能勢・ぎんぶなのうえんだより(2024年1月24日)

春の農繁期、今年は1月最終週スタート!

今まさに大寒の候、今日、明日あたりが寒さの底にあたるとみられていますが、能勢・ぎんぶなのうえんでは、気温が上向き始める2月上旬には、春の農繁期に突入します。金曜日頃には、この寒さの底を脱するとみられており、1月最終週には、平均気温は、これまでの下降から上昇に転じるとの予報が出ています。今年は少し早く、驚かれるかもしれませんが、1月最終週には、春の農繁期に突入する見通しです。現在、春の播種準備を進めている最中です。

今春からジベレリン処理を試みます

栽培する植物も、農園の仲間たちも、幸せが最大化できるようにしたい。それが、能勢・ぎんぶなのうえんの想いです。発芽率や活着率を向上させ、生まれて育つ生命を一株でも多くするために、色々と試行錯誤を繰り返し、悩みに悩んだ結果、こういうときこそ、薬の力に頼るべきときだということで、今春から、花卉類種子のジベレリン処理を試行することにしました。日頃から能勢・ぎんぶなのうえんだよりをご愛読頂いている方は、スイカズラ科種子の播種育苗の苦労についてはよくご理解いただいているかと存じますが、冷蔵での春化処理時に、かびが生えたりして、発芽が思わしくない苦労もしてきましたし、ジベレリン処理をしなければ、発芽までにどうしても3週間以上かかるうえ、時間が経つほど発芽が見込みづらくなってしまいます。発根しても、活着しづらいことも多々ありました。冷蔵による春化処理は、冷蔵と温度上昇の刺激を反復することで、三寒四温を疑似的に再現し、種子内でのジベレリン生成を促すことで、休眠覚醒させて発芽させるという、農芸化学的な原理を応用した園芸・農業技術ですが、ジベレリンで一気に処理してしまうことによって、直ちに春化処理が代行され、発芽に要する日数を大幅に短縮し、活着率の向上や、有害菌への感染リスクを実質的に減らすことも期待されます。とくに、発芽・育苗が難しいスイカズラ科植物や発芽に長期間を要するゲウムなどの播種には威力を発揮するのではないかと期待しています。

ジベレリンA3(主要活性成分)の構造式

使用予定のジベレリン液剤は農薬製剤ですが、植物体内でも生成する天然の植物ホルモンです。種子の発芽・活着率向上のために、ごく少量を一時的に使用するものですので、環境(生態系)への影響はほとんどありません。ご安心ください。

育苗時の窒素施肥は硫安で決まり!

昨年の春には、実生苗育苗用の窒素肥料として、尿素を使用してきました。しかし、初期生育の立ち上がりが思わしくなく、生育が遅くなりがちでした。その原因として、尿素が分子化合物のため、とくに根の量が少ない発芽直後の吸収効率が低いことやCECによる保肥が期待できないこと、早春の低温で微生物の作用が緩やかで、尿素よりも吸収・利用がしやすいアンモニア性窒素や硝酸性窒素への変換が遅れたことが考えられました。これを受けて、秋の播種・育苗では、窒素施肥を全量、硫安に置き換えてみました。その結果、ダイアンサス(クローブピンク)やリクニス、クナウティアなどで非常に良好な生育経過が確認されました。(窒素以外の肥料成分は、元肥のく溶性肥料によるものです。)そのため、今春の播種・育苗、とくに、桜が開花する前の低温期に育苗する品種では、窒素肥料としては硫安を使用する予定です。

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