養鶏場での高病原性鳥インフルエンザの脅威は、今季、ついに香川県まで南下してきました。
香川県三豊市の採卵養鶏場で、7日、鳥インフルエンザが疑われる事例が確認されました。そこで香川県は、この養鶏場の鳥インフルエンザの感染が疑われる採卵鶏について、国による遺伝子検査を依頼しました。その結果、同日夜に、高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出されました。この結果を受けて香川県は、7日22時より、高病原性鳥インフルエンザの感染が実際に確認された採卵養鶏場の採卵鶏の全数にあたる約4万2,000羽と、飼養者を同じくする疫学関連農場の採卵鶏の全数にあたる約2万8,000羽の、合計約7万羽の殺処分を開始しました。殺処分を行った採卵鶏は埋却されるということです。
西讃地域は香川県における養鶏集積地域
今回鳥インフルエンザが発生した三豊市は、香川県西部の西讃地域に位置しており、隣の観音寺市などとあわせて、養鶏集積地域を形成しています。香川県で発生している養鶏場など家禽飼養農場での高病原性鳥インフルエンザの発生事例は、この西讃地域で集中して発生しています。西讃地域で生産される鶏卵は、大消費地である関西圏でも多く流通していることを確認しています。
香川県は、生の鶏卵を使用する釜玉うどんや骨付き焼き鳥など、家禽を使った名物料理が有名な地域ですが、鳥インフルエンザが人の新型インフルエンザの脅威となるのも時間の問題という現実から目をそらすことはできない情勢です。香川県も、日本国内で、家禽の肉や卵からの鳥インフルエンザへの感染事例がないことを強調していますが、これは、あくまで日本国内でたまたま感染事例が確認されていないだけであって、人への感染の心配が皆無であることを意味するものではありません。厚生労働省の資料によりますと、2003年から2024年までにWHOに報告された、全世界でのH5N1型鳥インフルエンザウイルスの人の感染者は、904人もあり、うち、464人が死亡しています。このことから、現時点でのH5N1型鳥インフルエンザの人の致死率は、50%を超えており、その強い病原性が懸念されています。日本に限らず、全世界に目を向け、社会的防疫のために一人ひとりが何をすべきか考え、しっかりと行動に反映すべきフェーズにあることを自覚すべきといえます。もはや楽観視は許されない状況です。
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