ビル・ゲイツとJ&Jが狙う世界(2)

ビル・ゲイツは何を目指しているのか(続き)

マイクロソフトは2015年から雲行きが怪しくなり始めます。その年には、Windows 10がリリースされましたが、いつもであれば、次期バージョンのリリースに関する情報が発表されるタイミングでも、その情報は発表されなかったのです。発表されたのは、「Windows 10は最後のWindowsであり、Windows 10内でのアップグレード(従来のサービスパック(SP)に相当)の提供を繰り返す」というものでした。リリースから6年、もう次期Windowsが出るはずのタイミングですが、マイクロソフトから発表されるのは、Windows 10の旧パッケージのサポート終了日に関する情報ばかり。いつWindowsの終了を宣告されてもおかしくない状況なのです。

マイクロソフトは、Linuxへの合流を画策しているとみられます。その根拠となる動きとしては、次のようなものがあります。

  • GitHub社の買収
  • マイクロソフト開発プログラム・サービスのLinux対応
  • Raspberry Pi対応のWindows 10 IoT Coreの配布

GitHubはLinuxユーザー御用達のプログラム配布サービスであることから、買収は、いつでもマイクロソフトによるLinuxユーザーの囲い込みができることを狙っているのではないかと推察されます。次はLinuxの征服を企んでいるのでしょうが、Linux全体としては無理です。というのも、Linuxには、商用系のRedHat系と市民草の根系のDebian系とがあるためであり、狙うとすれば、IBMとの古い付き合いがあることからも、RedHat系であるとみられます。(これは、銀鮒の里学校がDebian系Linuxの使用を推進することの大きな理由の一つでもあります。)これまでLinuxはガン無視でWindows独自路線を貫いていたマイクロソフトが、最近になって、Raspberry Pi対応のWindows 10 IoT Coreのリリースや自社のプログラムやサービスをLinux対応化してきているのも大きな動きであり、これもWindows廃止とLinux合流の準備活動の一環ではないかとも考えられます。

これに対して、Linuxユーザーに対する挑発行為ともとれるプログラム工作の疑惑もあります。Windows 10とUbuntuなどのLinuxとのデュアルブート構成にするとき、Windows 10がLinux環境を破壊する疑いがあるというものです。Linuxとはいっても、マイクロソフトとは全く方向性が異なる草の根派のDebian系Linuxは敵視し、暗に潰しにかかろうとしているのかもしれません。

ビル・ゲイツは、マイクロソフトから離脱し、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の活動に専念し始める時期を探りながら、現在でも相談役として役員の籍は残すという状況になっています。GoogleのAndroidやChrome OSも含めたLinux系OSの勢いに押され、迫るWindowsの最期を悟ってのことでしょう。そして、彼がWindowsによる支配の次に狙っているのは、「情報技術者の実験経験を試す遺伝子の支配」なのです。次は、そのような動きについて説明します。

(続く)

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