「園芸が好きな人に悪い人はいない」ヘンな鮒はそう信じたいです。しかし現実は、よかれと思ってやったことで逮捕されたり、訴えられてしまうという、そういう世知辛い世の中です。だからこそ、気をつけていただきたいことがあります。
園芸の醍醐味といえるその行為が犯罪になることも…
入手した植物を増殖して、知人におすそ分けしたり、フリマで販売したい。園芸に凝っている人なら、一度はそのように思ったことがあると思います。しかし、品種によっては、その行為で逮捕されたり、告訴されることもあります。これは脅しでも何でもありません。種苗法違反という、立派な犯罪行為になります。実際に、ホームセンターで購入した、育成者権があるいちごの苗を無断増殖したものをフリマで販売して、逮捕された事例もあります。無断繁殖したものを第三者に譲渡(無償・有償を問わない)する行為で犯罪となるような品種としては、次のような特徴があります。
- 「PVP」マークがついた品種
- 「農林水産省品種登録済」「農林水産省品種登録出願中」「農林水産省品種登録出願予定」のいずれかの表示があり、「無断増殖はご遠慮ください」「営利目的の増殖はご遠慮ください」「海外持ち出し禁止」の旨の注意喚起がある品種
- 品種名や品種シリーズ名にマルRマーク(商標権の主張)マークがある品種(PW、サントリー、ハクサンなど)
さらに、品種名の頭に「F1」と表示があるものは、一代交配品種であり、採種したものを播種すると、メンデルの遺伝の法則に従うように、親とは全く形質が異なる子孫が育つ祖先還り現象が起こるうえ、種苗法の観点でもグレーゾーンにあたる行為になる可能性がありますので、注意が必要です。(野菜の新開発の品種にはF1が多く、伝統品種系の品種でもF1品種がある場合があります。)とくに、PWやサントリー、ハクサンなどのラベルがついた苗は「メーカー苗」や「ブランド苗」などと呼ばれ、このような品種は、育成権者から直接許諾を得ないかぎり、一律に繁殖NGと思っていただいて間違いありません。(法解釈上、著作権でいうところのダビングやコピーと同様に、個人の趣味の範囲内にとどめることができれば問題ないともいわれますが、植物という特性上、品種権利管理が不十分な場合、繁殖・譲渡OKのオープンソース品種に紛れてしまい、無意識のうちに違法行為を犯してしまうおそれもあるからです。)品種権利管理によほどの自信がないかぎり、個人の趣味の範囲だとしても、繁殖はしてはならないものだというのが、現実的な助言となります。
種苗法は悪法?種苗法の真実
種苗法は、韓国や中国などに、日本の農業試験機関や民間企業、育種家が育種した果樹や野菜などの新品種が無断で持ち出されて生産されたことで、農産物の公正な取引が阻害され、日本側に多大な経済損失が生じたことをきっかけに、その制定について議論されてきた経緯があります。韓国で新しい果物の品種が大受けし、調べてみると、日本で開発された品種だったという話は、一度は聞いたことがあるのではないかと思います。
よく、「将来は家庭菜園ができなくなり、家庭菜園という行為だけで逮捕される」であるとか、「自家採種をすると逮捕される」などという情報が商業SNSなどで流れているようですが、このような情報はすべて根拠のないデマです。家庭菜園そのものは、将来でも当然合法でできますし、育成者権などの独占権の主張がないオープンソース品種(原種・固定種)であれば、種苗法での増殖規制の対象外であり、自家採種も栄養繁殖も自由にできます。
ここで気をつけていただきたいことがあります。品種名を確認・記録せず、味や形、花の美しさなどでただ何となく選んだり植栽したりしていると、無意識のうちに違法行為を犯してしまうという可能性は十分にあり得ます。独占権の主張がある新品種の形質をとくに気に入っているという場合には、植えるごとに新しい種苗を購入する必要がありますし、現状の株数の把握(とくに、違法な自家増殖状態になっていないかどうかの確認)や、オープンソース品種との交雑の可能性も視野に入れた明確な区分も法令遵守の観点から避けては通れないことです。そのような法令遵守行動が漏れなくできる覚悟があるのであれば、独占権主張のある新品種の栽培も全面否定はしませんが、やはり、園芸の醍醐味を楽しみ尽くしたいという方には、迷わず原種や固定種といったオープンソース品種をおすすめします。「うちではオープンソース品種しか栽培しない」という、一見して厳格そうなルールをつくってしまえば、栽培対象はすべてオープンソース品種ですので、増殖禁止のクローズドソース品種との区分けの精神的負担からも解放され、正真正銘の自由な園芸(リベラル・ホルティカルチャー)に集中して取り組むことができるようになります。しかし、アマチュアの園芸愛好者の大多数の方は、オープンソース品種の選び方に疑問や不安をお持ちではないかと思います。
自由な園芸の醍醐味を最大限に楽しむ「最短距離」の方法とは?
能勢・ぎんぶなのうえんの会員になれば、増殖規制の心配をすることなく、園芸の醍醐味を最大限に味わうことができます。なぜなら、能勢・ぎんぶなのうえんは、オープンソース品種(原種・固定種)に徹底的にこだわった教育農園だからです。
能勢・ぎんぶなのうえんで栽培している植物は、すべて原種か固定種のオープンソース品種です。新品種導入の都合上、原種の園芸選抜種もありますが、そのような場合は、海外の園芸情報も確認したうえで、オープンソース品種であることをしっかりと見極めたうえで導入しており、増殖も安心してお楽しみいただけるようになっています。能勢・ぎんぶなのうえんで入手した種苗は、安心して増殖もおすそ分けもできますので、種苗法への抵触を気にする精神的負担も、いちいち新しい種苗を購入しなければならない手間や義務感からも解放された、正真正銘の自由な園芸の醍醐味を最大限にお楽しみいただくことができます。しかも、一度ご縁ができた方には、一人ひとりにしっかり寄り添い、栽培の疑問や不安の解決のための相談にも親身に対応することができます。ここまで徹底した、生産・頒布・アフターフォローまで一貫して面倒見ができる生産圃場は、日本国内では稀有な存在ではないかと思います。能勢・ぎんぶなのうえんは、誰もやらない・手がけないことに進んで取り組む、フロンティア(開拓者)発想の教育農園ですから、迷いはないと思います。この春から夏にかけての季節を思いっきり楽しみ、園芸に差をつけたいなら、今すぐ銀鮒の里アカウントを取得、ログインしていただき、能勢・ぎんぶなのうえんを訪ねて、多くの気づきを得てください。
24日放送予定のNHK趣味の園芸に関する個人趣味家向け注意事項
24日にNHK Eテレで放送予定の趣味の園芸では、ラナンキュラス・ラックスシリーズが紹介される予定となっていますが、ラナンキュラス・ラックスシリーズは、有限会社綾園芸(宮崎県綾町;以下、綾園芸)が育成権者となっているクローズドソース品種群となっています。綾園芸のウェブサイトによりますと、園芸店などに流通しているラナンキュラス・ラックスシリーズの開花株は、綾園芸が個人趣味家に直接販売しているわけではなく、育成権者と直接栽培契約を締結した生産者が、綾園芸から幼苗を購入し、開花株まで育成したものが正規流通品となっています。綾園芸のウェブサイトでは、個人栽培家でも球根や種子で繁殖ができる旨の説明がありますが、これは、園芸の醍醐味を個人の趣味の範囲で楽しんでいただけるようにする配慮によるものであり、個人趣味家が第三者に譲渡することを認めるものではありません。(前に説明したとおり、育成権者の主張がある登録(オリジナル)品種を繁殖したものを、育成権者に無断で第三者に譲渡する行為は、種苗法違反による処罰の対象となることに変わりはありません。従って、個人の趣味で繁殖した結果得られた繁殖株をメルカリなどのフリマに出品する行為は種苗法違反に問われる可能性があります。)個人の趣味の範囲でとどめることを厳守するかぎりにおいては、綾園芸のウェブサイトの説明にあるように、繁殖を行うことは差し支えありませんが、繁殖株が第三者の手にわたった時点で、繁殖者が罰せられることになることにご注意ください。種苗法遵守の観点から、品種コレクション管理によほどの自信(責任)がないかぎり、繁殖は行わないよう注意喚起いたします。(個人趣味家によるクローズドソース品種の繁殖行為は完全自己責任となります。)また、綾園芸のウェブサイトにもあるように、綾園芸は、ラナンキュラス・ラックスの取り扱いに関する個人趣味家向けの質問は受け付けていませんので、個人趣味家による直接の問い合わせはご遠慮ください。個人趣味家の方で、ラナンキュラス・ラックスの取り扱いについての質問がある場合は、必ず正規流通品をご購入の販売店を通じてお問い合わせください。
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