【ビジネスアイデア】調味素材としての「酵母」に注目

ヴィーガン先進地域の欧米では身近な食品素材

酵母はヴィーガン対応食品では貴重な、事実上の完全栄養食品といえるくらいの、きわめて栄養価が高い食品(スーパーフード)として身近な存在となっています。酵母はチアミンなどのビタミンB群の含有量がきわめて多いうえ、アミノ酸や核酸などのうま味成分を多く含んでいます。実は和食でも、日本酒やみりんを調味料として使いますが、これは、エタノールの理化学的特性を活かした調理効果のほかに、酵母が持つ天然のうま味を活かす意味があるのです。

灘・西宮郷の酒蔵と食品工業が集積する神戸・阪神地域に熱視線

神戸・阪神地域は、灘・西宮郷の日本酒の酒蔵と、全国のスーパーやデパ地下でもおなじみの食品製造企業が集積する、全国的にも特徴的な地域のひとつです。日本酒の酒蔵では、日本酒の副産物として大量の酒粕が発生します。この酒粕を利用した粕汁は、寒くなるこれからの時期に嬉しい神戸・阪神地域の郷土料理として有名ですが、酒粕に含まれる豊富なうま味成分のため、粕汁は出汁をとらなくても美味しいのです。ふなあんグループのサステナビリティ・ビジネス・プロジェクトは、うま味成分が豊富な酵母菌体を多く含む酒粕の優れた食品化学特性と、日本酒の酒蔵と食品工業とが同時に集積する神戸・阪神地域の地域特性に着目、神戸・阪神地域に本社を置くいくつかの食品企業に、酵母活用のビジネスアイデアを提供しているほか、今後は兵庫県や商工団体などにも、食品工業の持続可能性戦略として、酵母の食品化学特性を活かした調味素材の高度活用を提案していく予定としています。神戸・阪神地域に本社を置く食品企業では、食品添加物であるL-グルタミン酸ナトリウムなどのアミノ酸の使用や、カツオエキスや畜肉エキスの使用が常態化していますが、アミノ酸の単体使用は、加工食品独特のクセ味の原因となり、動物性エキスを含むと、食物アレルギー(豚・鶏など)を持つ人やヴィーガンが摂取することはできなくなります。酵母調味原料は法令上の食品素材であり、食品添加物ではないため、食品表示改善技術の一つであるだけではなく、特定アレルゲン食品ではないため、アレルギー体質の人やヴィーガンでも摂取できるサステナブル・ユニバーサルデザインに積極的に対応できます。食味も自然であり、和・洋・中の料理のジャンルを問わず利用可能です。また、これまではアメリカなどからの輸入品が一般的だった栄養酵母(ニュートリショナル・イースト)は、すでにヴィーガンにとってはなじみがある食材ですが、神戸・阪神地域での酵母調味素材の生産が本格化すれば、これが日本国内で自給できる体制が整うことにもなり、食品添加物の削減とヴィーガン・ベジタリアンニーズへの対応を高度に両立することが容易になります。

酒粕を使った粕汁や甘酒を楽しみながら、ぜひ、酵母の可能性を実感してみてください。

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