能勢・ぎんぶなのうえん 2022年夏野菜・ナチュラルガーデン作付け予定品種の一部をご紹介

3月に入り、いよいよ能勢・ぎんぶなのうえんの春夏農繁期に突入しました。春の彼岸ももうすぐ、午後6時くらいまで作業を行うこともあります。食や園芸の世界の奥深さに触れることができ、こどもたちが将来、農業で社会起業をする夢をもってもらえることを目指して、他の農園にはないようなユニークな品種の選定を、園芸歴約38年の博士(農学)のヘンな鮒が、12月頃から進めてきました。その一部をご紹介しましょう。(他にもいろいろ作付けする予定です。気候その他の事情により、作付け品種は変更の可能性があることをご了承ください。)

ポンデローザトマト

今から約130年前にアメリカから導入された、日本最古の生食向け農産用品種で、昭和の頃、定番といわれていたトマトの品種のひとつです。果実のかたちは不整形になることがありますが、トマトらしいフレーバー豊かな味は極上です。傷がつきやすく、輸送には適さないという理由から、平成以降は桃太郎に代表されるF1品種に置き換えられてしまいましたが、ポンデローザのあの豊かな風味は出せません。本物のトマトの味を今に伝えたいという方に、真心込めて手渡しできるよう、お作りします。

※おことわり:種子生産者の都合により、チウラム(ジチオカーバメート系殺菌剤)による種子消毒を行った種子を使用する場合がありますが、ごく微量であることから、トマトの品質(安全性)やほ場の環境には影響はないと考えられます。ご了承ください。(播種以降の栽培期間中は、化学合成農薬は一切使用せず栽培する予定ですので、ご安心ください。また、ぎんぶなのうえん第一代目採種(次年度播種用)の種子は、種子消毒は行わない予定です。)

世界一トマト

昭和初期、カゴメケチャップ向けの品種開発を目的にした育種の過程で見つかった、ポンデローザ系統とされる優良個体を選抜・固定した、昭和の生食向け定番品種(固定種)のひとつです。ポンデローザよりも整形でより赤色の発色が濃い品種とされます。

プリンチペ・ボルゲーゼトマト

イタリアの小粒房なりの固定種で、加熱調理・サンドライ(貯蔵乾物)向けのトマトです。イタリアでは、サンドライトマトは、露地トマトがとれない冬でも使える貴重な調味素材であり、自然な旨味がもたらされます。とくに、きのこ類と一緒に使うと、旨味の相乗効果で、ヴィーガン料理でも深く芳醇な風味が実現できます。日本では知っている人が少ない、イタリアのスローフード文化の醍醐味に触れることのできる、こどもにマンマの味を、と思う方の心をガッチリ掴む一品です。

※世界的なコロナ禍のため、海外種苗メーカーの海外固定種の入手が非常に困難な状況ですが、このプリンチペ・ボルゲーゼトマトは、国内採種品のため、入手が実現しました。

かぐらなんばん

新潟県中越地方の伝統野菜で、新潟県長岡野菜に指定されている固定種の唐辛子です。ピーマンによく似た形状で、程よい辛味と料理の風味に奥行きをもたせる唐辛子特有の風味があり、新潟県中越地方では、この醤油漬けを「ピリッコ」と呼び、冬の保存食として活かされているそうです。大阪府最北端で標高200m以上の高原地帯となっていることから、大阪平野部と比べて年間を通じて5℃程度低いうえ、昼夜の寒暖差が大きい能勢は、新潟県中越地方の気候に比較的近く、おいしいものが収穫できると期待されます。

●長岡野菜について(新潟県)
https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/nagaoka_kikaku/1205860572754.html

朝天唐辛子(四川唐辛子)

本場四川料理の味で妥協しないこだわりの中華料理店が、品種名指定で買うほどの、中国四川料理の風味を決定づけるといっても過言ではない唐辛子の銘品(固定種)です。このほおずき型の唐辛子を使ってつくる麻婆豆腐の味は格別です。乾燥保存が可能で、乾燥することで、季節を問わず使うことができます。神戸南京町でも中国産の乾燥品しか手に入らない、日本では希少な品種を、ぜひ、能勢・ぎんぶなのうえんでどうぞ。

八丈オクラ

一般に丸軸の島オクラといえば、沖縄のものが有名ですが、ぎんぶなのうえんで作付け予定の品種は、珍しい東京都八丈島発祥の伝統品種です。発芽適温が25〜30℃と非常に高温であり、5〜6月頃の播種となりますが、成長は速く、夏には収穫できるでしょう。花も美しく、大きく育つので、ぎんぶなのうえんでひときわ目を引く存在になりそうです。実は柔らかく美味です。

●八丈オクラについて(JA東京中央会)
https://www.tokyo-ja.or.jp/farm/edo/46.php

黒門縞瓜

大阪府なにわ伝統野菜の瓜ですが、生果はかすかにメロンの香りが感じられる風味で、きゅうりと同じように使用しても美味です。盛夏が旬の瓜は、身体の火照りをとる、まさに「食べるクーラー」で、大阪の暑い夏を爽やかに乗り切る昭和の頃の暮らしの知恵のひとつでもあります。黒門というのは、大阪城玉造門(黒門)に由来し、昔は、現在の大阪市内都心部で栽培されてきたことを示しています。ぜひ、この夏は、能勢・ぎんぶなのうえんで、なにわ伝統野菜の黒門縞瓜の魅力を再発見してみてください。

※おことわり:この種子は、種子生産者による塩基性塩化銅と食酢による種子消毒を行ったものですが、瓜果実の品質(安全性)やほ場の環境には影響はありません。ご了承ください。

●なにわ伝統野菜について(大阪府)
https://www.pref.osaka.lg.jp/nosei/naniwanonousanbutu/dentou.html

サラダバーネット

フランスやイタリアでサラダ用野菜として親しまれている原種野菜で、バラ科のワレモコウの一種です。キュウリのような香りがする若い葉は美味で、レタスなどが主体のサラダに少し加えるだけで、とてもおしゃれなサラダになります。日本でいえば、ヤブカンゾウやノビルのような野草を食べる食文化に相当しますが、南欧では、野草食がより身近な存在であるといえます。サラダバーネットのほかにも、セルバチコ(ルッコラの野生種)など、野性味のある濃厚風味でインパクトのある風味の野菜を作付け予定ですので、この夏は、原種野菜の濃い魅力を楽しむことができるようになるでしょう。

ナチュラルガーデンに植栽予定の花の一例

野菜のコンパニオンプランツ(農薬代替植物;サマーセイボリー、ウインターセイボリー、オレガノ、ペニーロイヤルミント、バレリアンなど)に加えて、宿根草では、ストケシア・ラエビス”ブルースター”(キク科)、エキウム・ルシカム(ムラサキ科)、エノセラ・バーシカラー(アカバナ科)、カンパニュラ原種数種(キキョウ科)、日本原産の山野草(宿根草)では、フシグロセンノウ、オグラセンノウ(いずれもナデシコ科)などを植栽予定です。一年草では、チトニア(キク科)、ニゲラ(ラブ・イン・ア・ミスト(種子が食用になる種);キンポウゲ科)などを植栽予定です。

※宿根草は、種子の発芽から開花までに複数年を要するものがあり、当年はすべての種類が開花しない場合もあります。ご了承ください。

当初は、イタリアのある地域のメルカートに並ぶような、日本ではなかなかお目にかかれない固定種のトマトをいろいろと植えたいとも考えていましたが、全世界的規模での新型コロナウイルス禍のため、種苗輸入が未だかつてなかったような不安定な状況になっており、全国各地の種苗店を探していますが、いまだに種子の入手の目処が立たない状況ですので、今年は、上記以外の品種のイタリアントマトの作付けはできないかもしれません。それでも、トマト特有のグリーンな香りが爽快な昭和の定番大玉品種「ポンデローザ」「世界一」は、毎年探し求めるも、結局は食べずじまいで夏が終わってしまうという人も多く、これだけでもぎんぶなのうえんを遠方から訪ねる価値があるくらいに、伝統的固定種の魅力を存分にお楽しみいただけるかと思います。能勢・ぎんぶなのうえんは、ナチュラルガーデンの花が咲き始める6月に本開園を予定しております。ぜひ、事前に銀鮒の里アカウントを取得のうえ、ご家族お子様連れでお越しください。

ぎんぶなのうえんは、教育農園として開墾される、希少な固定種を専門に生産する農園です。ぎんぶなのうえん野菜をほんとうに必要とする、大切に味わっていただける、お子様のいるご家庭に、確実にお届けするために、一般販売は行わず、銀鮒の里アカウントのご利用者への頒布と銀鮒の里学校会員への提供に特化させていただきます。ぎんぶなのうえん野菜をお召し上がりになりたい方は、銀鮒の里学校の学校づくり運動(コミュニケーション)に主体的に参加いただくことをお願いしております。ご理解ご協力をお願いします。

銀鮒の里アカウントの取得は、下記リンク先からお願いします。
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