IARC発がん分類で気づくリスク管理の基本

不可避のリスクと回避可能なリスクがある

まず、大前提として、ゼロリスクはあり得ません。

ある程度のやむを得ないリスク(マストリスク)とうまく付き合うために、無駄なリスク(ジャンクリスク)を最大限に回避するというのが、リスク管理の基本となります。

例えば、IARCの発がん分類リストに収載されているマストリスクには、紫外線(太陽光)、加熱調理由来のアクリルアミド、各種職業的要因などがあります。ジャンクリスクには、使う必要性がない化学物質が該当します。今回、IARCでの決定で新たにグループ2Bに加わった合成甘味料のアスパルテームも、摂取する必要性がないため、ジャンクリスクにあたります。マストリスクもある程度の努力によって、リスク軽減ができる場合もありますが、それらに起因するリスクをなくすことはほぼ不可能です。太陽光のように、リスクとは反する、健康に有益となるベネフィットの側面がある場合もあります。マストリスクだけをとっても、それら一つひとつを積み重ねれば、かなりのリスク総量となります。人が許容できるリスク総量には限りがあるわけで、マストリスクの総量をリスクの許容量から差し引くと、ほとんど余裕がないことがおわかりいただけるかと思います。もはや、現代人の多くは、ジャンクリスクを受け入れるような余裕などないということに気づくべきです。

有事に備えて、許容リスクの余裕をとっておかないと大変なことにも

さらに、突然、何らかの病気や負傷によって、医薬品を使用せざるを得ないことも想定しておかなければなりません。医薬品は、有事の際のマストリスクとなります。医薬品の成分によって差異こそありますが、かなりのリスク負荷があるものと覚悟しておく必要があります。そのようなとき、有事で医薬品を使用することによって、リスクの許容量を超過するようなことが起こった場合、その超過分が弊害(ハザード)として露呈します。そのハザードは、医薬品の副作用であったりすることもあれば、化学物質過敏症のような、原因の特定が困難な厄介な問題として現れることもあります。

このようなことから、リスクの高い化学物質を使わざるを得ないような有事の際に備えて、その化学物質の使用で健康上の悪影響が生じたりしないよう、常にリスク許容量の十分な空きを確保しておく必要があるわけです。そのために第一にすべきことが、無駄な食品添加物を避けたりであるとか、柔軟剤の香料のような得体の知れない、使う必要性がない化学物質のようなジャンクリスクを最大限に減らすことです。

ジャンクリスクの断捨離で賢く身軽な暮らしを

ジャンクリスクは、今日の依存型の生活では、非常に身近なところにちりばめられています。ジャンクリスクの棚卸しをして、ジャンクリスクに気づき、それらをバッサリと排除(断捨離)してみてください。何も不自由を感じないどころか、心身ともに軽くなった気分になるはずです。そして、そのような暮らしに慣れていけば、それまであったような、未知の不安や不満感が累積したどうでもよいモヤモヤも忘れていることに気づくはずです。

化学物質リスクを最小化した、計画的なリスク管理ができた暮らしは、派手さこそはないものの、本来あるべき、あたりまえの豊かさや快適さをもたらしてくれることがわかります。あなたも、マストリスクとうまく付き合いつつ、無駄を削ぎ落とすリスク管理をはじめてください。

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