能勢・ぎんぶなのうえんだより(2023年10月22日)

「仕事虫」にこそおすすめできる「ズボラ農業」のすすめ

能勢・ぎんぶなのうえんは、ズボラ農業に助けられています。

といっても、真に受けないでください。オカヤマン・ユーモアです。

ズボラ農業とは、一度植え付けさえすれば、こぼれ種や地下茎・匍匐茎などで、勝手に発芽・活着・繁殖してくれる、とても優秀な園芸・農業特性を持つ品種の栽培を継続する、がんばらない、持続可能な農業の一形態のくだけた表現です。

ハウスもないし、ヤンマーも使わない、冬は容赦なくガッチガチに凍りつく、非常にタフな露地農業。どこかで息抜きをしなければやっていられないというのも、現場の本音としてはあります。息抜きの要素がなければ、どれだけ強靭な心身をもっていても、仕事の虫であっても、折れてしまうでしょう。あなたも、能勢・ぎんぶなのうえんにご来園いただき、体験をしていただければ、花の一つを咲かすにも、いかに大変なことかがおわかりいただけるかと思います。でも、大丈夫です。能勢・ぎんぶなのうえんは、仕事虫だからこそ、本当のありがたさを実感できる、とても優秀な伝統品種に助けられています。

その象徴的ともいえる品種が、東京都など武蔵野地域の伝統野菜、のらぼう菜です。

のらぼう菜は、採種も行っていますが、能勢・ぎんぶなのうえんでは、2年連続で、人工育苗は一切行ってきませんでした。なぜなら、こぼれ種で、自動的に「大量採り蒔き」状態となり、夏から秋にかけて、大量の良苗を、能勢の大自然が育ててくれるからです。先日、その自然育苗の苗を、土壌改良を施した畝に定植したところです。自然育苗の苗はまだまだあります。これらも、順次、同様に定植を進めていく予定です。自然育苗の苗は、夏の間にも育ってくれるので、生育サイクルが早く、昨シーズンは3月から収穫ができました。種の収穫は、5月中に完了できるので、夏野菜の作付も可能です。

そして、今年絶望的かと思っていたトマトも、ズボラ農業に最適の品種があるのです。加工調理に向くイタリアの伝統品種、プリンシペ・ボルゲーゼです。これは、草堆肥溜めで発芽・活着し、ほぼ無施肥に近い状態で、結実もしています。こぼれ種でも栽培継続ができるトマトの品種は、露地栽培の農業者にとって、とてもありがたい存在です。

ほかにも、サラダバーネットもエルバステラも、こぼれ種発芽性が期待できることを確認しています。忘れた頃に、立派な苗ができていた、という感じですね。残念ながら、チコリやカーボロネロには、現在のところ、そのような特性を確認するには至っていませんが、ズボラ農業対応品種を作付けしているおかげで、その分で浮いた時間や労力を、手間がかかる品種の育苗に充てることができるわけです。ヤンマーに頼ることが、現代の農業経営では常識のようにいわれますが、費用もかかりますし、機械のメンテナンスなど、農作業以外の手間も意外と侮れません。品種特性を活かすという、一見して地味で古典的ですが、実はこれが意外と助けてくれるのです。ズボラ農業というテコの効かせ方という視点も、能勢・ぎんぶなのうえんのバーマカルチャーで、ぜひ体験していただきたいことです。

「がんばるけれども、がんばらない農業」能勢・ぎんぶなのうえんのパーマカルチャー提案です。

※農業機械や、それによる農業自動化の総称

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