知られざる採卵鶏の末路

例えば、スーパーなどでたまに見かける親鶏の肉がどのような生い立ちの鶏の肉であるか、あなたはご存知でしょうか。美容意識をくすぐるCMの化粧品に含まれているヒアルロン酸やコラーゲンがどのような原料なのか、コンドロイチン硫酸塩配合の医薬品やサプリメントがどのような原料からどのように作られているのか、コンビニで何となく買っているような加工食品の風味原料など…どこから、どのように来ているか、あなたはご存知でしょうか。ふなあん市民運動メディアは、真実を探るべく、農林水産省生産局畜産部食肉鶏卵課に渾身の直撃取材を敢行。その結果、想像するもおぞましい結果が返ってきたのです。それらあまりにも不都合な真実について、一切包み隠さずお伝えしましょう。覚悟はよろしいでしょうか。

生後550日齢で待ち受けていること

日本の採卵養鶏の94%以上を占めているとされるバタリーケージ養鶏。その養鶏場の鶏は、採卵期間中も反倫理的で残酷な扱いを受けますが、生後550日を目処に、淘汰の対象とされ、さらに残酷な末路が待ち受けているのです。養鶏業界では、人間にたとえると40代くらいに相当する彼女らのことを俗に「廃鶏」と呼び、廃棄物も同然の扱いをしているという実態があるのです。(鶏の本来の寿命は10年(約3,700日)とされていますから、ケージ飼いの鶏がいかに短命であるか(実際には生き続けられるのに強制的に殺される)がわかります。)

採卵鶏は生後550日程度で産卵数が減少してくるため、バタリーケージの採卵養鶏業界では、淘汰の対象とされます。この淘汰の対象となる鶏が廃鶏と呼ばれるわけです。廃鶏はケージから強制的に引き抜かれ、かごに無造作に投げ込まれます。そして、そのかごは、とても生きた鶏が入っているとは思えないように積み重ねられ、廃鶏処理業者のもとで長時間放置されます。かごの中の廃鶏が産卵した卵が潰れたり、糞尿をしたりして、そこからウジがわくこともあるそうです。卵を産まなくなれば廃棄物も同然、モノ以下の扱いです。

廃鶏処理業者で長時間放置された廃鶏は屠殺されますが、その後どのようになるかは、廃鶏処理業者の判断次第で、ブラックボックスなのだそうです。実際には、次のうちのいずれかになるそうです。

  • 精肉店流通用の親鶏の食肉(もも肉など)
  • ドッグフード(鶏頭水煮缶詰など)や動物園の肉食獣用など、動物用の餌
  • 鶏油(チキンオイル)
  • 加工食品用の風味原料(塩酸で分解処理して作られる、たん白質加水分解物(鶏由来))
  • エイジングケア化粧品用原料(コラーゲン、ヒアルロン酸、プロテオグリカンなど)
  • 医薬品やサプリメントの原料(コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸ナトリウムなど)
  • 有機質肥料?
  • その他化学原料
  • コスト面等で再利用は割が合わないと判断された場合は焼却処分

精製ヒアルロン酸ナトリウムを有効成分とする点眼薬(ヒアレインS)を製造する参天製薬の話
「ヒアレインSの精製ヒアルロン酸ナトリウムは、鶏冠由来のヒアルロン酸を精製したものです。その鶏の飼育方法については不明です。」

コンドロイチン硫酸エステルナトリウムを有効成分とする関節治療薬(コンドロイチンZS錠)を製造するゼリア新薬工業の話
「弊社ではおもに豚由来の原料を使っていますが、原料の安定供給のため、他の動物を使用する場合もあります。」

鶏胸軟骨エキスをコンドロイチン源として使用しているサプリメントの例

鶏トレーサビリティ法の実現を

産業動物に対する「見えない暴力」や、そのような暴力の実態が利用者に告知されることなく使用される「知らぬが仏」の実態が問題視されています。いま、国際社会では、産業動物などへの暴力が、人間社会における差別や犯罪の原因にもなっているのではないかという見方も常識になりつつあります。しかし、日本の畜産業界では、産業動物に対する暴力や不適切な飼養を取り締まる法的根拠が曖昧であるため、黙殺がまかり通っており、事実上の無法地帯となっている実態があります。そこで、銀鮒の里学校(ふなあん市民運動メディア)は、鶏肉や鶏卵だけではなく、鶏由来の原料を含む全製品を対象に、鶏の飼養経歴を利用者側で遡及できるようにすることを義務付ける鶏トレーサビリティ法(罰則規定あり)を政策提言しました。例えば、鶏冠から製造されたヒアルロン酸ナトリウムを含む点眼薬であっても、鶏冠を採取した鶏の飼養方法や飼養事業者・養鶏場の住所などを参照できるようにすることを義務付けるというものです。この鶏トレーサビリティ法の実現により、利用者は鶏の飼養方法(暴力的扱いや過密飼育などの不適切な扱いがないこと)を確認し、納得したうえで使用できるようにすることで、養鶏事業者側の鶏への暴力的扱いの根絶が期待されます。

※動物愛護管理法における罰則規定

愛護動物 をみだりに殺し又は傷つけた場合は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処されます。また、愛護動物に対し、みだりに、その身体に外傷が生ずるおそれのある暴行を加え、又はそのおそれのある行為をさせること、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、その健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束し、又は飼養密度が著しく適正を欠いた状態で愛護動物を飼養し若しくは保管することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であって疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であって自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行った者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処され、遺棄した者も、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されます。

*愛護動物とは
 1 牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、、いえばと及びあひる
 2 その他、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの

(環境省動物愛護管理法ウェブサイト 「動物愛護管理法の概要」(https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/outline.html)より)

曖昧というのは、鶏が愛護動物としてしているにもかかわらず、養鶏場の鶏が「産業動物」として例外扱いされているダブルスタンダードがまかり通っている実態があることを指しています。現在、環境省に問い合わせたところ、このような曖昧さを含む回答でしたが、この法的解釈の確認に関して、動物愛護管理法を所管する環境省より週明けに確認の連絡がある予定です。

【銀鮒の里学校 おとなのまなび インターネットラジオ講座】知られざる採卵鶏の末路

この記事に連動したラジオ講座です。この記事の本文をテキストとしてご活用ください。繰り返し再生可能な音声メディアですので、ながら聞きもできます。(所要時間:約30分)

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