高校進学は時間とこころのムダだ

大阪府の高校で、新型コロナとともに爆発的に蔓延する大麻などの薬物汚染。そのモラルハザードは、生徒にも教職員にも急拡大し、とどまるところを知らない。その背景は、高校の化学必修化を怠り、いまだに「化学は暗記教科」という誤解を植え付ける教育行政の怠慢がある。

化学は必修にすべき高校の最重要科目

いったい誰が言ったのだろうか。「国語・数学・英語が主要3科目」「化学は非必修の副次的科目」だと。すでに新型コロナも鳥インフルエンザも感染爆発(パンデミック)が起こり、薬剤耐性菌がいつ牙を向いてもわからない緊迫した現代にあって、無知・無関心というこの憂慮すべき実態は、かくして化学を軽視してしてきたことのツケであることは、明らかである。

いうまでもないことだが、化学はわたしたちの安全な暮らしを守るために不可欠な学問である。しかし、化学の基本中の基本を学ぶ高校では、「化学は特定の産業でのみ必要な学問だ」という誤った印象を植え付ける、前提から誤った化学教育が行われているのだ。これは、執筆者が高校生だった約30年前と全くといってよいほど変わっていない。合成洗剤や柔軟剤による環境汚染や化学物質過敏症の問題も、化学物質が起因する火災や爆発事故の問題も、食品添加物やジャンクフードによる健康不安問題も、感染症の問題も、すべて、化学の無知が原因で起こされる人災である。小学校でのプログラミングや英語、高校での地理など、新規必修化の議論が盛んに進められる中で、化学の必修化の必要性を訴えるところが、銀鮒の里学校以外でどこがあるというのだろうか。大阪府も新型コロナウイルスの一日新規感染者がついに2,000人を突破し、若くして将来に悲観した薬物中毒のジャンキーが大阪の街をうろつこうとする今、日本人は死んでも懲りないのか、そう言っても過言ではない状況だ。死にたくなければ化学を必修化しなさい、改めてそう訴えたい今日この頃である。

化学物質との向き合い方を主体的に考えるのが化学のあるべき姿

もはや笑い話の域だが、化学が暗記科目だと思い込むかぎり、「なぜ大麻(カンナビノイド)や覚醒剤はいけないのだろう」というほんとうの理由を悟ることはできない。これら薬物(ドラッグ)がなぜいけないのかを、社会道徳とのつながりをもって、一寸もブレることなく理解するためには、「向精神性薬物とは何か」、「どの構造がどのような作用に関わるか」「そのような化学物質とは、どのように向き合うべきか」という、これら薬物の主体的かつ化学哲学的な考察が欠かせないのだ。大阪府も大阪府警察も、それなりに薬物の問題を啓発すべく訴えるが、この有様である。でも、化学屋の見方はいたってクールであり、当然のことである。なぜなら、これら行政の啓発は、その化学的甘さが際立って見えるからだ。そこには、化学哲学のかけらもない。化学哲学を真剣に学び、語り合うようなカリキュラムの実践、それこそが、高校に課せられたミッションではなかろうか。化学必修化の必要性はいうまでもない。

こんな高校に進学するのはやめにしないか

中学部を修了したら、鮒庵で社会起業家になるためのさまざまな実務的スキルを磨く、一昔の職人の弟子入りのようなキャリアパス、それが、銀鮒の里学校が考える標準的なキャリアパスだ。高校進学ではない。高校に進学したとしても、その高校でも不登校は相次いでいる。受験のためだけのつまらない授業、偏差値戦争、SNSいじめ、クラスメイトなどとの価値観の相違…などなど、不登校の理由は、高校らしい、いろいろな理由がある。そして、商業SNSなどの勢いを借りて、追い討ちをかけるかのように蔓延が止まらない大麻などの薬物汚染…そうまでして、こころも身体もボロボロになってまで高校に行く必要があるだろうか。

十代半ばのティーネイジャー諸君よ、高校に行かない青春を想像してみないか。青空の下、季節の鳥のさえずりやカエルの鳴き声をBGMにして、持続可能な農業を実現すべく、汗水垂らしながら大地と真剣に向き合ってみるもよし、新世代の石けんづくりに持続可能な化学工業の未来を確信し、挑戦するもよし。高校の化学に相当する内容は、銀鮒の里学校で学ぶから心配は無用だ。化学以外の高校レベルの学びも、銀鮒の里学校で学ぶことができるから、高校に行く必要はないし、貴重な青春の時間が無駄になるだけだと思わないか。大学進学だって、今日では高校卒業(大学受験)資格をとることもできるし、社会起業家になってからでもできるし、さらに飛躍して、前例のない画期的な社会的取り組みが認められれば、大学の研究者になることだって夢ではないのだ。夢は大きく持とう。銀鮒の里学校や鮒庵では、高校では持てないくらい大きな夢を持つことができる壮大なフィールドが用意されているのだから。

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