どのような場所でも現実的に適用できる園芸農業技術を開発し、提案する。それが、園芸農業技術者の社会的責任だと考えています。
よく、無農薬無化学肥料栽培をやっていますと、自信満々に言う人がいます。そのようなことを何も考えることなく言う人は、ほんとうに無責任極まりなく、内心では歯痒い思いがします。
百歩譲って、無肥料無化学肥料栽培が可能な場面があるとしましょう。実際に、能勢・ぎんぶなのうえんでも、条件さえ揃えば、農薬も化学肥料も使用せずとも、大きく育つことも目の当たりにすることがありますので、全否定をするつもりはありません。しかし、今、全国各地で問題となっている耕作放棄地の再生をするのに、無肥料無化学肥料栽培なんて言えるでしょうか。こんなことを平気で言おうものなら、村八分は確定です。まずは、できるだけ多くの栽培経験をして、できるだけ多くの、できるだけ挑戦的な結果を出せと言いたいです。
最短で最良の結果を出すための結論、それが、農芸化学の父リービッヒの哲学に基づく園芸農業技術です。ほ場で不足している栄養分は、化学肥料を含む無機栄養を補い、収奪ではなく施しの農業を続けることで、地力を高め、健康や環境への配慮でも、自然農法や有機農法を超える効果が得られる持続可能な農業を実現する、それが化学農業です。そして、化学農業は今、新局面を迎えています。これまで利用したことがなかったような肥料資源の活用も含めて、化学農業の明日を切り拓くさまざまな技術の開発を、能勢・ぎんぶなのうえんでも進めているのです。
私は、豊中のFMG報道局から自転車で片道約2時間半をかけて、能勢町のぎんぶなのうえんに、作業のたびに向かっています。その後に、肉体も頭脳も駆使する農作業の連続です。もちろん、帰りも弾丸です。今、能勢・ぎんぶなのうえんは花盛りですが、これは、昨年よりも前、数年かけて築きあげた成果です。それでも、まだまだ至らないことが多く、失敗も数多くあります。3年くらい前までは、草だらけで何もなかった耕作放棄地だったところですが、それが、オープンソース品種の花と野菜でいっぱいになりつつあります。成果物は、売って利益を独占するのではなく、公益性の高い教育農園として、こどもたちが夢や希望をもち、世界観を拡げ、お腹を健康的に満たすことのできるというCSVこそが、能勢・ぎんぶなのうえんの価値創発的利益だと考えています。
回り道も多いけれど、ひたすら正直に、純粋に、努力が正しく報われる、そんな本来あるべき人間性を回復する農園、そんな農園づくりを目指しているのです。
農作業を終え、弾丸で豊中のFMG報道局に戻って原稿を作成しているため、文章が乱れているかもしれませんが、その点はお許しください。
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