【独自】「開発工期を約半分に」「合格が当たり前だ」ダイハツ不祥事の根本原因は上層部のパワハラにあり、ダイハツ開発部門OB

「従業員が不正する気持ちもわかる」生々しい現場の本音

「従業員が不正を犯しても、その気持ちはよくわかる。」

こう話すのは、ダイハツ工業で開発部門に40年、そのうち10年は衝突安全性性試験に従事してきた経験をお持ちの同OBのN氏です。FMGは、衝突安全性試験の現場従事経験者だからこそ語ることのできる、ダイハツ工業の検査の裏事情についての貴重なお話を伺うことができました。

N氏の話によると、不正には、上層部で開発部門を司る、あるキーパーソンの存在なくしては語れないといいます。そのキーパーソンとは、親会社のトヨタ自動車出身のS氏です。ダイハツでは、開発に要する工期は、従来は7〜8年をかけていましたが、現在では4年で完了する短期開発を従業員に要求しているということです。S氏は、開発コストをケチるために、開発人員を増やすわけでもなく、本来なら7〜8年かかる仕事を4年で完了することを強いたのです。当然のこととして、ダイハツの開発部門は人員不足状態になりました。そこでS氏は、ダイハツの「ウルトラC」を実現すべく、一人の専門業務従事者に、2人分以上の専門業務(別のキャリア)を掛け持ちすることを強要したといいます。このように、まるで山の峰を登り続けるように、従業員一人ひとりの仕事量が増え続ける一方で、一息つくことができる谷がない歩きを無理強いする労働環境を揶揄する表現として、社内では「峰歩き」と呼ぶのが流行ったといいます。軽自動車を強みとするダイハツは、スズキ(浜松市)と熾烈なシェア争いを繰り広げてきた経緯があります。一時は軽自動車シェアの首位の座をスズキに譲っており、スズキの軽自動車のCMでは「軽No.1のスズキです!」との決め台詞で締めていました。これに焦りを感じたのか、ダイハツは、何としてもシェア首位を奪還すべく、無理をしたわけです。そういった「努力」の甲斐があってか、いつしかダイハツの軽自動車のCMで、「軽No.1のダイハツから!」という決め台詞で締めることができるようになったのです。

「ダミー人形の関節一つひとつの動きまで調整」正直な衝突安全性試験は非常に手間と費用がかかるも、失敗を許さず出費を嫌う上層部からのプレッシャー

マニュアルどおりの正直な衝突安全性試験を実施するには、誰しも想像する以上に手間と費用がかかるといいます。例えば、検査車両に乗せるダミー人形は、衝突時に身体の各部位にかかる力を計測するものですが、正しい結果を出すためには、ダミー人形の関節の一つひとつの動きまで細かく調整する手間をも惜しんではなりません。しかし、ダイハツ社内で縦の円満な関係を築こうとするかぎり、上層部の要求を表面上でも満たすためには、そのような、惜しんではならない手間でさえも惜しまなければならず、まともに試験をしていて時間や費用がかかっているようでは、上層部から激しく叱責されるのがオチです。衝突安全性試験では、試験1回きりで、その車は販売・使用が不可能になってしまいます。しかし、上層部は、「失敗や余計な出費は許さない」と、現場にプレッシャーをかけます。検査には失敗はつきものですが、その失敗を強く惜しみ、なによりそれを許さないわけですから、上層部の期待に応えるためには、「上層部を怒らせることのないよう、上層部の思い通りの結果が出せるように、細工をする」という発想が生まれざるを得なかった、というわけです。

パワハラは「何をしてきたかわからない」キーパーソンならではの芸当か

N氏によると、トヨタ出身のキーパーソンS氏の自動車製造現場でのキャリアは不明ということです。

大企業による子会社化後、その大企業から、経営陣など上層部の多くの人員が子会社に送り込まれることは、よくあることですが、S氏も、ダイハツにおける、そんな人員のひとりというわけです。「親会社から来たお偉方だ」というだけで、現場の実務は「できるのが当たり前」と、ダイハツの従業員を軽視しては威張り散らしていたのであろうことが見えてきそうです。従業員と良好な人間関係を築くことのできる経営陣とは、それぞれが自ら現場の苦労を日常的に体験しているからこそ、逆の立場になっても、以前の自分自身と重なる従業員の気持ちに寄り添うことができるため、たとえ苦しいことがあっても、従業員に恐怖心を与え、モチベーションを削ぐような、激しい叱責など、決してできないはずです。逆をいえば、激しい叱責が常態化しているような上層部の人間は、そのような痛み苦しみを自ら経験していないために、従業員の痛み苦しみも他人事で共感できない、だからこその叱責癖ではないかということがいえます。ものづくりの現場の指揮監督は、自らその苦労を誰よりもよく知っている、その道のベテランが担うべきとは、そういうことなのです。

あえてNo.1を避けるススメ:本質の見極めが重要、派手なマーケティングには要注意

首位争いで工期短縮を迫る動きは、ダイハツに限ったことではなく、どのような業界でもよくあることです。首位争いを意識しすぎ、社内の開発や製造などの現場に焦りが生じた結果、瑕疵のあるリコール対象品が出回ってしまう結果を招くのです。これは、心がある人間によって営まれる会社の宿命といえることです。製品の購入を検討する際、下記のような兆候には、社内でパワハラやガバナンス低下が潜んでいる可能性があり、とくに注意が必要です。(※注意:傾向として多いということであり、必ず当てはまるとは限りません。)

  • 原材料や諸元(スペックデータ)をみても、他社との決定的な違いといえるような本質的な違いを見いだせない
  • 製品に現れる開発の考え方が、明らかに他社、とくにシェア首位の企業を強く意識しており、模倣的・追随的な臭いのようなものを感じる
  • 広告に有名タレントを起用している
  • テレビなど商業メディアでのCMや店頭・街頭広告での露出が極端に多い

トヨタ自動車が親会社になる前のダイハツは、どこの自動車メーカーにもないような奇抜な発想のものづくりで、そのことに独特な価値を見出す自動車愛好家もかなりいたということをご存知でしょうか。ところが、トヨタ自動車が親会社になった今日のダイハツの車には、かつてのような独特のダイハツらしさを見出すことがほとんどできず、他社の車との決定的な違いがほとんど見いだせず、画一的になりました。そこに、今回の大規模不正。コアなダイハツファンどころか、とくにファンとはいわずとも、ダイハツ車を日常の足にしていた多くのダイハツ車オーナーも「日常使いすら怖い」とダイハツ離れしていくのは、もはや不可避といえるでしょう。

寡占業界の自動車以外でいえば、食品の明治、ヤマザキパン、外食のマクドナルド、季節性疾患(風邪・花粉症等)の大衆薬メーカー、合成洗剤メーカーの例が有名です。そもそも、健康的で無駄遣いをしない価値創出型の生活をしていれば、買う必要がないものが多いですし、だからこそ、これらの会社は、無駄な出費を煽るべく、広告に力を入れざるを得ないというわけです。見まいと思っても目に入ってしまうような広告は嘲笑スルーして、どこにも媚びず、本質に迫るFMGにログインし、しっかり読んでからコミュニケーションをとるという、日々の知的な習慣を通じて、本質を見極める大人力を磨くことが、社会にはびこる瑕疵からあなたを守り、社会を健全化することにつながるのです。

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