(28日、AP通信)ヨーロッパ方面から越冬地のアフリカ方面に向かう渡り鳥の中継地(ねぐら)となっているイスラエル北部のフラ渓谷で大規模な鳥インフルエンザ禍が発生、飛来した約50万羽のツルのうち、少なくとも5,200羽が感染し死亡したとみられている。今年は飛来するツルのうち約3万羽は、フラ渓谷で越冬するとみられ、ハゲワシなどの他の野生鳥類への感染も懸念されている。イスラエルの環境当局は、感染拡大防止対策に追われているという。
注目すべきは、AI感染拡大の原因だ。日本では、鹿児島県出水市や鳥取県鳥取市の渡り鳥のねぐらの水から鳥インフルエンザウイルスが確認され、それが養鶏場でのAI禍発生の脅威になりうるとの論調で報じられることが多いが、イスラエル農務省によると、今回のフラ渓谷でのツル大量死の原因はその逆で、現地にある飼養羽数約50万羽の工業的養鶏場とみている。養鶏方式は不明だが、飼養規模とEU圏外であることから考えて、日本のようなバタリーケージ養鶏であると考えられる。免疫力が極限まで低下した工業的養鶏場の鶏は、AIに感染した渡り鳥が持ち込んだとみられる少量のウイルスに日和見感染し、制御不能なくらいの非常に速いペースで感染伝播を繰り返した結果、その工業的養鶏場が、まるでダーリントントランジスタ※の如くAIウイルスを急速増殖させ野鳥への大量感染を招く「感染爆弾」になる可能性が考えられる。この工業的養鶏場の鶏は全数殺処分されるという。
※ダーリントントランジスタ:トランジスタを2素子繰り返し接続することで、トランジスタ1素子の増幅率(hFE)の2乗倍の増幅率を実現する、笑い鮒の科学あそびでもおなじみの超高増幅率トランジスタ。1素子の増幅率が100〜300くらいの場合が多いので、増幅率(hFE)の理論値は1万から9万程度になる。この場合は、わずかなウイルス(1素子目のベース入力)が大量のウイルス(2素子目の出力)になって跳ね返ってくることの喩え。なお、ウイルス自体は生物ではなく自己増殖はできないため、その増殖には、生きた宿主への感染が必須条件となる。
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