと述べていたことがわかり、吉川元農水相は、農水相在任中の計500万円とあわせると、なんと1,800万円も受領していたというのです。それほどまでに、ケージ養鶏業界にとって恐ろしいものとは何なのでしょうか。ここから抉っていきたいと思います。

四面楚歌の日本のケージ養鶏

持続可能性界隈の方ならすでにご承知のとおり、9年前の2012年、EUでは、いまだに日本では採卵養鶏の9割を占めるとされるバタリーケージ飼養が法律で禁止になりました。つまり、日本の9割超の採卵養鶏業者はEU法では違法ということになるわけです。バタリーケージ飼養禁止の理由はいうまでもなくアニマルウェルフェアの問題です。鶏卵の生産性のことだけを考え、本来の生態を無視され、モノ以下の乱暴な扱いをされるバタリーケージ養鶏への倫理的反発は非常に強いものがあるわけです。EUでは、鶏の生態がある程度考慮されたエンリッチドケージも含めて、とにかくケージ養鶏そのものが残酷非道であり全廃すべきだという民意が、販売店と消費者との双方で強く、EU圏の多くの国では今後5年以内に、一切のケージ養鶏がゼロになるものとみられます。その一方で、日本は、鳥インフルエンザで500万羽近くもの鶏が殺処分されても、ケージ養鶏業界は、鳥インフルエンザよりもアニマルウェルフェアの封じ込めに躍起であり、そのためには、賄賂をはじめ手段を選ばないという、腐敗しきった、なんとも情けない実態があります。この社会の現実を知ろうともせず、安売りのケージ卵を何のためらいもなく買う消費者もまた同罪であるというべきかもしれません。

自浄作用を妨げる鳥インフルエンザ補償金にも関係か

吉川元農水相への金品授受を伴うとされるアキタフーズのロビー活動は、国際世論に照らして不可解なまでのケージ養鶏業界擁護政策に関係したしているのではないかという疑惑ももたれます。

千葉県いすみ市のいすみポートリーは、アキタフーズグループの200万羽規模の採卵ケージ養鶏場です。その養鶏場の鶏から高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)が検出され、同じ農場に居合わせていた116万羽が殺処分されています。当然、これは史上最大規模の鳥インフルエンザ禍です。国や県は、これだけ大きな規模の人災を起こしていながら、事業者のプライバシー保護を理由に、事業者名を非開示としたうえで、事業者のに対して、全額の損害補償を提供するなど、他の業界などでは考えられない、異例の優遇対応となっているのです。災害の補償金は、条件がよくてもごく一部しか出ないのが通例であり、例えば、10年前の東日本大震災でも、政府などの補償が不十分で倒産・廃業を余儀なくされた企業や個人事業は多数あり、社会問題にもなりました。その一方で、持続可能性上で黒い問題を数多く抱える業界であるにもかかわらず、HPAI再発の可能性がある復旧であっても、あえて目をつぶり、全額補償という異例中の異例の「神対応」も、アキタフーズの賄賂が効いているのかもしれません。あまりにも不公平で不可解な補償制度であるだけに、今後、真相究明のために、市民ぐるみで農林水産省などにヒアリングをしていく必要があるのかもしれません。もちろん、補償の原資は国庫金、すなわち国民が納めた税金です。

ケージ養鶏業界が恐れるESG金融シフト

金融の業界でも、昨年あたりからESGというキーワードがよく聞かれるようになりました。E(環境)・S(社会)・G(企業統治)の取り組みが企業や組織の信用を決定づけ、ESGに真摯に取り組む企業や組織に積極的に手厚く融資することで、(社会を循環しない死に金をつくらず、)社会的に有意義で持続可能な資金循環を促していこうという金融の考え方がESG金融です。

いうまでもないことですが、前述のような国際社会の民意に真っ向から反するようなケージ養鶏業界は、ESG金融では冷遇されます。国際的世論であるアニマルウェルフェアの推進に協力的ではないどころか、賄賂(の疑い)の力で妨害までしているわけで、資金繰りが厳しいほんとうの理由は、そこにあるのです。今後、金融業界のESG指向はよりいっそう進むのは必至とみられ、場合によっては、忖度だらけの行政よりも、ESG金融シフトが加速する金融業界が、国際民意に背くケージ養鶏企業に貸し渋ることで、鶏卵業界のESG淘汰のしかけ役になる可能性が高くなるかもしれません。

いかがでしょうか。このように、ケージ養鶏業界には、知られざる闇の部分がたくさんあり、ふなあん市民運動メディアも独自のデータマイニングを行い、多くの疑惑をあぶり出しています。知らないことを放置することは、さまざまな不公平を黙認することにもなり、そのつけは、ブーメランの如く、私たちに返ってくるわけです。熟考に基づく討論でこそ、求める真実に到達できるということを信じて、地道な市民運動での協働を呼びかけたいと思います。

コメント

PAGE TOP
⚠警告:非認証ユーザーのコピー行為はあなたにとって重大な法令リスクを伴います。