イタリア下院で16日、培養肉をはじめとする合成食品禁止法案が可決しました。上院ではすでに7月に可決されており、近く法律として成立する見通しとなっています。合成食品禁止法案は、培養肉など、自然の動植物の生命の営みによる生産によることなく、人為的な生産技術によってのみ生産される人造食品・合成食品を罰則つきの法律で禁止するというものであり、イタリアの伝統的な食文化を守ることがおもな目的となっているということです。違反した場合、最低でも1万ユーロ(約160万円)、最高で6万ユーロ(約960万円)の罰金刑が科されるということです。イタリアは、マクドナルド反対運動に端を発したスローフード運動発祥の国として世界中で知られており。固定種野菜の品種数の多さでは世界屈指の水準を堅持しています。能勢・ぎんふなのうえんでも、そのようなイタリアの食文化保全のひたむきな市民運動に敬意を表し、イタリア伝統野菜の栽培に力を入れています。
培養肉をめぐっては、畜産動物の苦痛からの解放や最小化を目指すヴィーガン層やベジタリアン層の間でも賛否が別れています。「畜産動物に苦痛を与えることなく、食肉と実質的に同質のたんぱく質を摂取できるようになる」「畜産由来の温室効果ガスの発生を確実に抑制できる」などという賛成の意見がある一方で、「そこまでして動物性たんぱく質にこだわる必要はない」「合成食品を食べるくらいなら、倫理的な生産方法の畜産物のほうがましだ」などという反対意見もあります。
日本の農林水産省の対応は
イタリアでの合成食品禁止の動きが確実なものになったことを受けて、FMGは17日、日本の農林水産省に、培養肉などの合成食品に関する取り組みの実態について質問をしました。農林水産省は、FMGの質問に対して、「日本ではまだこれからの段階で、今のところはどうともいえない」という回答をしました。この回答を受けてFMGは、「イタリアは世界の農政に大きなインパクトを与える画期的な英断をした。日本は海洋国で鯨などの水産物の利活用に適している半面で、昨シーズンは鳥インフルエンザで鶏など家禽1,000万羽以上を殺処分したなど、畜産でかなり無理をしている実態がある。捕鯨やジビエの利用促進、植物性たんぱく質の自給力向上(畜産からの転換)などの本気の農政を進め、日本に相応しいやり方で、イタリアに続くべきだ」と政策提言をしました。イタリアは日本と同じG7先進7か国(サミット参加国)の構成国となっています。
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