能勢テロワール創造への挑戦

失敗の連続こそ、挑戦への原動力

能勢・ぎんぶなのうえんでは、失敗の連続です。

可憐に咲き誇る美しい原種の花々や、これまで食べたことのないような濃厚な風味の野菜。それらの成果は、能勢・ぎんぶなのうえんの取り組みのほんの一部にすぎません。実は、それらよりも多くの挑戦を重ねては、大小の失敗の連続、失敗の原因を特定しては、それを修正して…という、心が折れそうな作業を繰り返しているのです。能勢の気候は、一見すれば温暖で穏やかにみえますが、夏には山間特有の急な風雨に見舞われたり、冬には夜間は毎日のように激しい凍結があったり、突然の雪嵐に襲われることもあるのです。40年以上の園芸経験や農芸化学の専門性を駆使しても思わぬ失敗の連続。それでも諦めずに、どこも手がけない園芸農業の未来図を描き続けるという飽くなき挑戦を続けるということ。開拓指向の園芸農業が、優しい表情を持つ一方で、そのプロフェッショナルの世界がいかに厳しい世界であるかがおわかりいただけるのではないかと思います。

テロワールという概念があります。テロワールとは、その土地の気候風土や品種特性、人が持つ技術力とが調和してこそ創造される、その産地特有の個性的価値に関する価値概念のことです。もともとは、ワイン醸造発祥の概念ですが、現在では、ウイスキーや日本酒、さらにはその地域特有の農産物全般にも定義が拡大化されています。能勢・ぎんぶなのうえんでは、大阪府内から遠くはイタリア、ブラジル、アルゼンチンまで、全地球的視野で厳選した、世界の固定種・原種の野菜や花卉を栽培しています。できるだけ能勢の気候に合うような品種を選定しますが、導入当初は能勢の気候風土に合わないことのほうが多いのです。例えば、最近の事例では、イタリア・パルマの固定種トマト、コストルート・ディ・パルマは、作付け株の約半数が枯れてしまったり、昨年まで採種して栽培していたカボロ・ネロ(イタリアの固定種非結球黒キャベツ)が発芽不良で採種がうまくいかなかったということがあります。F1品種の栽培が常識のようになっている現在では、このようなことが起きると、諦めてしまうことが多いのですが、そこで諦めないのが、能勢・ぎんぶなのうえんです。能勢・ぎんぶなのうえんでは、これらの失敗を、新技術開発の糧として前向きに捉え、生き残った強健株のみから採種することを繰り返しては、能勢の気候風土にしっかりと馴染んだ、能勢でこそ栽培しやすいイタリアントマトの系統選抜に地道に取り組んでいこうと、新たな一歩を歩むことにしました。品種こそ異なりますが、カボロ・ネロの教訓も、現在育苗中のサボイキャベツやブロッコリーにしっかりと反映し、発芽力の高い種子の持続可能な採種を目指していくことにしています。固定種・原種ならではの、苦労や技術的工夫があることもご理解いただけましたら幸いです。このようなことを、記事を事前にお読みいただき、十分に理解してから能勢・ぎんぶなのうえんに実際にご来園いただきましたら、その理解がより一層深まるのではないかと思います。能勢・ぎんぶなのうえんでは、固定種・原種野菜の違いや魅力に関心をお持ちの方や、これから野菜品種の真実について関心をもって学びたいという方を広く受け入れ、優しくお迎えいたします。もちろん、一般家庭の消費者やレストランシェフなど、もっぱら消費者の立場での参画も大歓迎です。持続可能な農業に主体的に関わりたいという方は、ぜひ、銀鮒の里アカウントでご予約のうえでご来園ください。お問い合わせ・来園予約を心よりお待ちしております。

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