居酒屋・飲食店チェーン運営大手のモンテローザ(東京都武蔵野市)が運営する「魚民」のもつ鍋から大量の微小虫が見つかったという来店客のクレームがネット上で炎上状態となり、モンテローザが謝罪に追い込まれるという事態になっています。
農業にも取り組むふなあんグループは、上記記事の情報から、来店客の小虫クレームの原因は、白菜などに付着したアザミウマ(スリップス)の混入ではないかと分析しています。アザミウマは白菜などの葉が柔らかく込み入った通気の悪い部分に、アリマキ(通称:アブラムシ)とともに寄生しやすい吸汁性の農業害虫で、とくに農薬不使用野菜ではよく見出される虫です。慣行栽培の野菜でも見出されますが、ネオニコチノイド系殺虫剤などの浸透移行性殺虫剤の使用が増えると、流通後の慣行栽培の野菜ではほとんど見られなくなりました。このため、元来はアザミウマなどが付着していてあたりまえの野菜の扱い方を忘れ、葉をばらして丁寧に水洗いすることを忘れたために、このような事態が起こったと考えられます。
農村では「虫ちゃんが入っていたね」と笑ってすませるだけの日常的なことですが、学校給食でも、小虫の混入は、異物混入の「不祥事」としてマスコミで大々的に取り上げられるのがあたりまえとなり、有害な化学合成農薬は見えないから気にならないが、何となく嫌悪感を持つ虫には身の毛もよだつというような、歪曲したリスク認識が、都会人を中心に拡がることになったわけで、このような社会がもたらした病理現象といえます。
もちろん、大量のアザミウマが混入してしまい、食べてしまったとしても、健康には何ら問題はありません。それを撲滅するために使われるネオニコチノイド系農薬やアセフェート(オルトラン)などの神経毒性が強い浸透移行性化学合成農薬の残留のほうがはるかに問題が大きいといえます。感情論だけで騒ぎを起こす低知性の愚民による小虫クレームがネット炎上と同調圧力を招く社会の歪曲、農業教育による価値観矯正が必要な問題の一つです。
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