国交省異例のヒアリングでいよいよ終末期突入か、ビッグモーター保険金不正・器物損壊疑惑

今年4月中旬に開店したばかりのビッグモーターの大規模店舗(関西地区)
この店は、かつての業界No.1スーパー(現 業界No.1スーパー傘下)の跡地にできた。

メーカーや年式をこえて、いろいろな名車に愛情を注ぎ、自身と興味関心を同じくする車好きのお客様との車談義を楽しみながら仕事ができるということで、根っからの車好きの人にとっては、この上ないやりがいを感じるという中古車業界。そんな、中古車業界の夢や希望とは裏腹に、業界全体のイメージを一発で悪くしている、自他ともに最大手を認める企業が大きな波紋を呼んでいます。中古車ディーラー最大手のビッグモーター(東京都港区)の保険金不正・器物損壊疑惑です。

究極の見栄っ張り?西日本地盤の近郊型なのに東京・六本木が本社の怪

ビッグモーターのウェブサイトによりますと、ビッグモーターは今から47年前の1976年、山口県岩国市に、現在の社長にあたる兼重宏行氏が、個人商店としての「兼重オートセンター」を開業したことに始まるといいます。当面の間は、山口県を中心に堅実に規模を拡大してきたかのように見えますが、2005年から11年をかけて、関西地域主力だったハナテン(8710)を傘下に収め、「ハナテン」ブランドの店舗をビッグモーターに順次転換、2016年には、ごく一部の店舗を除き、ハナテンのブランドを事実上消滅させた経緯があります。今年には、「沖縄県にも開店」と誇らしげにCMをしていたこともありました。今日ではビッグモーターは全国展開をしているとはいえ、やはりビジネスの中心は西日本に偏在しています。それでも、東京都港区六本木の六本木ヒルズ内に本社を構えるという不自然な経緯にも、ビッグモーター特有の行き過ぎたトップ君臨欲、虚栄心体質を垣間見ることができます。六本木ヒルズは「成功者の象徴」として注目されたこともありましたが、当然、六本木に大規模な中古車販売店をつくるわけではありませんし、現実的に不可能です。(かつてのハナテンのように)都市近郊型の最主要店舗に併設するように本社機能を置くことが多い中古車業界として現実的な考え方とは乖離した「経営陣の虚栄心を満たすことを最優先するちょっとおかしい会社ではないか」と思うのは、このような不自然な経緯からも推察されるところです。

純粋な車好きなら退社せずにはいられない

「純粋に車が好きだ。その、純粋に好きな気持ちを満たしつつ、持続的な利益を誠実に上げ続けたい。」それが実現できることに魅力を感じて、中古車ディーラーに就職したり、起業したりする動機だという人は多いはずです。車好きの人が抱く、車に対する思いは、愛犬家や愛猫家が犬や猫を愛する気持ちに近いものがあります。機械でありながらも精巧であるがゆえに動物のように動き、真の相棒として活動をともにしてくれる頼もしい車には、動物の魂のようなものが宿るとみる人は、車好きの人でなくても少なくありません。しかし、ビッグモーターの幹部が現場に指示していたことは、純粋な車好きにとっては、心が痛むことばかりだといいます。実際に、そのような純粋な車好きとしては堪えられないビッグモーターの非道な企業体質を見限り、退社したという人も多いといいます。

例えば、これらのような、聞いて誰しも耳を疑うような驚愕の不正行為が実際に行われていたといいます。もしこれらが事実であれば、すべて犯罪行為にあたるとみられ、今後、刑事事件に発展する可能性もあります。

  • ひょうの被害をさらに誇張するために、ゴルフボールの入った靴下を振り回して故意に車体にぶつけて傷を拡げ、高額な保険金を請求した。
  • 修理代を稼いだり、保険料を請求する口実を作るためだけの理由で、交換が不要な部品まで交換するという不要な作業をでっち上げた。
  • 交換の必要がある状態をでっち上げるために、ヘッドライトなどを故意に破損させたり、タイヤを故意にパンクさせた。
  • 顧客や保険会社には「高級部品に交換」と説明しながら、実際の交換部品はリサイクル品や廉価品を使用し、本物の高級部品と実際の交換部品との差額を不当な利益としてネコババした。
  • 普通車へのバッテリー交換を行った際、適合しない軽自動車用のバッテリー、それも中古品に交換したことが、他店での診断で判明した。(本来交換すべき部品との差額を不当な利益としてネコババした。)
  • 車検での検査や整備は、有資格者が行う必要があるが、実際には無資格者にさせる違法行為が横行していた。

このような、現場への不正行為の指示は、LINEを使って行われており、「1台あたり約14万円を稼げ」というような、考えられないようなノルマも課せられていたといいます。上層部からの指示には逆らえず、会社内でうまくやっていくには、上記のような犯罪行為をでっち上げなければやっていけないような社風があったということが、最近になって、外部弁護士による調査報告書でわかってきています。

悪びれることなくCM連発も、国交省ヒアリングで観念か、19日からCM止まる

国土交通省は18日、道路運送車両法違反の疑いがあるとして、ビッグモーターに対して、事実確認のヒアリングを行うと発表しました。閣議後にこの発表を行った斉藤国土交通大臣は、「我々も(ビッグモーターの実態については、これまでに)聞かされていない。もし事実なら、言語道断だ。」と語り、憤りを隠せませんでした。

この国土交通省のヒアリングに、ビッグモーターはもう後がないと悟ったのでしょうか、その翌日にあたる19日午前から、民放FM局の反復ラジオCMが突如として止まり、空いた枠には、ACジャパンの啓発広告に差し替えられていました。というのも、18日の時点では、ネット上などに飛び交う批判もそっちのけで、マウンティング要素でいっぱいのいつもの強気のCMを繰り返し放送していることを確認しており、このことからも、ビッグモーターの懲りない開き直り体質をうかがい知ることができます。

不正行為が原因で死亡事故の懸念も、ケージ卵に次ぐ最大手倒産に現実味

国土交通省が懸念するように、無資格者による車検実施や不適切な整備は、道路運送車両法などの人命にも関わる法律に違反する可能性があり、不正な整備が原因で死亡や負傷などの事故が実際に発生した場合、ビッグモーターは、多大な責任を負うことになり、当然、それ相応の賠償金等の負担や、それ以上に、企業そのものの信用低下が発生します。昨年3月のケージ卵最大手、イセ食品の倒産は記憶に新しいところですが、ネット上などでは、「ビッグモーターの倒産も現実味を帯びてきた」とするような論調も出てきています。疑惑発覚後のビッグモーターの対応も信じがたいほどに楽観的で、記者会見を開催する気配もみられません。この7月には、茨城県・岐阜県・青森県でそれぞれ1店ずつ、新店が開店しており、このことからも、ビッグモーターの楽観開き直りの体質が垣間見られます。ビッグモーターは倒産してみないと、事の重大さに気づかない企業なのでしょうか。悪い企業は数あれども、このような企業は前代未聞の存在といえます。

「認」「証」という字に注目。認証されない可能性を想定して、4月中旬の開店間際に後書きされた。

中古車業界全体への風評被害の懸念も

ネット上には、「最近の中古車業界は全体的に悪どいのではないか」との声もあり、中古車販売で最大手のビッグモーターの不正行為の影響は、中古車業界全体にも波及しつつあります。しかし、実際には、「純粋に車が好きだ」という、善良な中古車販売業者も多く存在するものと確信するところです。言い換えれば、事業者数は少なくても、悪いことは、さも全体が悪いかのように際立って見えるほどの悪影響があるということです。このようなことは、とても残念で悲しいことです。ごく一部の事業者による悪事は、真面目に、真摯に向き合って仕事をしている事業者まで理不尽な思いを強いられることにもなりかねません。実際に、石けん技術者でもある記者も、同様の思いをしたことがありますので、痛いほどよくわかることです。だからこそ、真面目な取り組みを翻弄するような、少数の大手による悪事は許せないのです。

真面目な仕事が正しく報われるという、ごくあたりまえのことがあたりまえのこととして認められる世の中であり続けるためにも、悪いことに対しては、厳しい社会的制裁が課せられる社会に、一人ひとりが考え行動するようにしていきたいものです。

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