新潟県は5日、同県胎内市の採卵鶏養鶏場で、鳥インフルエンザ感染の疑い事例を確認したと発表し、同日14時30分から、新潟県鳥インフルエンザ対策本部会議を開催しました。新潟県の発表によりますと、この養鶏場の飼養規模は、鶏舎5棟、約35万羽ということです。このことから、バタリーケージ飼養とみられます。同日の朝、下越家畜保健衛生所がこの採卵養鶏場の農場長から、通常の3〜5倍の異常な死亡数が確認されたとの通報を受けました。同衛生所が同日12時に、実地にてインフルエンザの簡易試験を行ったところ、10羽中9羽で陽性反応が確認されたということです。このような状況の場合、ほとんどの場合で、遺伝子検査でも陽性になることや、感染拡大防止の初動が大切であるとの考え方から、新潟県は、遺伝子検査で陽性が確認されてからの初動態勢を確認、遺伝子検査で陽性が確認された場合、明日6日の午前8時から、この採卵養鶏場の採卵鶏の全数殺処分を開始することを、同対策本部会議で決定しました。このことから、遅くとも6日午前8時までには、遺伝子検査の結果が判明するとみられます。殺処分後の採卵鶏や飼料等の汚染物品は埋却または焼却するとしていますが、現時点では、どちらの処理方法をとるかは未定となっています。
●新潟県鳥インフルエンザ対策本部会議資料
https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/423914.pdf
複数の認証取得でもなぜ?バタリーありき防疫の限界か
FMGが、鳥インフルエンザの発生が疑われる養鶏場の運営会社のウェブサイトを調べたところ、この養鶏場では、食品安全や環境保全などに関する一定の基準を満たす善良な農場を認証する日本独自の認証規格のJGAP認証と、畜産農場における衛生管理に関する国際的な規格である農場HACCP認証を取得しているとみられることがわかりました。この運営会社のウェブサイトでは、トラックに消毒剤を噴霧している様子の写真が掲載されており、鳥インフルエンザなどの感染症の防止に抜かりがないことを強調しています。それでもなぜ、鳥インフルエンザの発生が疑われる事態が起こったのでしょうか。農林水産省では、かねてより、養鶏場の鶏舎管理の落ち度で生じるわずかな隙間からの、ネズミなどの小動物の侵入が、鳥インフルエンザの防疫では大きな問題になるとして、隙間を確認して徹底的にふさぐなどの注意を喚起していますが、JGAPやHACCPの認証を取得した養鶏場では、このような管理落ち度は、認証取得者の査察で厳しく指摘されるはずであり、一見して、鳥インフルエンザとは無縁のように思えます。それでもなぜ、鳥インフルエンザ感染が疑われる矛盾した事例が発生してしまうのでしょうか。このような矛盾した実態からも、工業的畜産ありきの防疫態勢の限界のあらわれだと認識すべきではないでしょうか。
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県のPRに惑わされるな!消費抑制こそ根本的なAI防疫
新潟県では、有事の際でも、国内に流通する鶏卵や鶏肉を食べても、鳥インフルエンザに感染した事例がないことから、感染のおそれがまったくなく、冷静に対応してほしいことを強調する方針ですが、FMGでは、家禽の卵や肉自体の需要を減らすという経済の原理を逆手にとった社会行動こそが、過剰需要に応えるために常態化している、バタリーケージ飼養に代表される動物福祉に反した工業的養鶏を根絶するうえで欠かせず、鳥インフルエンザ問題や新型インフルエンザ問題の根本的解決策として何より重要であることを訴えています。家禽由来物の消費は極力避け、一人ひとりの行動変容によって、家禽由来物の需要そのものを減らすよう、ご理解ご協力をお願いします。
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