鹿児島県出水市の同県今季3例目の鳥インフルエンザ発生農場の鶏埋却地から異臭を伴う滲出水が漏れ出し、近隣住民が異臭の苦情を訴えていたことが、17日の南日本新聞の報道でわかりました。殺処分した鶏には多量の水分を含んでおり、腐敗に伴って、液体がにじみ出て、これが、埋却作業の何らかの欠陥によって環境中に漏れ出したとみられます。出水市でのAI防疫措置をめぐっては、これまでにも、消石灰とみられる白色物質による水環境汚染が指摘されていましたが、今回の問題でも、滲出水には消石灰が混入しているとみられるということです。鹿児島県畜産課は、AI3例目の防疫措置との因果関係があるとみて、対応を進めているということです。
南日本新聞の記事
https://373news.com/_news/storyid/167729/
焦りゆえのお粗末な処分方法
産業廃棄物などの最終処分場では、滲出水公害を防ぐために、壁面には分厚い特殊なゴムシートを敷き、万全の遮水対策が行われたり、滲出水の発生が避けられない場合には、滲出水の無害化処理施設が設置されることになっていますが、これほどに万全を期しても近隣住民の不安は拭い去れないものがあることはよくご存知のとおりです。一方で、鳥インフルエンザの防疫措置の埋却では、掘削面に消石灰をふりかけ、ブルーシートで覆い、そこにフレコンバッグに格納した鶏の死体を埋めて覆土がなされるという、前述の最終処分場と比べると、非常にお粗末なものになっています。環境アセスメントでも、このような杜撰な処分では、鶏死体の腐敗後には必ず滲出水が発生し、漏洩のしかたによっては、河川や湖沼などに大量に流入するであろうことは、容易に予測できるはずです。ところが、このような防疫措置は、農林水産省が作成したAI防疫マニュアルに基づくといいますから、空いた口が塞がりません。時間がなく焦っていれば、このような杜撰な処置が許されてもよいものでしょうか。そもそも、そのような杜撰な処置をやむを得なくするような養鶏そのものが問題なのではないでしょうか。この問題は、数ある養鶏問題の新たな問題を世に投げかけることになりそうです。
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