能勢・ぎんぶなのうえんだより(2024年5月18日)

ぎんぶなのうえんからのお知らせ

当園実生育成のバレリアンが開花、5月らしく香る花

能勢・ぎんぶなのうえん待望の新顔が開花です。播種から1年以上、バレリアン(西洋カノコソウ)の初花が開花しました。

バレリアン(Valeriana officinalis)は、バルカン半島などのヨーロッパを原産地とする、スイカズラ科(旧オミナエシ科)の宿根草(多年草)です。ヨーロッパでは最も歴史のある薬草(ハーブ)のひとつで、炭素数5の脂肪酸の名称(Valeric acid)の由来となっているなど、化学史を語るうえで欠かせない植物です。

輸入種子からの実生だったこともあるのかもしれませんが、種子の休眠はかなり深いようであり、播種・育苗には、かなりクセがあります。育苗では何度も失敗を繰り返しました。成功しても、活着し、苗が育つのは、播種した種子のたった数%程度です。しかしその一方で、本葉数枚展開後の苗の生育はきわめて旺盛で、育苗で繊細に取り扱っていたのがうそのようです。播種当年は、幼苗特有の形状の愛らしい葉を秋遅くまで付け、冬には地上部がすべてなくなります。春、3月頃に出芽し、約2か月かけて茎を1m以上伸ばし、開花します。花には芳香があり、香りは、スイカズラ科特有の、初夏の風にぴったりのイメージの甘い香りです。

花が咲きましたので、今度はたくさんの種子が自家採種できるのではないか、と期待を寄せています。種子が採取できれば、春化処理後の採り蒔きも試したいと考えています。もしかすると、採り蒔きでは、種子の休眠が浅く、発芽させやすいのかもしれません。

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