原告側がしっぽ巻いて逃げた格好で、香川県側の勝利で決着がついた香川県ゲーム条例違憲訴訟。原告側の訴訟理由は、「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例(通称:ゲーム条例)は、日本国憲法の基本的人権を著しく侵害するものであり、香川県民の基本的人権を侵害するものだ」とするもので、非常に壮大なものだ。その割には、損害賠償の請求額はたったの160万円だった。香川県のゲーム条例のおもな対象は、香川県在住の小・中学生と高校生(7〜18歳)の児童生徒で、その人口は、101,198人(令和2年10月1日現在;国勢調査香川県分統計)であるから、1人あたり換算では、たったの16円にも満たない。香川県民(こども)全体の幸福を考えるかぎり、おふざけといえるレベルだ。自治体の条例による人権侵害の賠償というなら、公平性を考慮し、対象のこどもが居住するすべての世帯に、こども一人あたり、少なくとも1万円(望ましくは、それ以上)の給付というかたちで行うべきである。このことを考えると、妥当とされる賠償金請求額は、
10,000(円)×101,198(人;香川県の小・中・高校生人口)=1,011,980,000(円)
となり、約10億1千200万円と試算される。もちろん、原告勝訴と仮定して実現していたであろうこの巨額な賠償金は、いずれにせよ、条例の対象外となるであろう原告側には1円たりとも支払われず、県により公庫から直接、各県民に支払われるべきである。当然、賠償額が高額の訴訟ほど困難を伴うが、今回の訴訟での原告側の請求額はたったの160万円であり、それだけですら、棄却されるという有様だ。原告側の「県民全体の幸福のため」とは口先だけで、いかに本気さを欠いているかがおわかりだろう。きっと、原告側には、香川県からむしり取った「戦利金」を県民全体に分配しようという発想は毛頭なく、自身のゲーム代の足しにしようとしか考えていなかっただろうと推測される。途中で尻尾を巻いて逃げた原告側の姿勢からも、司法もきっと、世間をから騒ぎさせるだけの前代未聞の「お遊び裁判」だと認識しているに違いないだろう。ある意味で画期的な「恥辱的な判例」として、歴史に残ることだろう。
※念のために付記するが、速報記事のとおり、この判決により、香川県のネット・ゲーム依存症対策条例(ゲーム条例)の合憲性(正当性)が司法で認められたことになるため、被告の香川県には、(請求棄却の)原告側に対してはもちろんのこと、ゲーム条例の対象となる香川県民に対しても1円の支払い義務も発生していない。
以上のように、今後は、このような公益の重責を背負うだけのよほどの覚悟とよほどの法律学的な自信がないかぎり、この類の裁判では、勝ち目はないということは明らかだ。
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