直感的すぎるコミュニケーション手段の問題点

すれ違いで情報共有できない、他のユーザーとのいざこざで退会…など、グループLINEには、コミュニケーショントラブルはつきものです。誰も好きこのんでトラブルを起こしたい人はいません。しかし、なぜトラブルがつきものなのでしょうか。その原因としては、コミュニケーション手段の特性上の限界を疑うべきです。別の言い方をすれば、「ごっこ」の世界ならいざ知らず、本気で取り組んでいることに関して、円滑にコミュニケーションを取りたいのであれば、そのコミュニケーション手段の活用には見切りをつけ、他の手段に集約すべきだということです。

グループLINEの問題

グループLINEには、以下にあげるようなたくさんの問題点が指摘されます。DX時代のビジネスコミュニケーション・ソリューションの定石とされる電子メールとグループウェア(オンラインクラウド型)との違いについて説明します。

感情的になりやすく炎上しやすい

LINEが普及する以前から、話し言葉でコミュニケーションをとるようなBBS(電子掲示板)では、炎上が問題となっていました。最近では、FacebookやTwitterでもよく炎上の問題をよく聞きます。お気づきのように、手段の違いを超えて共通している炎上の原因は、書き込みの品格が問われない話し言葉の書き込みを許している雰囲気にあります。これまでのインターネット利用者における心理の普遍的傾向として、書き込みをしやすい印象があるプラットフォームでは感情的になり、ヒートアップしやすいということがあります。心当たりはありませんか。

スケジュール管理などがいい加減になりやすい

使いやすいからといって、グループLINEで情報共有をしようとしている人がいますが、それはとんでもない誤解です。グループLINEで情報共有をしようとすると、その共有しようとしている情報に関して、どうしてもルーズになりがちです。電子メールやグループウェアでは、いつ、誰が、誰に対して、どのような情報を共有したかが、ひと目でわかります。内容の改変の履歴も残せます。しかし、グループLINEのようなタイムライン直書きだと、その都度、その情報を探さなければならず、グループLINE特有の甘えが出て、結局はお互いがルーズになって終わり、不満がでたり、反省点が増える原因になるのです。

仕事ができるメンバーが集まらない

やり手の仕事人(エグゼクティブ)の間では、LINEがコミュニケーション手段としてあり得ないというのは、暗黙の了解です。理由は実に単純明快で、仕事用としてシンプルで優れている電子メールやグループウェアが便利に使えて、わざわざトラブルの原因になるようなLINEなどを使う理由がないからです。はじめからLINEのような商業SNSベースのツールは使わないと割り切り、手堅く電子メールやグループウェアの活用に絞ることで、仕事ができないメンバーの参加は自然にフィルタリング(排除)されます。たしかに、メンバーはそれだけ集まりにくくなりますが、少数であっても本気のメンバーが集まるため、感情論ばかりのメンバーに振り回されることなく、メンバーの結束が強くなり、本気でプロジェクトに打ち込むことができるのです。

公私混同しやすい

LINEなどの商業SNSは公私混同を促すようなしくみがあります。とくに恐ろしいのは、ユーザー自身に公私混同をしている自覚がなくても、第三者から客観的にみれば、明らかに公私混同でしかないようなケースもあることです。この公私混同も、仕事で使うとトラブルが起こる原因になります。

セキュリティ問題

LINEでは、中国の委託先企業が個人情報を閲覧可能な状態にしていたり、韓国にサーバーを設置していることがセキュリティ上の重大な懸念として問題視されています。また、つい出来心でやってしまったLINEなどの内部アプリを通じて個人情報等が漏洩し、気が付かないうちに詐欺などの犯罪に巻き込まれるおそれさえもあるのです。SSL対応の電子メールや独自運用のグループウェアであれば、グループだけの閉じたネットワークにできるので、このようなセキュリティ上の不安をほぼ完全に排除することができるのです。

インテレクチュアル・ファイアウォールのすすめ

ファイアウォールとは、不正なプログラムや悪意のあるクラッカーによるサイバー攻撃を遮断するための、インターネットとクライアントPCとの間に設けられる障壁(直訳すると「火の壁」)のことです。この考え方と同じように、予めLINEなどの商業SNSを使ったコミュニケーションには対応しないことを宣言し、電子メールや閉じたグループウェア(独自SNS)に集約するコミュニケーションルールをつくることで、責任感が低く、チームの足を引っ張るだけの煩わしいユーザーを未然に排除し、責任感が強く、信頼できるチームを構築できるユーザーを集めることができるのです。このような堅実主義のユーザーは少なく、メンバー集めは困難をきわめることも予想されますが、あきらめずに、堅実方針を貫くことで、チームの信頼も高まるのです。同じ過ちを繰り返さず、本気で取り組みたいなら、そのくらいの覚悟は必要だと思います。

デマにご注意を

「電子メールは過去の方法」「スマホでSNSでコミュニケーションをする時代」などという人もいますが、根拠のないデマです。現在でもやり手の仕事人はPCで丁寧に電子メールを打って送受信することを基本としていますし、前述のとおり、できる人ほどスマホで済ませるようなことはしません。この仕事のやり方は、今後20年経っても変わらないでしょう。電子メールは熟したコミュニケーション手段ですから、そのことが信頼にもつながりますし、自前で運営していれば、透明性の面でも安心です。コミュニケーション手段の特性について、一人ひとりが正しい認識をもつことが大切です。

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