兵庫県川西市の川西能勢口駅南側で急ピッチで建設が進められているJT喫煙所の問題に関して、川西市市民環境部環境政策課(以下、川西市)が、分煙スペインモデルを知らずにJTとの契約を即決していたことが、FMGの追加ヒアリングで明らかになりました。追加ヒアリングは、川西市の答弁が詰まるなどの不審な点が散見されたことから行ったものです。
世界的な反面教師となった「分煙スペインモデル」とは
分煙スペインモデルは、スペインにおいて、分煙の社会的効果の検証を行うために行われた国家レベルでの社会実験であり、分煙実施を前提とした検証実験に失敗したことから、「分煙スペインモデルは、タバコ社会問題の解決に『分煙』という選択肢はないということを示す格好のエビデンスになった」と、禁煙政策における「反面教師」として活かす動きが全世界的に拡がり、完全禁煙(喫煙可能機会そのものの減少)が大きく進むきっかけになった社会モデルとしてあまりにも有名です。当然のことながら、検証実験を実施した本国のスペインでも、分煙検証社会実験の失敗を認めざるを得ない状況となり、完全禁煙政策への転換が一気に進みました。
虚偽発言も発覚
さらに、追加ヒアリングを進めていく過程で、初回ヒアリングの際の川西市の回答に虚偽疑惑も発覚しました。「周辺の店舗や住民には、事前に説明をした」という初回事情聴取の信憑性確認(ファクトチェック)として、「いつ、どこで、誰に、どのような説明をしたのか」と問い質したところ、川西市は回答できず、「そのようなことは言っていません」と回答が覆ったため、虚偽発言疑惑が発覚しました。初回の虚偽発言だけでも問題は大きいですが、後の真逆の発言にしても、リスクコミュニケーションによる合意形成のプロセスを経ていないことになり、これまた大きな問題といえます。さらに川西市は、「JT喫煙所の設置に際して、具体的に誰からの要請があったのですか」とのFMGの問いに対しては、「(市民の)誰から要請を受けたわけでもなく、JTからの喫煙所設置要請について、当市が独断で判断し、即決したことだ」と答えたことから、前述のスペインモデルを知らない状態であったことからも察しがつくように、事前調査や内部審理等の準備が不十分の状態で、ただ単にJTからの要請を鵜呑みにし即決するという、信じられないほどに杜撰な意思決定が行われていたことも明るみになりました。JTと川西市との間に、黒い癒着体質があったのではないか、と疑われても致し方のない状況がそこにはあります。一企業の、それも、迷惑設備の設置要請を即決するようなことが、地方公共団体としてあり得ることなのか。今後、JTとの間の贈収賄などの違法行為の可能性も視野に入れたうえでの真相究明と根本的な再発防止策が求められます。
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