⚠注意:この記事は、鳥インフルエンザに関しての鶏卵や鶏肉の摂食安全性について言及するものではありません。養鶏や畜産行政(農政)に関する社会的倫理を問うものであり、実際に鶏卵や鶏肉を摂食するか否かについては、各主体の良識ある判断に委ねます。この前提に基づいて、正確な読解と、それに基づく冷静な行動をお願いします。なお、公開討論にあたっては、銀鮒の里アカウント(取得・利用無料)を取得・ログインのうえ、記事へのコメントによりご参加ください。誤った認識が拡散されることを防ぐためにも、公開討論への参加を強く推奨します。
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鳥インフルエンザ禍が起きるたびに発生した自治体や国が決まって消費者に訴えることがある。「(発生した地域の卵や鶏肉を買い控えるなどで)鳥インフルエンザ発生地域の風評被害を起こさないように」ということだ。高い倫理観をお持ちの方ならば疑う余地はないだろうが、それは、消費者を身勝手で社会的意識の低い無知と決めつけた前提の下での愚問なのだ。
国や自治体が風評被害を恐れる本当の理由
もはや思考が停止している役人の浅知恵によるから、その理由は実に単純だ。発生地域の風評被害によって、鶏卵や鶏肉のブランド価値や売上が低下することを恐れるからであり、それ以外の何ものでもない。要は、経済的脅威であること以外の何ものでもないということだ。
常識的に考えて、地震や風水害のような自然災害の場合は、多くの場合、人間の非によるものではなく、致し方のない不可抗力による天災であるが、それでも自衛隊に災害派遣を要請しなければならないような最悪の事態(人災化)を回避するよう、常日頃から防災のシミュレーションを繰り返すものである。
では、鳥インフルエンザ禍の場合はどうだろうか。鳥インフルエンザ禍は自然災害ではなく、はじめから管理体制に瑕疵がある工業的畜産の養鶏場で感染爆発が起こる人災である。それにもかかわらず、発生自治体の面子からも、できるだけ回避したいはずの自衛隊への災害派遣も、事あるごとに、発生自治体の知事はまるで「便利屋」のごとく、いとも簡単に派遣要請をしているではないか。以前から述べているように、鳥インフルエンザ禍は、管理が行き届く数千羽以下のケージフリー(低密度平飼い・エイビアリー・放牧等)であれば、バロキサビルマルボキシル剤(ゾフルーザ)などの抗インフルエンザ薬を投与しての治療が十分に可能だ。(当然、自衛隊に災害派遣要請をするまでもない。一筋も波風を立てることなく、平穏に終息させることができる。)しかし、管理を行き届かせることが不可能なレベルの超過密飼育(バタリーケージ・ブロイラー等の超過密平飼い等)だと、一羽感染するだけでも、治療は絶望的であり、大量動員し、24時間体制で緊急殺処分するしかなくなるのだ。(たとえお正月3が日であろうとも。実際に昨季はお正月3が日にも夜を徹しての殺処分作業が行われた。)家畜伝染病予防法の指定感染症感染時の対応指針も、その前提の下で設定されているのである。小規模飼養なら治療ができることや、工業的畜産で大災害化のリスクが高いことを知りながら、工業的畜産を放置する理由はなにか。それが確信犯的であるというほかに、どのような言い方ができようか。同じ失敗は繰り返してはいけないということは、小学生でもよく心得ている。でも、養鶏場では、養鶏業界と自治体と国との馴れ合い黙認しあいで、平気で同じ失敗を繰り返し、同じ惨禍を繰り返し、多大な迷惑をかける。自治体の知事や畜産担当部課、国(農林水産省)は小学生でもできることもできないのか、そう、実際に惨禍を繰り返しているのだから、できないのである。
風評被害が起こる根本原因は、無理がある持続不可能な工業的畜産である。だから、工業的畜産が禁止されないかぎり、風評被害は起こるべくして起こるのだ。工業的畜産を放置して風評被害を恐れるというのは、まさにマッチポンプの極み、愚の骨頂といえよう。
実は条件次第で鳥インフルエンザは全く怖くない
私たちは、鳥インフルエンザ禍で煽るつもりはまったくないし、全く怖いとも思わない。なぜなら、日頃から、倫理的・社会公益的な理由からヴィーガンやエッグスマート(ケージフリーの鶏卵のみ、しかも、摂取量を大幅に減らす)を実践し、どっしりと構えているからである。その根底には、立体的に縦横無尽に網羅された市民智(連携智)がある。日頃から市民智を磨くことで、揺るぎない安心が得られ、常に冷静な対応ができるのだ。その逆もいえる。無知な人、思考停止状態の人に「冷静に」ということは無駄である。そのような人は、冷静に対応しているつもりでも、常に何らかの不安に苛まれている状態だから、冷静に対応することは無理だということだ。よく商業SNSで不安を煽るような書き込みがバズったりするのは、しばしばデマを含む人が好む情報を無知な人(インフルエンサー)が発信し、周囲の反応に任せたいだけの思考停止状態の人が、蕁麻疹の如くそれに過剰に反応するという社会病理現象である。冷静に対応するなら、とにかく立体的な知性を磨くべきなのである。遠回りのようでも、結局はそれが最短の王道であることを、私たちはよく知っているのだ。
鳥インフルエンザは人畜(獣)共通感染症だが、鳥に高病原性を示す状態では、人に対する感染力は確かに弱い。しかし、日本のバタリーケージ養鶏が普及した歴史は浅く、鶏本来の生態も無視された、人間が鶏を利用して経済的搾取をするためだけの、自然の摂理に反したシステムであるから、不測の事態が起こる「罰当たり」リスクはきわめて高い。それが、鳥インフルエンザウイルスが人への感染力を強めた変異株を発生させやすいリスクだとしたら…それを否定しきるだけの根拠はない。一度、鳥インフルエンザウイルス由来の人高病原性新型インフルエンザウイルスが発生すれば、その致死率は20%になる可能性もあるという推察もあるほどである。このような人の保健衛生上の懸念も、バタリーケージ養鶏などの工業的畜産に強く反対し、日々の行動に筋を通しつつ反映する理由のひとつである。
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