これこそが「商業ゲーム中毒者は低レジリエンス人間である」の強力な「科学的根拠」だ:香川県ゲーム条例違憲訴訟取り下げ問題

訴訟費用のクラウドファンディングまで起こした原告側が、いつの間にか「健康上」の理由からか、被告と法廷で争うことを放棄した香川県ネット・ゲーム依存症対策条例違憲訴訟。原告側の裁判取り下げを深ぼり、といきたいところだが、深ぼりしなくても一目でわかるほど、その取り下げが与える社会科学的エビデンスは強力だ。奇しくもこの問題は、原告側が一方的に起こしてきた法廷闘争であるにもかかわらず、原告側の取り下げが、原告側が自ら、原告側の思いとは裏腹に、「商業ゲームへの肯定的思い入れが強い人ほどレジリエンスが低い人だ」という強力なエビデンスを、司法の記録というかたちで遺してしまうことになったのだ。被告側の香川県側が主張するように、取り下げたとしても、訴訟事例がなかったことにはならない。まさに、ゲームでは気軽に使える「リセットボタン」が効かない、現実社会の厳しさをまざまざと見せつけた状況だ。

訴訟の過酷なリアル

労働争議に森友問題、欠陥住宅問題などなど、これまでに記者は、複数の民事訴訟の現実を、傍聴などでみてきた。例外なく、そこには、「相手に腹が立つから訴える」といったような、決して安易な訴訟は許されないという過酷な現実がある。「法廷で争う」というように、訴訟は、原告(団)もしくは被告(団)と、双方の弁護士団で「チーム」を結成し、法律と論理(法理)で争う知性の闘いだ。法律のプロである弁護士が用意する、膨大な量の準備書面。原告側も被告側も、担当弁護士から、準備書面を作成するための基本情報を引き出すために、細かい質問攻めにあい、精神をひどく消耗する。そして、精神をひどく消耗するのは、原告・被告本人だけではなく、その代理人弁護士もそうであることを忘れてはならない。まったくの他人の争いごとで勝つための書面をつくり、戦略を立てるために、原告もしくは被告から委任されるわけだから、弁護士はよほどレジリエンスが高くないとやっていられないことがわかる。

自己肯定感が育たない、だから、現実に向き合えなくなり、ひきこもる

商業ゲームは、プレイヤーの思うようにできる、仮想世界だ。商業ゲーム内の世界で「成功」すると、達成感のようなものが得られる。しかし、これは、仮想世界内での成功にすぎないから、現実世界では何の役にも立たない偽の自己肯定感(偽の成功体験)だ。そして、プレイヤーの世界観は、現実世界ではなく、仮想世界に根ざしたものとなり、そのような人が、現実世界の厳しさに直面すると、無策であり、現実逃避をしてしまう。その現実逃避の受け入れ口が商業ゲームであるから、プレイヤーは、商業ゲームにより一層没入し、現実世界との接触への拒否意識がより一層強くなるが、現世に生きる以上、誰しも現実世界からは逃れられることは不可能であり、外出でもすれば、その厳しさはより増すから、唯一、打たれ弱い自分を受け入れてくれる商業ゲームの部屋に籠もるという悪循環を生む。これこそが、慢性的な(病的な)ひきこもり、いわゆる「モヤシ人間」の仕組みだ。これは、野外の現実世界と濃厚に向き合い、己を験し、真の成功体験を重ねて、自己肯定感を高め、生きる力を築いていく昭和の頃のあそびとは真逆である。「モヤシ人間」は、商業ゲーム没入による運動不足により、腸の蠕動運動が鈍くなり、さらに、合成甘味料入りの清涼飲料水やマクドなどのウーバーイーツが手放せないズボラ生活が追討ちをかけ、排便(うんち)や腸内環境の問題を抱えるリスクも高い。その腸の健康の問題も、(知性的)モチベーションの低下や、いわゆる「メンヘラ」の原因となる。

商業ゲームに共感のメンヘラ弁護士3月辞任で訴訟継続断念か

弁護士不在の訴訟には勝ち目はなく、現実的ではない。この香川県ネット・ゲーム依存症対策条例違憲訴訟もその例外ではない。原告側代理人弁護士Sは、自身のツイッターで、「健康上?」の理由をツイートして3月に辞任したとされているが、原告側の訴訟取り下げの原因は明らかにされていない。しかし、自身も商業ゲームに思い入れがあるとされ、その勢いに任せて、被告の香川県を「詐欺師」呼ばわりしていた代理人弁護士Sが退いたことで、原告側には、通称「わたる」氏をはじめとする商業ゲームフリークといった法律の素人しかいない状況となり、さらに、香川県側の理詰め主張や、さらに、同様の条例を検討している全国各地の自治体や、銀鮒の里学校をはじめとする教育系の潜在的援軍もあり、勝ち目がないことを悟ったのか、原告側の訴訟取り下げを決めたのではないかと分析する。

被告勝訴の暁には、教育界に計り知れない恩恵が期待

司法判断の前であり、明言はできないものの、原告側の訴訟取り下げで、被告(香川県)勝訴となる公算が高い。その暁には、これまで係争中を理由に、ゲーム条例の制定・施行を踏みとどまっていた秋田県大館市など、同様の条例の制定・施行の動きが大きく加速することが見込まれる。商業ゲームをめぐっては、教育上の害悪が問題視されているにもかかわらず、「個人の自由」や、「行政による行動制限の限界」などを理由にして、条例による規制にはなかなか踏み切れなかった事情があった。しかし、これからは、香川県でネット・ゲーム依存症対策条例に異議を唱えたものの、訴訟の厳しい現実に堪えかねて、取り下げをしたことによって、その訴訟が奇しくも商業ゲーム擁護勢力にとっては仇になる一方で、教育界には、ゲーム規制に希望の光をもたらすことになり、全国各地で、商業ゲーム規制の条例化が加速し、商業ゲームのさらなる規制を求める議論が活性化することになるであろうと観測する。銀鮒の里学校も、香川県側の勝訴を見込み、国(文部科学省)や近畿2府4県の自治体に対して、商業ゲームの法律や条例に基づく規制を、児童・青少年の保護の観点から求めていく政策提言を行う予定だ。訴訟はすでに結審しており、判決は8月30日に、高松地方裁判所で言い渡される予定だ。

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