日本が成長しなくなったほんとうの原因

この話題も、話せば切りがないほど、とても奥が深い話題ですが、その核心については、端的に述べることもできます。その問題の核心に迫っていきたいと思います。

日本が急成長してきた戦後20年間はどうだったか

1945年の敗戦直後は、米GHQの統制下にありましたが、その統制が徐々に解けてきた1950年代、世界のどん底にあり、復興は無理ともいわれたこともあった日本は急成長を遂げ始めたのです。当時としては、世界に類をみない急成長を支えたのは、いうまでもなく、日本人が本来持つ真面目で質素倹約を重んじる国民性にあります。何もかもがなく、ゼロからのスタートで、その国民性は真価を発揮したのです。1964年に初回の東京五輪が開催されたのも、そのような勤勉さが世界から評価された証でもあったのです。当時の五輪は現在のような露骨な商業性はなく、開催時期も、アスリート本位の最適期の10月開催でした。(東京2020はアメリカの商業メディアの意向を尊重した7月23日から8月8日までの最暑期の会期で強行される見通しです。)手回し脱水の洗濯機とシンプルな機能の冷蔵庫は白物家電といわれ、生活の知恵とともに、昭和の豊かさを支えてきました。すべての国民の主体的な努力で全体を支え合い、実現したいことを叶え合う社会、それが、昭和中期頃の社会でした。

責任のなすりつけ合いが成長を止めた

ところが、1970年台から、日本社会の成長は下り始めます。マクドナルド、P&Gといった、「ユダヤ(アメリカン)商業主義の黒船」が日本に来襲し、真面目で勤勉な日本人を洗脳し、意識を根底から変えていったのです。ユダヤの黒船のほんとうの恐ろしさは、襲われているという自覚がないこと、つまりは、催眠術的なやり方だということです。真面目で信心深い日本人の特性を狙われたともいえます。もちろん当時は、生協や市民団体の市民運動も活気があり、合成洗剤などの反対運動もよく起きました。しかし、その反対運動も、ユダヤ商業主義勢力の催眠術的マーケティングや学校で市民教育に取り組まないことが重なって年々トーンダウンし、今日では、日本における筋金入りの市民運動家は「絶滅危惧種」になっているほどです。作り手も売り手も買い手も、規制を行う国や行政の当局も、何か問題があったときも、その責任を他者になすりつけ、主体的に取り組まない負の連鎖が起こっています。一方、ESDで最も重要なことは主体性です。各主体の主体性は、社会の持続可能性を維持するうえで最も重要であることは、ESDというかたちで、国際的に合意形成がなされているのです。聡明なあなたは、もうお気づきのこととは存じますが、言いかえるならば、日本の戦後20年の日本国民の取り組みこそがまさにESDであるということになります。このことに着目し、社会起業家育成を指向した教育メソッドにしたのが、昭和のくらしESDということになります。

社会的課題を共有し、ジブンゴトとして取り組むことが鍵

では、社会的課題を全体で共有し、他人事ではなくジブンゴトとして取り組むには、どうすればよいのでしょうか。少なくとも、現在の小学生から40代までの世代は、このような教育を受けていませんから、再教育による意識改革が必要です。しかし、緊張感は必要ではあっても、肩肘張って無理してやるのはいかがなものかと思います。大切なことは、ちょっとした心がけを地道に積み重ねることです。その一例として挙げられるのが、消費行動における原材料表示や成分・材質表示の確認やサステナビリティ情報の確認とそれに伴う考察です。このような消費行動は、エシカル消費(倫理的消費)と呼ばれますが、ここでは一歩進んだフィロソフィカル消費(哲学的消費)を提唱したいと思います。エシカル消費は、表示を確認して終わりのケースが多いですが、そこから一歩踏み込んで、「なぜ問題か」「まだ課題は潜んでいないか」と批判的に考察し、消費者自身を含めた社会全体の成長を追求していこうというのが、フィロソフィカル消費のあり方なのです。例えば、有機栽培の野菜を例にしましょう。「化学合成農薬や化学肥料を一切使わない有機栽培の野菜を買いましょう」で終わるのがエシカル消費であるのに対して、フィロソフィカル消費は、「化学合成農薬や化学肥料を使うとなぜ(どのように)問題なのか」「農薬や化学肥料を使うことすべてがほんとうに問題なのか」「有機肥料ならばほんとうに問題はないといえるのか」と考えます。そして、その考察結果を、究極的には実践に反映し、成果物にし、消費の循環に組み入れていくのです。そのような積み重ねが多数のチャンネルで同時進行で起これば、かつて日本が遂げてきた持続可能な発展を、これまでの失敗を教訓にした進化形で再開させることができるのです。

銀鮒の里学校では、そのようなESDで日本社会全体の発展を日常のライフスタイルから追求していく取り組みをサポートする取り組みを行っています。関心のある方は、ぜひとも、この記事へのいいねとコメント(ご意見・ご質問等)をお願いします。

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