シンニンギア新知見:Sinningia warmingiiの標準出芽期が判明

安堵!塊茎性シンニンギア屈指のロングスリーパーと判明

Sinningia warmingii(ワーミンギー)は日本国内においてはかなりの珍種で、世界的にも栽培技術に関する知見が少ない原種です。原産地はブラジルのリオ・デ・ジャネイロ州で、ぎりぎり温帯性といえる品種です。温帯性のため、S. lineataS. polyanthaなどの他の温帯性品種と同等の耐寒性があり、無加温の室内で越冬できています。しかし、リネアータやポリアンサとは大きく異なる点は、標準出芽期が2ヶ月程度遅れているという点です。幼苗の導入期や若い越冬株では、5月に入っても全く動きがなく、そのまま出芽せずに塊茎が萎縮してしまうこともありました。今年は、6月目前の5月下旬にいきなり出芽してくるのを確認できました。数日前までは、出芽の兆しすら確認できなかっただけに、ほんとうに急な動きでした。よほど、活性フルボ酸(レコルト)を与えようかとか、何らかのオーキシン(植物成長調節剤)による処理がどうしても必要な品種なのか、とも思ったり、もう栽培は諦めるべきなのか、とも思ったり、ほんとうにヤキモキさせられましたが、力強い出芽で安心しました。

昨年のクラウンに接するように出芽するので、クラウンは傷つけないように

このように、ワーミンギーは、塊茎性シンニンギアのなかでは屈指のロングスリーパーであることがわかりました。昨年の栽培経験からは、茎が急激に伸長し、順調に成長すれば、7〜8月頃に独特な色味の橙色の山野草らしい趣のある、落ち着きのある美花を咲かせてくれるかと思います。

情報そのものが少ないので、まだ未知の点も多いのですが、推定では、この原種は、アグレガータのような多節茎立ち塊茎性種としては中〜大型種といえるもので、茎立ち30cm程度のかなり小さい株でも開花能力は持っているようです。

ただ、シンニンギア属、とくに塊茎性の品種は、塊茎の大きさや、昨シーズンの塊茎へのエネルギー蓄積実績が生育に大きく影響するため、とくに若い越冬株の場合は、当年生育初期が不安定になることがあり、最悪の場合は出芽せずに枯死してしまうこともあります。このワーミンギーは、昨年の栽培経験でみるかぎりでは、塊茎が小さくても十分な開花能力は備える一方で、塊茎の成長はさほど速くはないようでしたので、今シーズンは、鉢緩めの植え替えを行って肥培管理し、慎重に動向を見守りたいと考えています。

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