【速報】小林製薬「未同定物質は概ねわかっていたが非開示だった」「バイオコンタミの可能性も否定できない」

速報

29日14時から開催された記者会見で、小林製薬は、いまだに解決していない原因物質の特定に要する時間について、「(何か月なのか、何年なのかはわからない)」と明言を避けました。加えて、共同開発先の大学の関係者が「紅麹以外の外部からの異種かび等微生物によるバイオコンタミネーション」の可能性を指摘していることについては、「紅麹も微生物なので、その可能性は考えられると思う」「紅麹の既知の成分同士が何らかの反応を起こすことで未知物質が生成したという可能性は、ないとは言い切れないが、限りなくゼロに近いと思う」との旨の回答をしました。記者会見は18時30分に終了し、4時間30分もの長丁場でした。

未知物質は環状、分子量200前後の小分子、2時間半にもわたり闇のベールに

小林製薬は、前記の記者会見で14時50分頃、未知物質Xの分子構造の可能性について、「未知物質Xは環状物質であることまではわかっているが、それ以上のことはわかっていない。現在、未知物質Xの構造解析を進めている」、15時1分、未知物質Xの分子量の範囲について、「未知物質Xの分子量は150から250の間であることはわかっている」と答えました。15時43分、未知物質Xについて挙がっているいくつかの候補物質について、「候補物質はすべて既知の物質と考えている」と答えました。15時50分、「未知物質Xが含まれていると考えられるロットは、2023年4月から10月までの間に、大阪工場(現在は廃止)で製造されたもの」と答えました。53〜54分、「(食品)GMP準拠の品質管理まではできていなかった」と答えました。58分、外部第三者委員会の有識者構成については、「医師と弁護士で構成している」と答え、食品安全や化学物質リスクコミュニケーションの専門家は含まれていないことを示唆しました。16時02分、未知物質Xの分析方法については、「UV検出HPLCなどを行っており、シトリニンは検出されていない」と答えており、NMR構造解析の言及はありませんでした。HPLCはすべて既知物質であることが前提で採用される同定方法であり、今回のように、既知物質ではない可能性がある場合には適しません。これが、原因物質特定が大きく遅れた原因と考えられます。健康食品(サプリメント)事業の事業継続については07分、「社会からお許しいただけるのであれば、今後も貢献していきたい」と答えました。10〜11分、「原料工場の大阪工場は食品GMPの認証を受けていなかったが、岐阜県の協力会社の(原料)工場では、食品GMPの認証を受けています」と答えました。加えて、「自社の全食品工場で、食品GMP認証を取得するためのアクションは起こしていなかった」と答えました。18分、未知物質Xが腎疾患発症の原因かどうかの検証については、「まだ検証には至っていない」と答えました。

「製薬会社品質」小林製薬の栄養補助食品のこだわりを紹介するページは削除されていた

今後は、国の試験研究機関等に試料や情報を提供するかたちで、原因物質の一日も早い究明を目指すことになっていますが、未知物質の可能性がある場合に用いるNMRを用いた構造解析の場合、原因物質と疑われる物質の分取クロマトグラフでの試料の単離精製が完了していれば、スペクトルデータの取得自体は当日中に、その後のスペクトルデータの帰属による構造決定も、分子量200前後のレベル(小分子)であれば、候補物質が既知物質であるならば、数日程度でできるものとみられます。これまでの対応の遅さからも、小林製薬の化学力はいかほどなのか、疑問が残ります。

譲受元の責任は

小林製薬の紅麹事業は、2016年6月にグンゼから譲り受けた事業です。「グンゼが開発した生産プロセスに問題はなかったのか」について問われると、小林製薬は「グンゼ様で開発されたことですので、弊社がコメントできる立場にはございません」と、回答を斥けました。

【注意】
マスコミ報道で、有害性の原因の可能性として、「カビ」という表現を用いていますが、紅麹もかび(真菌)であり、単に「カビ」と分ける表現は曖昧さが多いというべきです。厳密にいうなら、「紅麹以外のコンタミネーション由来のかび」に置き換えることで、正しく意味が通じるよう になります。

闇のベールを破り急浮上した同定候補物質「プベルル酸」とは

記者会見の16時30分頃から、急浮上した未知物質Xの同定候補として急浮上した物質プベルル酸について、「(プベルル酸の)異性体はいくつあるのか」など、記者と小林製薬との間で異例の化学激論が交わされました。プベルル酸の構造式は、下記のとおりです。

プベルル酸

プベルル酸は分子量約198の、トロポロン骨格を持つ環状の酸性物質で、命名されていることから、新規物質ではなく、既知物質です。このことから、小林製薬は、社内では、ずっと以前から同定候補の最有力候補としてプベルル酸が浮上していたにもかかららず、何らかの理由から「未知物質X」と称して隠蔽していた疑いも浮上してきました。この問題の核心は、考えられる同定候補ですら、原因物質が何かが一切開示されていないことであり、不安の原因となっています。それだけに、原因物質どれだけ小さい情報であっても、一刻も早い真相究明の観点から、開示を渋る態度は許されるものではなく、記者会見に出席の記者からは疑問や苛立ちの声が出ていました。小林製薬は、「プベルル酸が腎障害の原因になるかどうかはわかっていない」と答えています。

「シトリニン不生成は遺伝子組み換えだから」小林製薬が言及

小林製薬製紅麹の菌株がシトリニンが生成しないことの根拠として、「シトリニンが生成する可能性を排除できるように遺伝子組み換えを行った菌株を使用しているから」と、小林製薬が言及しました。

バイオコンタミネーションが否めない非無菌環境で紅麹を培養

小林製薬は、記者会見の18時10分頃の質問に対して、「大阪工場では、青かびなどの異種微生物が持ち込まれてもおかしくないような、無菌ではない環境で紅麹を培養していた」と答えました。

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