ぎんぶなのうえんの肥料供給逼迫問題対策

中国政府の輸出向け肥料の検査強化による、実質的な輸出渋りの影響により、日本国内における化学肥料、とくにリン鉱石を原料とするリン酸肥料と尿素の供給が著しく減少しています。これに伴い、市場価格は高騰していますが、それ以前に、数量そのものが少なく、春の農繁期の資材調達を控え、不安が拡がっています。

ぎんぶなのうえんでは、化学肥料(硝酸性窒素とアンモニア性窒素、石灰窒素を除く)を使用していますが、肥料は土壌のCEC(陽イオン交換容量)に余裕ができるように、生育状況をみながら、予め水に溶解して液肥の状態で施肥したり、肥料吸収効率に影響するEC(電気伝導度)への影響が小さい熔成リン肥や植物性堆肥を使用しています。そのため、多量の窒素肥料を与える一般的な慣行栽培ほ場に比べて生育は緩やかになりがちですが、時間をかけてがっちりと育つこともあり、病虫害の発生が非常に少なく、この秋季・冬季にかぎっていえば、防除対策の必要性すらない状況となっています。

ぎんぶなのうえんでは、施肥と病虫害対策を一体化したIPMを実践することで、可能なかぎり農薬不使用を実現する防除計画としています。肥料では、春季の夏野菜(トマトなど果菜)植え付けシーズンに供給困難が予想される過リン酸石灰(粉末)をいち早く手配しました。カリ肥料としては、土壌施肥用としては、全農供給の硫酸カリウム(硫酸加里)を使用していますが、液肥施肥のため消費は緩やかであり、そのままで果菜の時期も不足なく対応できる見込みです。原産国がドイツですので、コロナ禍の影響の心配はあるものの、供給逼迫の影響は比較的小さいとみられています。尿素は窒素量調整用として使用しているにすぎず、消費のペースは非常に緩やかです。植物性堆肥の施肥を基本としているため、不足の心配は現在のところ少ないと考えられます。

病害リスクの軽減を兼ねた施肥として、アルカリ性肥料である希釈石灰水(水酸化カルシウム)と炭酸(水素)カリウムの液肥葉面散布を予定していますが、これらも供給逼迫の影響は小さいとみられています。但し、炭酸水素カリウムを主剤とする肥料には、少量の尿素を含むものもあり、尿素不足による何らかの影響があるかもしれません。尿素の供給逼迫は、ディーゼル車用の排ガス処理剤であるAdBlue(尿素水溶液)の供給にも重大な影響が及んでいるほどです。葉面散布では、花芽分化・着果促進のために、(ポリ)リン酸カリウムの使用も検討していますが、これについても、今後、影響が出るかもしれません。(万一、調達が困難になった場合は、過リン酸石灰と他の水溶性カリ肥料とを組み合わせた施肥を検討することになります。)

ぎんぶなのうえんは開墾間がないことや、とくに高いCECを要求するトマトを重点作付けするため、春の農繁期に際しては、CECを高める土壌改良対策に重点を置きます。2022年春季では、腐植質自体が少なく、フカフカ感が乏しいため、ピートモス-苦土石灰で行うか、活性腐植酸資材を活用して行う予定で、腐植質そのものの増量による物理性改善も図ります。CECを向上させることで、カリウムやマグネシウムなどの陽イオン性の肥料成分の保肥力を高め、これら肥料成分の流亡による無駄をなくすこともできます。

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