【時代錯誤の官製テロ】兵庫県川西市が喫煙所をゲリラ設置「JTからの寄贈」

JTからの寄贈なら許される?全く不可解な「JT治外法権」

兵庫県川西市が22日から、阪急電鉄・能勢電鉄川西能勢口駅南側の歩行者通路上に、JT(日本タバコ産業(東京都港区)、以下、JT)寄贈喫煙所の設置工事を開始していたことがわかりました。FMGのカメラは、23日午前、喫煙所の設置位置と思われる場所にあった街路樹の撤去作業の様子をとらえました。街路樹は葉がついた枝をすべて切り落とされた無残な姿をさらしており、残った切り株を重機で引き抜く作業が行われていました。街路樹の撤去作業は当日中に完了したとみられ、同日19時の時点では、街路樹が跡形もなく除去され、ふたがなされていました。街路樹といえば、ビッグモーターの除草剤散布によって枯らされ、被害にあった自治体がビッグモーターに補償を求めることで騒然としていましたが、皮肉にもこの川西市の事例は、JTの喫煙所設置のために、自治体の川西市が街路樹の撤去を要請するという、いわば「逆ビッグモーター状態」となっています。それも、枯れた木ではなく、JTの喫煙所のために、生きた木を生殺しにするという、市民感覚では理解し得ない、残忍極まりないやり方です。「街路樹撤去、ビッグはダメだがJT共謀なら許される」まさに、市民層には不可解なJT治外法権です。

この喫煙所設置工事に関して、川西市市民環境部環境政策課(以下、川西市)は、FMGの事情聴取に対して、「この喫煙所は、JTからの寄付の申し入れを、当市が受けたことによるものだ。吸い殻などのポイ捨ての防止の効果があるものと、当市では考えて設置している。」と答えました。これに対してFMGは、「今や阪急電鉄や東海道・山陽新幹線でさえも、喫煙所を全廃する時代。ましてや川西市は、全国で2番目に受動喫煙防止条例が施行された兵庫県に属する自治体であり、JTの喫煙所の設置は、タバコ会社からの寄贈行為などを禁止するFCTC(タバコ規制枠組み条約)や、兵庫県受動喫煙防止条例の趣旨に真っ向から反するものであり、県の受動喫煙防止政策に対する冒涜ではないか。川西市は、兵庫県の一自治体であることを自覚したうえで、JTの喫煙所設置は直ちにやめるべきだ。川西市は、市民の健康よりもJTのタバコ利権を優先するのか」と厳重抗議しました。これに対して川西市は、「工事を取りやめることはない」と、否定的な回答をしました。

兵庫県受動喫煙防止条例について、兵庫県保健医療部 健康増進課 受動喫煙対策班は、「川西市の『JTからの喫煙所の寄贈』は、現状では、本条例での規制の対象外となっている。定期的に条例の見直しを行っているが、全くの県独自の条例というものではなく、国の健康増進法に準拠するかたちで運用しており、条例見直しの時期も、国の法律の見直しとほぼ同時期に行われ、まだまだ先になる」と説明しており、県として、現状ではJTの寄贈喫煙所を規制することはできないとの考えを示しました。

川西市の「ポイ捨て対策としての喫煙所設置」は詭弁

これまでの国内外でのタバコ規制政策の事例から、分煙としての喫煙所の設置は、タバコが関わる社会の諸問題の解決にはならず、むしろ、解決するはずの問題の解決をより困難にすることは、スペインモデルの失敗例の再現として、今や常識となっています。たしかに、川西市の主張のように、「喫煙所の設置はポイ捨て対策に有効だ」と信じられていた時代もありましたが、それは遠い昔の話です。今日では、タバコの吸い殻やパッケージ等のポイ捨ては、タバコ特有の向精神作用が起こすものであって、禁煙こそが、それらの問題に対する必須の解決策だと、認識の共有が図られているはずです。そのような状況にあって、川西市の、時代錯誤ともとれる回答は、詭弁だといわれてもやむなしといえます。

もはやJTの使いか?川西市の悪意すら感じる「ゲリラ設置」まさに寝耳に水

記者は、先週の時点では、JT喫煙所の設置に関して、何の前触れもなく、知る由もなかったことを確認しています。降って湧いたかのように、週明けにいきなり工事が始まったかたちです。川西市はFMGの事情聴取に対して、「周辺の店舗や住民には、事前に説明をした」と説明していましたが、問い詰めると、回答に不自然な行き詰まりが何度もあり、市の説明の信憑性には大いに疑問があるといえます。リスクコミュニケーションの方法としても、大いに問題があるやり方であり、絶対にやってはいけないやり方です。しかも工期は10月末日までのたった1週間程度で完了する超速施工で、これには、短期に完成させてしまうことで、反対派を諦めさせる悪意すら感じます。

コロナ禍明けで設置自治体探し活性化か、JTなどタバコ会社の不穏な動きに注意喚起

JTなどタバコ会社側の立場でみると、今から約半年前までは、コロナ禍で、現存の喫煙所は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、ほぼすべて閉鎖され、とても喫煙所の新設どころではありませんでした。ところが、5月からの新型コロナウイルス感染症の感染症法上の5類移行で、コロナ禍の事実上の終結を迎えることになり、状況はコロナ禍前の状況を取り戻してきています。当然のように、JTなどのタバコ会社は、「待っていました」と言わんばかりに、タバコ規制政策の脇の甘い自治体漁りを再開し、自治体に「寄贈」「ポイ捨て問題の解決」などと言葉巧みに陥れる作戦を本格的に再開したとみられます。このことからFMGでは、兵庫県保健医療部 健康増進課 受動喫煙対策班に対して、JTが虎視眈々と狙っている可能性を指摘したうえで、兵庫県内の他の自治体でも同様の問題が起着る可能性は十分にあるため、JTなどタバコ会社の不穏な動きには注意を払うよう、あわせて要請しました。

※「タバコ」のカタカナ強制表記について:JTは自社で「日本たばこ産業」というひらがな表記を主張していますが、「タバコ」(tabaco)という語は、スペイン語のtabaco(タバコ)、ポルトガル語のtabaco(タバーコ)をそのまま日本語化したのが語源(「煙草」というのは、これら日本語化した外来語に、後発的に漢字を当てたもの)であること、ひらがな表記の「たばこ」が、タバコに対する親しみを込めた肯定的意味合いを含むこと、さらに、このような理由から、禁煙運動では、タバコに対する否定的意味合いを込めて、タバコというカタカナ表記で表記することで意思統一が図られていることに協調する観点から、「たばこ」のひらがな表記は、強制的に「タバコ」というカタカナ表記に変換しています。

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