思考停止社会では知られていない、「タイパ系合成洗剤」が短命に終わる、至極当然の理由

「たった5分で驚きの白さに」「独自のテクノロジーで、スピードコースでもしっかり汚れを落とす」という触れ込みの「タイパ系合成洗剤」を花王やP&Gが発売していたものの、たった数年の短命にて廃番となっていたことをご存知でしょうか。マーケティングの天才とも皮肉られる合成洗剤メーカーが、「そんなバカなことを…」と思うでしょう。ところが、逆で、あえてそのような、市民感覚では想像すらしないようなバカなことを、合成洗剤メーカーは、マーケティング戦略としてやったのです。なぜ、タイパ系合成洗剤は短命だと予見できたのに、あえて発売し、短命で終わらせたのでしょうか。

実は、理由はとても単純です。もし、延命させて販売し続けたとしましょう。すると、商業批判意識の強い消費者か、消費者行政機関が商品性能テストをし、その景品表示内容と性能との間で相違があることがバレた場合、合成洗剤メーカーは、景品表示法違反で、課徴金支払命令が下されたり、法令違反が指摘され、公表されることにより、企業のブランドイメージに泥が塗られることになるからです。ウソがバレないうちに、その商品だけを部分的に撤退させては、また別の触れ込みの商品を新発売にする、ということを繰り返すことで、監視の目をすり抜けられるという、非常に狡いやり方をしているというわけです。新発売から消費者庁や国民生活センター、地方自治体の消費生活センターといった消費者行政機関がそのウソを見抜くまでには、通常は数年はかかるとされています。その、バレるギリギリのタイミングを終売時期に設定するわけです。実に巧妙といいますか、ずる賢いマーケティングテクニックです。

炭酸塩入りの粉石けんのように、ほんとうに性能の高い製品が地味ながらもロングセラーである理由は、その真逆です。もともと性能が高いことは、よく知れ渡っているから、ウソをつく余地がないわけです。正直に、正々堂々と売れるので、その性能の高さと誠実さから、意識の高いお客様にとって、なくてはならない存在であり続けるわけです。

合成洗剤やそれに付随する商品はなぜ短命か、その理由がわかれば、より容易に、合成洗剤と決別でき、より納得して石けん使用に転換できるはずです。思考停止は、そのようなチャンスすら逃してしまう、恐ろしい怠惰なのだと再認識すべきです。

【余談】
このような奇妙奇天烈ヘンチクリンな商品も過去にはありました。コープこうべの店舗でも取扱がありました。

アリエール・レボという商品です。

これは、カチオン性ポリマーと思われる防汚ポリマーを洗濯物にコーティングさせ、洗濯の度に、そのコーティング皮膜を強くすることで、より汚れをつきにくくするという触れ込みで販売されていました。少しだけ賢いだけで、その商品の致命的欠陥はすぐにわかるはずです。なんでもこれ、コーティングするということは、衣類に汚れが残った状態でコーティングすることになるわけで、表面にそれ以上汚れがつきにくくはなったとしても、コーティングの下にある汚れは、ますます除去が困難になるわけです。合成洗剤の洗浄力の悪さを、独自開発だという、根拠のないハイテク感を感じるコーティングで隠そうとするという発想はお見通しだというわけで、これも、消費者行政当局に、何らかの問題点をダメ出しされる前に、夜逃げ的に撤退したのでしょう。お店からヒッソリと、知らないうちに消えていたのを、今でも鮮明に覚えています。

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